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2016年10月31日 (月)

未来の万年筆

 1968年にアメリカで公開された「2001年宇宙の旅」というSF映画がある。2001年になっても、映画で予言されたような未来にはならなかったが。

 劇中、宇宙飛行士が無重力状態で他の飛行士に万年筆を投げ渡すシーンがあった。無重力空間なので、万年筆はクルクル回転しながら移動するのである。

 その万年筆は、アトミック・ペンという名称が付けられた、わざわざ映画のために考えられた未来の万年筆なのである。万年筆本体にボタンが3つ配置されており、それをクリックすることによってインクの濃さ、色、太さが変えられるという設定である。考えられたのが、1958年で10年の時を経て未来SF映画に採用されたのである。考えたのは、ウォルター・ビーガーという万年筆メーカーパーカーのデザイナーであり、映画のために製作したのはもちろんパーカーである。

 万年筆も映画の予言のようにはならなかった。万年筆そのもの、いや紙に書くという行為そのものが今やなくなりつつあるという未来は予言できなかったのだろうか。

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2016年10月30日 (日)

自動車のセキュリティ

 自動車が外部と通信する時代になって、新たに懸念されているのがセキュリティである。つまり、ハッキングされないかどうかということだ。

 例えば、テスラは充電ステーションの最新情報を得るために、車載のウエブブラウザーが通信で外部と繋がっている。そこからハッキングされると問題が生じる。

 実は、テスラ・モデルSがセキュリティの問題を示す具体例となった。モデルSの車載ウエブブラウザーは、そのまま車両のCANバスに繋がっている。CANは自動車の基本性能情報が流れるバスであることは言うまでもない。すると、ウエブブラウザーからハッカーが侵入すると、外部からドライバの意図と関係無しに、モデルSを操ることができる危険性があるのである。

 通常は、CANバスと外部に繋がるバスとの接続にはゲートウェイを置き、直接繋がらないようにして安全性を確保している。システムが複雑になり、うっかり繋げてしまうと大問題になるのである。

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2016年10月29日 (土)

自動走行車がドライバの好みを学習

 ロボットの国際会議としてIROS(Intelligent Robots and Systems )が有名である。今年のIROSで自動走行車の面白い論文が発表された。

 それは「人間の内部状態の情報を集める行動」と題された論文で、カリフォルニア大学バークレー校の研究である。内容は、自動運転車がドライバの嗜好を検出する方法について書かれたものである。

 自動走行車がドライバの好みの運転スタイルを知るために、ちょっとした実験を自動運転車自身が行うというものだ。例えば、高速道路に合流したとき、自動走行車が速いレーンに合流する。すると、安全志向でゆっくり走りたいドライバであれば、自動走行車に遅いレーンを走るよう指示するはずである。自動走行車はこのようなドライバの指示をくみ取り、ドライバの好みの運転スタイルを推定していくというものである。

 論文上の実験では、簡単なドライビングシミュレータで行ったものに過ぎない。しかし、実際の自動走行車にすぐ実装できる内容なので、自動走行車の基本仕様になりそうだ。

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2016年10月28日 (金)

アバカス・ドライブ

 変速機は自動車だけでなく、モーターやエンジンの回転を有効に使うために必須のものである。最新の変速方式はハーモニック・ドライブ方式で、50年前に発明された。

 この度、スタンフォード研究所SRIは、50年ぶりに新しい変速方式を開発した。ハーモニック・ドライブの改良版で、アバカス・ドライブという。

 ハーモニック・ドライブはロータリー型の変速機で、円形のケースの中で楕円のギアが噛み合いながら回転して減速する機構だった。これに対し、アバカス・ドライブはギアの代わりに算盤の珠形状のコマを多数並べた構造である。この構造により、ハーモニック・ドライブよりも摩擦抵抗を大幅に軽減することができたのである。アバカス(abacus)とは算盤のことなのだ。ハーモニック・ドライブではエネルギーの伝達効率が50%だったのに対し、アバカス・ドライブでは90%にも改善される。

 人類は200年間に渡って変速機を開発して来た。しかし、まだまだ発明や改良の余地はあるのである。

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2016年10月27日 (木)

バドワイザーの自動運転トラック

 以前紹介した、ベンチャー企業オットー製の自動運転トラックが走り始めた。用途は、バドワイザーの工場出荷トラックである。

 コロラド州のフォートコリンズからコロラドスプリングまでの200kmを、ドライバーの介入なしに自動走行している。運搬物はバドワイザー缶51744本である。

 自動走行はレベル3以上で、自動運転中ドライバは運転席に座らず後席でくつろいでいるビデオが発表されている。自動運転のニーズは、実は運送業界では高いと言われている。それは、年々職場環境の厳しい長距離ドライバのなり手が減少しており、このままだと深刻な人材不足に陥るからである。例えば、勤務前夜に深酒すれば、勤務開始時のアルコールチェックに引っかかり働けなくなるし、睡眠不足もきつくなる。

 ミシシッピー州では、ドライバの血中アルコール濃度が0.08%までは違反とならない。従って、自動運転トラックが運行を開始すれば、0.08%以下のドライバがトラックに搭乗することが可能となる。

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2016年10月26日 (水)

脳を修復するメッシュワイヤ

 パーキンソン病の治療法の一つで、脳深部に電気的刺激を送る脳深部刺激療法というものがある。この治療を行うとき柔らかい脳に硬い電極を埋め込むため、非常に危険である。

 これに対し、ハーバード大学のナノマテリアルのパイオニア、チャールズ・リーバー教授は、非常に柔らかい電極素材を開発した。それは、谷和原鳴きメッシュワイヤである。

 まず、柔らかい素材のワイヤをポリマーでコーティングし、メッシュ状のリボンを製作する。これを巻いた状態で針の中へ入れ、脳に注入するのである。脳の中でメッシュワイヤは伸びてニューロンに接触する。そして、電気刺激を与えることで脳を修復する脳深部刺激治療を安全に行うことができるようになるのである。

 メッシュワイヤはニューロン一つ一つを刺激することができるので、脳細胞の活動も観測することが可能である。これにより、細かな脳内マップも作ることができるようになるとのこと。

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2016年10月25日 (火)

人工知能研究者の多様性

今、大学では多様性を問われるようになっている。人工知能においても、研究者の多様性が必要という意見がある。

 スタンフォード大学のリー教授がこれを主張している。リー教授は女性であり、人工知能の女性研究者が少ない状況から提案している。

 リー教授は、人工知能研究に多様性が必要な理由を3つ挙げている。1つ目は、今後、人工知能と関連する業務が増える(人工知能が人間の仕事を代わりにやってくれる)ため、多様な人が行う仕事は多様な人が人工知能を研究しばければならないからである。2つ目は、多様な人が人工知能を研究しないと、多様なアイデアを期待できないからである。そして、3つ目は、公正さのためである。なぜなら、人工知能のデータは多様な人が関わらなければ、役に立つものにならない。

 1980年代はアメリカでコンピュータを学ぶ女子学生は37%もいたのに、現在では18%に減少しているとのこと。特に人工知能は女性研究者が少ないとか。

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2016年10月24日 (月)

ギャラクシーノート7のバッテリー

 今、飛行機に乗ると、ギャラクシーノート7の持ち込み禁止アナウンスが流れる。国内外共、どの飛行機に乗っても同じである。

 理由はギャラクシーのリチウムイオンバッテリーが爆発したからである。現在のスマホのバッテリーは、ほとんどがリチウムイオン電池であり、ギャラクシーだけが爆発したのは何故だろうか。

 IEEE Spectrum でも記事になるほど、関心を集めている。最初、ノート7はバッテリーに問題があると、リコールで回収してバッテリーを交換した。それでも爆発事故が発生した。すると、バッテリーだけの問題ではなく、制御回路にも問題があったことになる。リチウムイオンバッテリーは、発熱しやすいバッテリーである。発熱は過充電で起きるので、温度に合わせた充電電流や消費電流の制御回路が重要である。この回路はハードウエアだけでなく、ソフトウエアで制御する。すなわち、ハードに問題があったかも知れないし、プログラムに問題があったかも知れない。また、ノート7からギャラクシー初めての防水防塵仕様になったため、そのため熱が逃げにくかったのかも知れない。

 結局、ノート7は発売中止となり、飛行機への持ち込みも禁止となった。電子部品は熱に弱く、リチウムイオンを使っている製品は特に気を付けよう。

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2016年10月23日 (日)

アメリカの自動運転ガイドライン(最終回)

 HAVとレベル2の違いのまとめ。HAVはレベル3、4、5である。

 横断領域についてはほぼ同様である。違いは連邦法や州法への対応で、レベル2はドライバに明らかにしておくだけで良い。

 自動化機能はかなり違う。運用設計領域はHAVのODDに対し、レベル2はIODDとなるため、自動運転の運用はないものと解釈される。また、レベル2ではドライバが環境を監視するため、対象物体と事象の検出と対応は不要であり、退避行動もなし。しかし、テスト方法と妥当性の評価方法は必要である。

 自動運転ガイドラインの紹介は今回で終わる。世界で初めて発行されたガイドラインであり、日本にも十分な技術がありながら、また次の時代もアメリカにリードされることになるのは残念なことである。

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2016年10月22日 (土)

アメリカの自動運転ガイドライン(22)

 自動運転ガイドラインでは、HAVをレベル3以上と位置付けて、HAVを中心としたガイドラインになっている。つまり、レベル2以下は従来の自動車と同様としているのである。

 ただ、自動運転特有の事項もあり、HAVとの関連もあるため、レベル2以下のガイドラインの項目を設けている。レベル2以下は基本的に、車載用エレクトロニクスシステムの信頼性に準ずるものとしている。

 レベル2の特徴は、ドライバモニタを備えていることである。レベル2では、ドライバが環境を監視しなければならないため、ドライバが環境を監視できる状態かどうかをモニタリングしなければならないのだ。そして、ドライバが居眠りをしたり、環境を監視できるような状態でないと判断すれば、レベル2の自動化機能を働かないようにしばければならない。

 そのため、レベル2以下の運用設計領域(ODD)は意図した(intended)運用設計領域ということでIODDと名付けている。また、ユーザがレベル2とHAVの機能の違いを明確に理解していないことを前提にすべしとしている。

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2016年10月21日 (金)

アメリカの自動運転ガイドライン(21)

 自動運転ガイドラインの自動化機能は、運用設計領域、対象物体と事象の検出と対応、リスク時の予備手段、妥当性検証方法の4つについて述べられている。今回は4つ目の妥当性検証方法である。

 自動車製造会社は、HAVの安全な操作のため、テスト方法と妥当性検証方法を開発しなければならない。これは、それぞれのHAVの性能が異なるため、それぞれに対応したものでなければならない。

 テストは、HAVの通常使用、衝突回避時、そして退避行動時と運用設計領域に対する全ての場合について行わなければならない。このテストは、シミュレーションの組み合わせ、テストコース上、実際の行動上の場合を含まなければならない。テストは、自動車製造会社以外にも部品やシステム供給会社がやっても良い。しかし、第三者も行えるようにしなければならない。

 できればNHTSAと協力してテスト方法を検討すると良い。また、SAE等の標準化団体ともテスト設備の開発も含めて協力することが推奨される。

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2016年10月20日 (木)

アメリカの自動運転ガイドライン(20)

 自動運転ガイドラインでは、HAVが適応できない状況になって退避行動を取る場合のことを明確に指示している。退避行動時はリスクが最小になるようにすることが絶対である。

 自動車製造会社は、HAVが想定外の状況に陥ったときにどの様にリスク最小の退避行動を取るかを文章化しなければならない。HAVが故障したときも同様である。

 想定外の状況か、故障したかはそれぞれ明確にしなければならない。また、退避行動を取る場合、ドライバに頼る形になるのであれば、その時のドライバの状況に応じた方法でなくてはならない。例えば、ドライバが寝ていたり酔っぱらっているときに、高度な操縦を依頼する様なことがあってはいけない。HAVが高度なドライバ抜きの状況(無人の場合)から退避行動を取る場合、ドライバに頼った方法はあり得ない。

 退避行動は状況によって様々な形になるはずである。自動車製造会社は、これらのテストと評価方法は文章化しなければならない。

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2016年10月19日 (水)

アメリカの自動運転ガイドライン(19)

 対象物体の検出と対応ガイドラインで、前回は通常運転時であった。これに対し、衝突回避の緊急時についても言及されている。

 HAVは運用設計領域に基いて、衝突回避シナリオを作成しなくてはならない。これは単なる障害物への衝突だけではない。

 例えば、コントロールを失った場合どうするか、出会い頭や交差時での衝突、車線変更・合流時、対向車や反対車線、追突、路外逸脱、駐停車時の低速バック状況等も含む。これらは想定される多くの場合の米国運輸省が考えている場合に対応できなければならない。また、道路工事による交通流の変化や警官の誘導支持への対応も含まれる。

 もしHAVがこれらに対応できない状況になれば、リスク最小の状態でこれら事象に対応しなければならない。そして、自動車製造会社は、これら事象に対するテストと評価方法を文章化しなければならない。

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2016年10月18日 (火)

アメリカの自動運転ガイドライン(18)

 HAVのガイドラインの中心部と言えるのが、対象物体と事象の検出と対応である。要は、何が検出できて、どう対応できるかということである。

 自動車製造会社は、対象物体の検出と対応についてテスト方法や検証方法を文章化しなければならない。この対象物体の検出には、次の様なものが求められる。

・道路の速度制限の検出と対応
・高速での合流
・低速での合流
・走行レーンから路肩への停止
・対向車の検出と対応
・追い越し車線と駐車禁止区域の検出と追い越し動作
・先行車への追従
・停止車の検出と対応
・車線変更の検出と対応
・経路上の静止障害物の検出と対応
・信号機と停止標識の検出
・信号機と停止標識への対応
・交差点での操縦と右左折への対応
・環状交差点の操縦
・駐車場の検索と空きスペースへの駐車
・一方通行、Uターン禁止、ランプ等の検出と対応
・工事区域と作業員の想定外の状況の検出と対応
・適度な優先権の使用
・地域や州法への対応
・警官指示や先導車への対応
・工事現場での指示員の指示への対応
・事故現場付近での対応
・一時的な交通指示の検出と対応
・緊急車両の検出と対応
・緊急事態への対応
・交差点や横断歩道の歩行者、自転車への対応
・他車両、歩行者、自転車との適切な距離の確保
・一時的な交通状況による迂回等の検出と対応

 これらはUCLAが過去に行った自動運転プロジェクト、PATHでの実績を持ち出している。実際には、もっと多くなるはずである。

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2016年10月17日 (月)

アメリカの自動運転ガイドライン(17)

 運用設計領域、対象物体と事象の検出と対応、リスク時の予備手段、妥当性検証方法については、自動化機能としてまとめられている。先ずは、運用設計領域について。

 自動車製造会社は、運用設計領域を定義して文章化する必要がある。特に、運用領域の項目は、次のように決められている。

 それは、HAVが適用される道路種類、対応地区、対応速度範囲、HAVが作動する環境条件(天候、昼夜等)、制約される要素である。そして、これらの項目を検証するためのHAVの評価方法とプロセスも文章化されなければならない。また、自動車製造会社は、HAVの能力を評価するためのテスト方法を開発する必要がある。つまり、HAVの安全な運用設計領域を確立するためのテスト方法と基準を開発する必要がある。HAVが作動をキャンセルされる状況になるときは、ドライバに明確に表示されなければならない。

 HAVの動作状態をドライバが容易に理解できることが重要である。これは、HAVびドライバだけでなく、周囲を走行しているドライバにも求められている。

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2016年10月16日 (日)

ITS2016メルボルン(5)

 今回のITS2016メルボルン大会の参加人数は、当初の目標7000人に対し最終的に11496人となった。次回のモントリオールも期待できる。

 ITSが開催される都市は、交通システムを積極的に改善しようというところなので見るべきものが多い。モントリオールの次はコペンハーゲンで、そのまた翌年はシンガポールだ。

 シンガポールは自動運転の公共交通機関の導入を検討しており、2019年の開催に間に合えば面白い大会になるだろう。有力な新システムは、GPSを利用したロード・プライシングといわれている。現在はETCを利用して、指定道路区間を有料化している。ETCシステムでは、インフラ側の設備が必要なため、有料道路区間を変更しにくい。ところが、GPSの精度を向上させ、インフラ設備なしで有料道路区間を設置できれば、季節毎や時間帯によって自由に有料道路区間を変更することができる。渋滞や騒音の規制に威力を発揮するはずだ。

 来年2017年のモントリオール大会は、10月29日から11月2日の開催で夏時間から冬時間への変更を体験できる。再来年2018年のコペンハーゲン大会は、9月17日から21日までで夏の最期を楽しめるだろう。

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2016年10月15日 (土)

ITS2016メルボルン(4)

 ITS世界大会は今年で23回目となる。2年後のコペンハーゲンは25回目の四半世紀を記念するものとなるので、参加予定の4年生は楽しみにすると良い。

 毎回、開催国でテーマを掲げている。今回はITSを都市と通信の活性化を強調するとしている。

 具体的なテーマとしては、オーストラリア都市部の交通渋滞を緩和するということだった。特に、メルボルンの渋滞は、オーストラリアではもっとも深刻なものだそうだ。市内はトラムが走っており、渋滞が問題になっているように見えない。ところが、メルボルン国際空港から市内までの公共交通はバスに頼っており、その渋滞対策にITSが期待されている。

 ITSで渋滞解消を行う他に、モノレールの建設も検討されているそうだ。モノレールが稼働すれば渋滞は解消されるので、ITSの役割も変わるだろう。

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2016年10月14日 (金)

ITS2016メルボルン(3)

 ITS世界大会の技術展示では、車載カメラの走行環境認識がよく展示される。今回も例外なく、パナソニック、アイシン、富士通等が展示していた。

 これらの画像処理で共通していたのが、ディープラーニングの使用である。デモ仕様は異なるものの、認識性能は似ている感じがした。

 パナソニックは前、後、左右方向を4台の画角が異なる車載カメラで認識するシステムを展示していた。撮影する方向が異なると、他車両の見え方が異なるものの、認識エンジンは同じディープラーニングというものだった。アイシンは、認識するシーンを高速道路や一般道路等に分けてディープラーニングを適用した結果を紹介していた。道路背景が単純なほど、認識性のは上がるというもので、ディープラーニングCNNを使っているとこのことだった。富士通は、車載カメラによる走行環境認識と、室内カメラによるドライバの視線や瞬きの回数による眠気の程度をディープラーニングをベースとしながら、独自の画像処理を加えた結果との説明だった。

 3社ともディープラーニングを使っているからといって、抜群の認識性能を示しているわけではなかった。逆光等によって対象物体が見えにくいときは、認識性能も落ちていた。

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2016年10月13日 (木)

ITS2016メルボルン(2)

 ITS世界大会は、技術展示に面白いものがある。今回は、脳波でドライビングシミュレータを制御するものが展示されていた。

 展示していたのは、ドライビングシミュレータの専門企業フォーラムエイトである。ワイヤレスで脳波を送るヘッドギアのニューロスカイ・マインドウェーブを入力デバイスとしていた。

 ドライビングシミュレータの画面に意識を集中するとコースが動き出し、意識を散漫にすると停止するというものだ。左右の制御はやっておらず、単に前後の動きだけではあるものの、意識を集中するかどうかで動きを制御できるところが面白い。この脳波の使い方として、運転中に意識を集中しているかどうかの判定が考えられる。脳波の計測は、ヘッドギアの様に装着しないとけないのが難点である。これさえ解決できれば、自動車での適用が始まるはずだ。

 このアプリは、実は簡単に作れるとのこと。ドライビングシミュレータのアプリとマインドウェーブのアプリのAPIを接続するだけで実現可能だそうだ。

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2016年10月12日 (水)

ITS2016メルボルン(1)

 ITS2016世界大会でテイクオーバーに何秒必要か発表したので、今日はその様子を伝えよう。発表したセッション名も、自動から手動運転への遷移と名づけられていた。

 発表件数は5件で、JARIと愛知県立大が一件づつ。そして、この研究室の発表が3件と、ゼミ発表の雰囲気すらした。

 JARIの発表では、自動運転から手動運転に代わるタイミングを2秒前、5秒前、10秒前と変えた結果を発表していた。2秒前は全く成立せず、5秒前、10秒前ではほぼいけるものの、事故を起こす被験者もいた。その被験者は眠そうだった者と、パニックを起こして反応が取れなかった者だったそうだ。もちろんドライビングシミュレータ実験である。本研究室の発表では、テイクオーバーの動作がステアリングによる回避が多かったことに質問が集中した。

 発表後、業界関係の方から、テイクオーバーの情報交換を提案された。まずは、実験方法から整理しようということになっているらしい。

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2016年10月11日 (火)

アメリカの自動運転ガイドライン(16)

 自動運転ガイドラインにも、倫理的考慮について述べられている。しかし、倫理については、厳密な規定というよりは、考慮すべしとなっている。

 複雑な倫理で、人間の場合でも議論が起こるようなものより、先ずは基本的なものが求められている。具体的には、安全性、円滑な交通、そして法対応を守るものである。

 これらの3つの基本概念は、それぞれが対立するものではなく同時に成立つものであるとしている。とは言え、前回の法対応で挙げたように、追越禁止車線で追い越さないと円滑な交通が確保できず、かつ安全性にも問題がない場合もある。そういう状況の判断も倫理的考慮ということになる。また、倫理的配慮が求められるのは、安全性、円滑な交通、法対応のどれか二つが対立したときということになる。

 倫理的考慮を行う自動運転プログラムを開発するときは、連邦法、州法に照らし合わせながら、開発過程を透明化すべきとしている。そして、HAVの動作が他の交通にどの様に影響するかという点を考慮して開発すべしとしている。

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2016年10月10日 (月)

アメリカの自動運転ガイドライン(15)

 今週はITS2016世界大会に参加のため、メルボルンから本ブログを届けることになる。普段の話題の他に、面白いものがあったら紹介する。

 自動運転ガイドラインでは、連邦法や州法やその他の関連法にもついて述べている。すなわち、これらの法律にも自動運転は従うべきとしている。

 ただし、交通状況によっては、超法規的に道交法を守らないことも多々あり得る。例えば、人間のドライバなら、工事中で車線が塞がれていれば、例え追越禁止の車線マークでもそれを無視して通行するし、管理者側も黙認する。HAVはこの様な状況にも対応すべきである。アメリカでは、州をまたぐと法律が変わることもあり、それにも対応しなければならない。

 時として、規制速度よりも実際の交通流速度の方が速いこともある。制限速度を守るとたちまち渋滞が起きる場合もあり、自動運転車にどのような走行パターンが望まれるかは興味深い。

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2016年10月 9日 (日)

アメリカの自動運転ガイドライン(14)

 HAVが追突されることもある。そのため、ガイドラインでは事故に遭うことを想定した項目を設けている。

 それが、事故後対応方法である。これは、可能な限り電子文章で情報を提供すべきとする文書業務削減法(Paperwork Reduction Act)にも対応している。

 HAVが事故に遭って困ることは、環境センサや制御システムが破壊され機能しなくなることである。この様な状態になれば、この車両はHAVモードにならない様になる構造でなければならない。センサやシステムの破壊や故障は、自己診断機能で検知されなければならず、また、壊れた状態でもリスクが最小になる様にしなければならない。リスクが最小になる様に動くのは、修理が完了するまでで良い。

 故障や部品が破壊されたときにリスク最小化することは、HAVに限ったことではない。通常の車両でも、事故後に被害が拡大しない様にしなければならない。

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2016年10月 8日 (土)

アメリカの自動運転ガイドライン(13)

HAVはソフトウエアのアップデートが可能である。すると、機能が変わるので、その新しい機能が備わった新しいHAVとして登録し直さなければならない。

 これは、ハードウエアが同じなのに、OSのバージョンをアップしてWindows8から10に変えることと同じである。HAVの場合は、自動化のレベルが変わることに相当する。

 HAVのアップデートは、車両の寿命が尽きるまで可能である。ただし、アップデートした場合は、ユーザに正しく機能変更があることを伝えなければならない。自動車メーカーは、動作速度の変更から、適用される地域や天候条件等の関連事項を全てユーザに伝える必要がある。伝え方は新しいオーナーズマニュアルを提供しても良いし、車内のディスプレイに表示しても良い。

 今のところ、車両の基本機能がソフトウエアのアップデートで変わってしまうものはテスラしかない。しかし、ガイドラインに明記されるようになったので、今後は増えていくことが予想できる。

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2016年10月 7日 (金)

アメリカの自動運転ガイドライン(12)

 HAVの使用にあたっては、ユーザー教育が必須であるとしている。そして、その教育のための文章とツールを開発し、自動車会社の従業員からディーラーまで情報を共有すべきである。

 重要なことは、HAVと従来の自動車が何が違うかを理解させることである。それを十分に理解するまで教育しないといけない。

 詳細としては、HAVシステムの狙い、操作パラメーター、能力と限界、作動停止方法、HMI、緊急時の対応方法、限界操作時の責任、サービス状態での機能の変更等について、教育しなければならない。また、HAVの購入前には、実際の道路やテストコースで試乗してこれら詳細を実際に動かし、HMIにはどう表示されどう操作するかを体験させなければならない。バーチャルリアリティによる体験の機会も検討することが要求されている。

 これらの教育プログラムは、実際にやってみた現場の声を常に反映させなければならない。つまり、常に実際に合わせて改良を続けるということである。

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2016年10月 6日 (木)

アメリカの自動運転ガイドライン(11)

 自動車においては、耐衝撃性は重要事項である。そのため、自動運転ガイドラインでも耐衝撃性について規定が設けられている。

 耐衝撃性は、乗員保護とコンパチビリティに分けられ述べている。どちらもNHTSA基準がベースである。

 自動運転といえども、他車両との衝突は発生する懸念がある。よって、乗員保護はNHTSA基準に準拠しなければならない。更に、自動運転のために開発した新しいセンシング技術を使って、新しい乗員保護システムの開発にも努めるべきである。そのときの乗員対象は、あらゆる年齢、体格となる。また、自動運転中でも手動運転中でも、乗員保護システムはセンサの故障があっても働かなければならない。自動運転中に着座姿勢の自由度のあるものでは、その状態でも安全であることを示す必要がある。ただし、その実験結果はシミュレーションでも良い。

 自動運転車のコンパチビリティとは、従来車とのコンパチビリティのことである。従来車通しは、既に車両のタイプによってコンパチビリティが保証されており、自動運転車も同カテゴリのものに従わなければならない。

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2016年10月 5日 (水)

アメリカの自動運転ガイドライン(10)

 自動運転になり、従来の自動車よりも機能が増すた、車両状態を示すドライバへのHMIは重要になる。それは、無人が可能になるレベル5でも同様である。

 特に注意すべきは、レベル3までのドライバへの主権移動(テイクオーバー)のためのHMIである。レベル3では、ドライバの状態を監視するためのドライバモニタは必須である。

 HAVが最低限ドライバに伝えなければならない情報は、次の5種類がある。
1.正しく機能しているかどうか
2.現在の自動運転モード
3.自動運転できないときはその状況
4.システムが故障するとどうなるのか
5.テイクオーバーが必要なときの状況

 HAVは他の自動車や歩行者にも、自動運転の状況を伝えることを考えなければならない。また、レベル5の無人運転では、オーナーに自動車の中ではなく、リモートディスプレイ等での自動運転状況の表示が必要となる。

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2016年10月 4日 (火)

アメリカの自動運転ガイドライン(9)

 現代の自動車はサイバーセキュリティ対策が必要で、自動運転のガイドラインでは必ず言及される。堅牢なサイバーセキュリティ対策がなければ、リスクを最小化しているとは言えないのである。

 そのため、HAVのリスク評価には、サイバーセキュリティ対策がどの程度施されているかが重要になる。基本的には、標準化を考慮してベスト・プラクティスを目指すべきとしている。

 サイバーセキュリティの標準化とは、標準技術研究所(NIST)、NHTSA、アメリカ自動車技術会SAE、自動車メーカーの協会、自動車情報共有分析センター(ISAC)等で取り扱われているものを想定している。そして、サイバーセキュリティの組み込みプロセス全体を完全に文書化していなければならない。また、すべての実施事項、変更箇所、選択肢のある場合は選択した根拠、関連するテストデータを明文化し、変更が追跡できなければならない。

 サイバーセキュリティは、脆弱だった場合の情報共有が重要であるため、ISACに情報提供することが求められている。失敗情報を共有する時代なのである。

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2016年10月 3日 (月)

アメリカの自動運転ガイドライン(8)続き

 このガイドラインにおけるシステム安全性で、リスクとは何かが明確に述べられている。それは、ぶつからないことであり、ぶつかっても被害が最小限であることである。

 ぶつからない対象は、環境中の障害物であり、歩行者も含めた他の交通機関である。単に他の車両とはしていない。

 また、交通法規の違反や、通常のドライバが期待する運転から外れないこともリスクとしている。そのため、自動車メーカーは、最新のAI(人工知能)や機械学習の最新動向を調べることを義務付けているのが面白い。自動運転に参入する限りは、AIや機械学習の学会報告に注目していなければならないのである。つまり、学会で最高性能を出すものが現れれば、直ちにメーカーが実用化を検討するということになる。ますます、面白い分野になりそうだ。

 しかし、全てのテストデータはトレーサビリティが求められている。そのため、最新のものを導入すればするほどメーカーの開発工数は膨大なものになっていくことが予想される。

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2016年10月 2日 (日)

アメリカの自動運転ガイドライン(8)

 システム安全性とは、業界の標準を使うことを義務付けている。業界標準を使うとは、ISO26262の機能安全を適用するということである。

 ガイドラインでは、開発プロセスの全てや変更点をドキュメント化することが義務付けられている。しかしこれは、ISO26262を守れば自動的にやらなければならないことである。

 ISO26262はどんな国際標準だろうか。このISOが制定された背景は、現在の自動車がいくつもの電気電子システムが搭載されるため、これらのシステムが統合化されたシステムレベルで安全であることが必要になったからである。そのため、ISO26262でいう安全とは、「電気電子システムの機能不全のふるまいにより引き起こされるハザードが原因となる、不合理なリスクの不在」と定義されいる。つまり、システムに故障が生じても、安全機能を設けて、可能な限り危険でないようにするということなのである。

 そのため、システム、ハードウエア、ソフトウエアでの開発管理だけでなく、コンセプトフェーズ、生産・運用フェーズについても数々の規定を定めている。もちろん、開発プロセスにおけるドキュメント化は必須であり、評価ツールにすら規定を設けている。

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2016年10月 1日 (土)

BMWの空駐車場情報提供サービス

 オンライン地図会社HEREが、メルセデスベンツやBMWからのセンサ情報を基に、オンラインで駐車場の空スぺースを提供するサービスを開始する。どうして地図会社が、自動車のセンサデータを活用できるのだろうか。

 実は、HEREはメルセデスベンツ、BMW、及びアウディが持っている会社なのである。2015年に、ノキアから買収されたのである。

 そのため、HEREはメルセデスベンツ、BMW、アウディの車載センサ情報をオンラインで取得し、それを解析したデータを提供することができるのである。センサ情報だけでなく、地図会社の強みを活かしてサードパーティからの情報も加味することができる。例えば、メルセデスベンツのGPS情報から、その車両が駐車場に停まっているかどうかがわかる。更に、そのベンツの車載カメラの映像を取得し、駐車場の空きがないかを解析する。そして、これらの情報をクラウドに集合させ、顧客が問い合わせた地域の最安値の空駐車場を提供することができるのである。

 空駐車場の情報提供サービスは、来年の前半から始まる。軌道に乗れば、サービスの種類も増えるだろう。

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