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2017年1月31日 (火)

ロールスロイスの自律航行船

 ロールスロイスといえば、イギリスの高級車メーカである。ロールスロイスは高級車だけでなく、航空機エンジンや船舶の製造、販売も手掛けている。

 そのロールスロイスが、2020年までに無人の貨物船を実用化すると発表した。これは基本的には船が自律的に航行し、必要に応じて遠隔操作する自律航行船である。

 ロールスロイスは、2014年からEUの支援で研究開発を開始していた。船が無人となるため、地上の管制施設からは同時に複数の船を操作可能となる。無人自律航行船の利点は、人経費を抑えながら貨物を積むスペースが広く取れることである。現在の開発状況は、自律航行を支援する各種センサーをさまざまな気象条件下で行ったり、遠隔操作のシミュレーションを行っているところである。課題としては、ハイジャックや海賊に狙われたときの対応である。また、遠隔操作するため、システムのハッキングも課題となっている。

 ハイジャックやハッキングの具体的対処方法は、難しいことが予想される。ロールスロイスでは、少なくとも自律航行船は現在の船舶と同等の安全性の確保を目指すとしている。

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2017年1月30日 (月)

世界終末時計

 米科学誌「Bulletin of the Atomic Scientists」は、世界終末時計を30秒進め、0時まで残り2分30秒とした。これは、トランプ大統領の政策を懸念したことによる。

 世界終末時計とは、1947年に同紙が始めた人類への警鐘である。委員会にはノーベル受賞者も含まれ、毎年、同紙の新年号の表紙に用いられている。

 世界終末時計の創設時は、7分前で開始した。これは第二次世界大戦が終わったものの、米ソの対立を懸念して設立されたのである。その後、危機時には早められ、逆に脅威がなくばれば遅らせるという操作が行われている。2007年には北朝鮮やイランの核の脅威で5分前だったものが、2010年、オバマ大統領による核廃絶提言を受けて6分前まで戻された。しかしその後、福島の原発事故等により、2015年には3分前までに進められていた。それが、トランプ大統領による核廃絶や地球温暖化に消極的な発言を受けて、委員会は30秒進めることを決定したのである。

 1991年には、ソ連の崩壊で17分前まで遅れていた。ところが、その後は世界情勢が緊張して行き、勧められる一方である。来年はどうなるだろうか。

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2017年1月29日 (日)

トンボのサイボーグ化

 アメリカのケンブリッジを拠点とする研究開発ベンチャーのDraper社は、トンボをサイボーグ化する装置を発表した。DragonflEyeと名付けられた、トンボにランドセルのように背負わせられる大きさのデバイスを装着すると、それがトンボの神経に介入してラジコンのように操作できるのである。

 DragonflEyeを使うと、生きたトンボをドローンの様に扱えるのである。トンボは人工のドローンより、小さく、軽く、ステルス性が高く、応用例が多く考えられる。

 この装置の仕組みは、まずトンボの神経を光刺激で反応するよう遺伝子を改変して操作する。そして、その神経に光刺激を発生させる装置をトンボに装着し、トンボの飛行を自由に操縦可能としたのである。光刺激を与えるのは1mm以下の幅で折り返せる柔らかい光ファイバーで、同社が開発したものである。この光ファイバーでトンボの神経束の必要な部分を刺激するのである。

 サイボーグ化したトンボなら、容易に他の昆虫に近付くことができる。例えば、近年深刻になっているミツバチの受粉のモニタリングが可能になるのである。

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2017年1月28日 (土)

都市の道路網と太陽光発電の潜在能力の関係

 レバノン国立リモートセンシングセンターの物理学者サラ・ナジャムは、都市が持つ太陽電池の潜在発電能力の新しい算出方法を提案している。都市の潜在発電能力とは、その都市の全てのビルの屋上に太陽電池を設置したときの想定発電能力のことである。

 彼女は、人間の血管構成と身体の大きさ、及び代謝率に関係があることに触発され、それを都市の道路構成と発電量の関係に類推したのである。すなわち、都市の道路網と太陽電池による潜在発電能力との関係を提案したのである。

 ビルの屋上での太陽電池の発電能力は、その都市の日射量、太陽電池が受ける太陽光量、隣接するビルによる影の影響等を基にして推定される。都市のビルの配置や数は道路網に依存していることが多い。彼女は、ベイルート、ニューヨーク、ボストン、サンフランシスコ、コロラド州ボールダー、マサチューセッツ州ケンブリッジ、オレゴン州ポートランド、ワシントンDC、チリのビタクラととロ・バルネチェアの10都市について、ビルの屋上での太陽光量、ビルの高さ、面積、地形を調べてシミュレーションした。その結果、道路網の全長が大きい程、推定発電量が大きいことを発見した。また、半径2.5km以内のビルには、同様の建築様式を持つことが多く、太陽電池の発電能力が同様になることもわかった。

 この研究結果は、都市部における太陽電池の設置計画に大きく影響するものと思われる。彼女は今後、農村部での発電能力の推定をやるそうだ。

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2017年1月27日 (金)

水を使ったエネルギー貯蓄方法

 エネルギーの貯め方にはいろいろな種類がある。これから期待できる、水を使ったエネルギーの貯蓄方法を4つ紹介しよう。

 まずは、コンクリートで造った中空球体(バンカー)を利用する揚水発電方法で、これを湖や海底に沈めて電力が余っているときに球体からポンプで水を排出させておく。そして、電力が必要なときに球体内部に水を流入させタービンを回して発電する。

 次は、エアバッグである。巨大なエアバッグを海中深く沈めて、圧縮空気を貯蓄するのである。水圧を利用して、陸上よりも高い圧力で空気を圧縮することが可能となり、この空気でタービンを回して発電するのである。また、防波堤の下部にタービンを設け、海の満ち引きを利用して発電する方法もある。これを人工島の防波堤に設ければ、その島の電力問題は解決するだろう。4つ目は風力発電と揚水発電の組み合わせである。風力発電でポンプを回して水を貯水池に汲み上げ、その水を落下させて発電するのである。この方法で40mの高低差を作ると、25%ほど効率が上がる。

 エネルギーの貯蓄は燃料や電池だけではなく、フライホイールを回してもエネルギーが貯蓄していると見做せる。化石燃料を使わないエネルギーの貯蓄方法を考えてみよう。

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2017年1月26日 (木)

新オートパイロットの性能

 テスラモーターズの運転支援システム「オートパイロット」のセンサ系がリニューアルする。これは昨年度のオートパイロットの事故を改善すべく行われるものである。

 この改良で、イーロンマスクは衝突事故の90%がなくなると発表した。これまでのシステムでは、衝突事故が40%減少したとも公表している。

 衝突事故が減少した根拠は、オートパイロットを導入する前のエアバッグの作動率と、導入後の作動率を比較した結果だそうだ。導入前は100万~300万マイルに1回の率でエアバッグが作動していたそうだ。ところが、オートパイロットを導入するとエアバッグの作動率が80万マイルに1回に減少したので、衝突事故が40%に減少したと結論付けたとのこと。また、昨年度の事故はオートパイロットという名称が誤解を招いたのかも知れないと言っている。オートパイロットの機能は、緊急自動ブレーキ、レーンキーピングとアダプティブ・クルーズコントロールだけなのである。

 もし、リニューアルするオートパイロットで衝突事故の90%がなくなるなら、自動運転の効果はたった10%しかないということになる。もしそうなら、少なくとも安全のための自動運転は高く付き過ぎることになってしまう。

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2017年1月25日 (水)

面接は性格重視

 3月1日に就職情報が解禁となり、いよいよ就職活動が始まる。インターンシップは既に始まっているので就活はとうに始まっているといえるものの、実際の面接となるこれからだ。

 企業は面接を重視している。なぜなら、実際に人物を見るには面接が最良にして唯一の手段だからだ。

 それでは、面接ではどんな点に注目しているのだろうか。よく言われるのが、性格や人柄である。希望している会社に入りたい理由や熱意も重要である。しかしその前に、元気な学生、明るい学生、素直な学生というのが大前提である。元気でないと仕事はできない、明るくないとチームで仕事ができない、素直でないと正しく仕事が覚えられないという訳だ。そのため、面接では性格を重視されるのである。最低限、仕事をさぼらない、他人とうまくやる、粘り強く仕事に取り組む人物と評されないと、採用には至らないのだ。

 とは言うものの、今から性格は変えられるのだろうか。今日から何かの勉強で、さぼらず毎日コツコツと諦めずに続けることが出来れば変えることが出来るはずだ。

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2017年1月24日 (火)

非認知能力

 最近、非認知能力が社会では重要といわれるようになった。認知能力とは、IQのような学力や頭の良さを表す。

 では、非認知能力とは何だろうか。それは、自制心や粘り強さ、気概などのIQでは計ることができない能力のことである。

 IQが高ければテストの問題は解ける。しかし、人生の問題を解くためには、粘り強く、諦めず、やり抜く力がなければならない。そのため、最近注目されているということなのである。非認知能力が高ければ、必要に応じて認知能力も高くなるのではと思われる。例えば、認知能力を高くするには、こつこつと毎日勉強している方が良く、そのためには非認知能力が高くなくてはならない。

 実は、非認知能力の訓練は5歳までが勝負らしい。しかし、もし諸君が非認知能力が欠けていると思えば、今からでも遅くはないと思う。実践してみよう。

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2017年1月23日 (月)

パイソン

 ディープラーニングのライブラリで扱えるものが多いため、パイソンが注目されている。パイソンとは、どのようなプログラミング言語なのか見てみよう。

 パイソン(Python)の利点は、まずフリーであることだ。そして、シンプルでわかりやすく初心者に向いているといわれている。

 そして、他の言語よりも少ない行で書けるというメリットもある。例えば、1から100までに整数の輪を表示するプログラムのコードは、C言語なら、

main()
{
    int i,x=0;
    for(i=1;i<=100;i++){
        x+=i;
    printf("%d\n", x);
}

となるが、パイソンなら、

x=0
for i in range(1,101):
    x += i
print x

と、これだけで良い。また、わかりやすくするため、パイソンは字下げ(インデント)を強制している。プログラムはいくつもの種類があるので、C言語が難しくて扱いにくいと思ったら、他の言語に挑戦する手もある。

 GoogleやYahooでも利用されているし、Windows、Linux、MacOS等多くのOSでも動く素晴らしい言語である。ただし、実行時間だけはCの方が速い。

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2017年1月22日 (日)

新政権下でのアメリカの自動運転研究

 トランプ大統領になって、アメリカの研究開発環境にはプラスだろうかマイナスだろうか。一般的に、研究者はクリントン支持だったといわれている。

 それでも、隠れトランプ支持者もいたそうだ。ときに、研究には変化が必要なため、彼らは変化を求めていたともいわれている。

 トランプ大統領の公約は、雇用を増やすことである。自動運転が実現すれば、アメリカから運転手の職業がなくなる。少なくとも、自動運転トラックが実現すれば、180万人のトラック運転手の雇用市場はなくなる。新大統領は自動運転の研究を止めるのだろうか。ところが、大統領はアメリカ軍を増強するとも公約している。自動運転は最新兵器としての価値が高い。危険な状況で兵士の代わりに、無人で偵察したり対戦することができる期待の新装備でもある。研究を止める訳に行かないはずだ。

 インフラ投資を増大するとも公約し、国内に自動車工場を建てることは大歓迎である。新しいハイウェイを走る国産車に、どの程度の自動運転機能が織り込まれるのだろうか。

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2017年1月21日 (土)

ベロダインの新工場

 グーグル自動運転のセンサーとして注目されたベロダインは、フォードとバイドゥから1億5千万dドルもの支援を得た。この資金で始めたのが、カリフォルニアでの新工場の建設である。

 新工場の目標は、2018年に年間100万ユニットの製造である。このときのコストは、300~500ドルを目標にしている。

 2018年時点で、ベロダインのライダーが300~500ドルで手に入るというのは魅力的である。先月、ベロダインはライダーの心臓部を50ドル以下にする目途が付いたと発表している。これは、グーグルからウェイモに変わった自動運転車のプラットフォームには、ベロダインのライダーが採用されない発表を受けたものである。ウェイモが新たに採用した3つのライダーは、ベロダインのコストの10%と発表したので、ベロダインは更に安くなることをアピールしているようだ。

 クアナジーはメカレスのライダーS3を250ドル以下で出荷すると発表している。着々とライダーの低価格化は進んでいる。

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2017年1月20日 (金)

リチウムイオン電池が過放電に弱い理由

 リチウムイオン電池はメモリ効果のない理想的な電池といわれている。それでも寿命はあり、満充電の繰り返しで500回といわれたりする。

 また、致命的な欠点として、過放電してしまうと使えなくなる。なぜだろうか。

 理由は、電極の構造と特性にある。リチウムイオンの正極にはLi酸化物、負極には黒鉛が用いられる。Li酸化物に含まれるリチウムイオンが,充放時に電極に挿入されたり脱離したりする。このとき、電極にイオンが挿入されたり離脱したりするとき、体積が変わるのである。すると、界面にクラックが発生し、電極の重要な材料となる活物質が破壊されるのである。そのため、満充電は体積変化の割合が大きくなり、電池の寿命を縮めるのである。そして、過放電は電極がつぶれた状態になってしまうため、電池の寿命となってしまう。

 古いスマホで電池が膨らんでしまうのはそのためである。充電は80%以下、放電は20%から10%までを目安にして長持ちさせよう。

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2017年1月19日 (木)

ディープラーニング(7)

 コグニトロンの欠点を解決すべく、福島先生は脳の情報処理構造に注目された。その構造というのは、ヒューベルとウィーセルが猫の脳から発見した視覚野に関するヒューベル・ウィーセル仮説である。

 その仮説とは、単純型細胞、複雑型細胞、超複雑型細胞などが階層的に結合された神経回路で視覚情報処理が行われているというものである。福島先生は単純型細胞をS細胞、複雑型細胞をC細胞と命名し、それぞれの組を集めて階層化するネオコグニトロンの研究を始めた。

 ネオコグニトロンは視覚野を真似た構造のため、まずS細胞で画像の特徴量を抽出し、その出力をC細胞で集めるという構造にした。C細胞で特徴量を集める目的は、入力パターンの位置ずれを吸収するためである。現在のパターン認識を行うディープラーニングの構造は、ネオコグニトロンそのものであり、S細胞をコンボリューション、C細胞をプーリングと呼んでいるだけである。違いは学習の仕方で、ディープラーニングはバックプロパゲーションを採用しており、ネオコグニトロンは新しい入力パターンに反応する細胞がないときは新しく細胞を加えるという「add-if silent」学習則を採用している。

 ネオコグニトロンは当初特許出願されていたものの、予算が厳しく特許権を放棄されたそうだ。特許権がないくなったのでディープラーニングで開花したともいえるし、特許権を継続していれば莫大な収入になったともいえる。

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2017年1月18日 (水)

ディープラーニング(6)

 バックプロパゲーションが4層以上で収束するようになって、ディープラーニングが実現した。ところが、ネオコグニトロンは最初から4層以上でも収束していた。

 ネオコグニトロンがネオというのは、前進のコグニトロンが存在したからである。コグニトロンも福島先生が研究開発したものである。

 コグニトロンが発表されたのは1975年、パーセプトロンが4層以上で収束しない欠点を克服することを目標に開発された。パーセプトロンの教師あり学習に対し、コグニトロンは教師なし学習である。教師なし学習とは、正解を教えるのではなく、学習させたいパターンをただ繰り返し見せ自己組織化を進ませる方法である。すると、パターンごとに選択的に反応する細胞ができあがった。この手法は、現在では競合学習と呼んでいる。

 認識させたいパターンを繰り返し見せることで4層以上でも収束するコグニトロンが完成した。しかし、コグニトロンは入力パターンの位置がずれたり変形すると、別パターンとして認識してしまう欠点があった。

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2017年1月17日 (火)

ディープラーニング(5)

 バックプロパゲーションとは、最初に計算された最終出力層の結果と所望の結果との差を明らかにし、その差がなくなるように順に重みを逆方向に変えて行く手法である。この計算手順は3層ではうまく行く。

 ところが4層以上になると、とたんに重みの調整がうまくいかなくなる。層が深くなった分ネットワークが広がってしまい、所望の重みへの収束が難しくなったからである。

 2006年、トロント大学のジェフリー・ヒントン教授は、ディープビリーフネットワークを発表した。ヒントン教授らが提案したネットワークは4層以上に深く、しかも収束していた。層が深くなっても学習できた秘訣とは、層毎に学習が完了してから次の層を付け足したことにある。これまで4層以上を一度にやっていたのでうまく行かなかったので、1層が終わってから2層目と順に学習し、全ての学習が終わってから全層を結合してバックプロパゲーションをかけたのである。そして、2012年、グーグルのアンドリュー・ウンがネオコグニトロンで使われたコンボリューションナルネットワークで1000万本のYouTubeビデオ画像を学習し、ディープラーニングが学習した猫の画像を発表した。以降、ディープラーニングは爆発的なブームとなり、全てのものに応用が試みられるようになったのである。

 現在、画像認識で使われるディープラーニングは、福島先生が発見されたネオコグニトロンの層を深くしたものである。ディープビリーフネットワークも、バックプロパゲーションやパーセプトロンがなれば存在しなかったものである。研究で重要なことは、ブームに乗るのではなく信念を貫くことである。

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2017年1月16日 (月)

ディープラーニング(4)

 1986年、バックプロパゲーションによりニューラルネットワークの氷河期は終わった。また、バックプロパゲーションが再発見だったこともわかり、日本の研究者も脚光を浴びた。

 再びニューラルネットワークのブームが訪れ、あらゆるものに応用が試みたれた。そして、3層より層を深くして学習効果を上げることも試された。

 ところが、バックプロパゲーションは4層以上にすると、うまく学習することができなかった。特定の事象ではうまく行くものの、汎用的にどうすれば良いかが誰もわからなかった。そして、再びニューラルネットワークは冬の時代を迎えたのである。しかし、氷河期ではない。冬来たりなば春遠からじといわれるように、これがディープラーニングのための冬だったのである。

 バックプロパゲーションを多層にするとうまく学習できないのは、層が深くなってしまったため適切な重みがネットワークにちらばってしまい収束できないからである。ディープラーニングの登場まで、誰もこの問題を解決できなかったのである。

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2017年1月15日 (日)

ディープラーニング(3)

 実は、ローゼンブラットが提案したパーセプトロンは非線形分離問題も扱える3層でした。ところが、その後の研究は中間層を省いた2層による単純パーセプトロンの研究が進んだため、ミンスキーの批判も単純パーセプトロンだけに当てはまるものだったのです。

 ミンスキーと同僚のパパートは、人工知能の予算を確保するため、単純パーセプトロンを理論整然と解析して致命的限界を示し出版した。このため、パーセプトロンの熱は一気に冷めてしまい、パーセプトロンは線形分離可能問題しか扱えないというレッテルが貼られたのである。

 それ以降、人工知能の研究は学習型ではなく、知識を扱うプロダクションルール型に移行した。知識の表現方法や各知識の関連を表す構造が研究され、知識ベースシステムとして実用化した。その間、ニューラルネットワークは氷河期といえるものの、非線形分離を扱う研究は続けられた。日本では、ミンスキーがパーセプトロンを批判している頃、甘利先生が既に隠れ層のある3層モデルの計算モデルを発表し、1974年、福島先生が後のディープラーニング計算に使われるネオコグニトロンを提案された。1986年、認知心理学者ラメルハートが再発見した3層モデルのバックプロパゲーション(誤差逆伝搬法)を発表すると、ニューロの氷河期は終わり再び脚光を浴びたのである。

 このモデルは、従来の入力層と出力層の間に隠れ層を設定した3層モデルで、所望の出力結果になるよう誤差を出力層から入力層に向かった逆方向に重みを調整するものである。こうして、ニューラルネットは非線形分離問題も扱えるようになった。

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2017年1月14日 (土)

ディープラーニング(2)

 パーセプトロンは、入力層となるいくつかのニューロンの出力を、出力層となるニューロンへの入力とした2層構造である。各層の入力部分に重みがあり、これら重みを変更することが学習に相当する。

 例えば、2入力1出力の場合、2入力を1と2、出力を3となるように重みを変更する。次に、入力を変えて出力が2入力の和となるようにまた重みを変更する。

 この学習を何回か繰り返し、未学習のパターンを入力すると見事にその和を出力するのである。この場合、パーセプトロンは加算を学習したことになり、単純な仕組みなから加算器が生成されたということなのである。出力を変えて差になるように学習すれば、減算器が生まれる。乗算器を作ることもできる。実際にはパーセプトロンへの入力は0以上1以下なので、適当に正規化する必要があるものの、当時は何でも学習できる万能器として期待されたのである。

 ところが、1969年、MITのマービン・ミンスキーがパーセプトロンの限界を明確に示した。それは、パーセプトロンは、いわゆる線形分離可能問題にしか適用できないということなのである。

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2017年1月13日 (金)

ディープラーニング(1)

 ディープラーニングが流行っている。そこで、しばらくの間、ディープラーニングとはどういうものかを解説する。

 ディープラーニングはニューラルネットワークが進化したものである。ニューラルネットワークから振り返ってみよう。

 ニューラルネットワークとは、生物の神経細胞の仕組みを模擬した計算手法である。1943年に神経生理学者マッカロックと数学者ピッツが提案した神経細胞の仕組みは、他の多くの神経細胞からの出力を入力とし、それら入力に重みをかけて足し合わせ、興奮すれば出力が出るという単純なものである。例えば、3入力で考えると、入力が1、2、3とする。これに掛かる重みが0.9、0.7、0.6とすると、1×0.9+2×0.7+3×0.6=4.1と計算し、閾値と比較して出力するかどうかを決めるのである。つまり、掛け算と足し算の結果を閾値と比較するだけの単純なモデルである。これが、ニューラルネットワークの出発点だった。

 1958年、心理学者フランク・ローゼンブラットは入力層と出力層からなるパターンを学習できるニューラルネットワークをパーセプトロンと命名した。パーセプトロンは簡単な計算アルゴリズムに関わらず、学習することができたので非常に注目されたのである。

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2017年1月12日 (木)

自動操縦タクシー元年

 2017年は自動運転の年と紹介した。何と、今年は空飛ぶ自動操縦タクシー元年にもなりそうだ。

 エアバスが、自動操縦旅客機バナナの試作機を2017年末に完成させると発表した。すると、ウーバーが2021年までに空飛ぶ自動操縦タクシーを開発し、2026年にサービス開始と公表したのである。

 エアバスが計画しているバナナは、一人乗りの自動運転電動エアタクシーであり、ドローンを大型化したものである。バナナが完成した暁には、ウーバーと提携したいとしている。そのウーバーは、バナナを使ったエアタクシーシステムとして開発し、その確認を2021年としているのである。よって、2017年は自動操縦タクシー元年といえる。また、ウーバーはエアタクシーのイメージとして、バナナ以外にもチルトローター型も発表しており、他社のものを採用するかも知れない。

 電動エアの性能としては、一回の充電で160kmとしている。最高速は240km/hに達するため、東京から諏訪湖まで40分で移動が可能となる。

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2017年1月11日 (水)

ウェイモの自動運転車のプラットフォーム

 グーグルから独立した自動運転プロジェクトとなるウェイモのハードウエアが公開された。公開した所は、現在開催中のデトロイト・オートショーである。

 使用している車両は、フィアット・クライスラーのハイブリッド・ミニヴァンである。今月から、カリフォルニア州とアリゾナ州の公道で試験走行を開始する。

 環境センサーは、ライダー、カメラ、電波レーダの3種類を搭載している。ライダーは従来のベロダインから、新たに短・中・長距離用の3種類のものを採用している。センサメーカーはベロダインではなく、3つ足し合わせてもベロダインのコストの10%とのこと。また、カメラは8つ装着し、従来使っていなかった電波レーダーを採用している。これは、霧対策に用いられる。

 ウェイモはハードウエアとソフトウエアが一体となって、他社が真似できないシステム開発を目指している。これはアップルの方針であり、彼らが恐れていることは技術の汎用化なのである。

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2017年1月10日 (火)

2017年は自動運転の年

 IEEEは2017年のトップ技術の一つとして自動運転をあげている。2017年は、自動運転乗用車とトラックの年になるというのである。

 自動運転車の登場は、長距離の運転が楽に安全になるということだけではない。われわれの生活を根本から変革する可能性があるのである。

 フォード、グーグル、ベンツ、テスラ、ウーバー等各社は、2021年までにアメリカで全自動運転車を発売すると宣言している。去年末には、以前紹介したように、ウーバーとオットーが共同でバドワイザーを運ぶ自動運転トラックを試走させた。中国でのバイドゥやドイツでのベンツのように、自動運転トラックを公道で走行させているところは他にもある。唯一の例外がインドで、マルチスズキのトップは、まだまだ自動運転車は人間のドライバーのようには運転できないとアナウンスしている。しかし、シンガポールでは自動運転タクシーの試験が始まっている。

 アメリカでは職業の50%が運転に関連し、生活ドライバーは3.5百万人に及ぶ。自動運転が実用化すると、彼らの仕事がなくなるのである。

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2017年1月 9日 (月)

電子情報通信学会が提言する未来(4)

 電子情報通信学会の特集4番目は、コンテンツプラットフォームと機械学習である。IoTと人工知能に近いイメージがあるものの、こちらは物ではなく人間の嗜好を扱うものである。

 人工知能が全てのモノを扱う時代が来る。全てのモノには、人間の嗜好も含まれるのである。

 インターネット登場時は、個々のサイトがコンテンツを提供していた。しかし、現在はYoutubeのように、コンテンツプラットフォームが主流である。これをより使いやすくするためには、利用者がどんなものを好み、他のサイトは何を利用し、ショッピングで何を買ったか等を有機的に結び付ける必要がある。すなわち、利用者の利用履歴(ログ)を残し、リコメンドエンジンが協調フィルタリングを行って、利用者の嗜好を分析するのである。こうすることによって、いつの間にか利用したいコンテンツにすぐたどり着き、欲しかったコンテンツをインターネット側から提供してくれるようになるのである。

 リコメンドエンジンには機械学習が使われ、その中にはディープラーニングも含まれる。やがて人工知能は人間のメールやコメント自体の意味を理解し、諸君にメールを出して来るかも知れない。

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2017年1月 8日 (日)

電子情報通信学会が提言する未来(3)

 電子情報通信学会の特集3番目は、IoTと人工知能である。IoTとは、全ての物がインターネットに接続されるという意味である。

 IoTが実現すると、世界中の人口よりもインターネットに繋がったデバイスの方が多くなる。そうなると、人の手で設定したりプログラミングすることは不可能であり、人工知能がなければ何もできなくなるというのだ。

 人工知能は、ここ数年で飛躍的に性能が向上した。その原動力はディープラーニングである。元々、コンピュータは人間よりも計算が早く、正確で、一人の人間が一生かかって解ける計算問題を一瞬で解くことができる。しかし、画像認識の様に、子どもでもわかるパターンの区別が苦手だった。ところが、ディープラーニングの成功により状況は一変した。コンピュータが人間並みに、場合によっては人間以上に正確に早く画像等のパターンを認識するようになったのだ。すなわち、今の人工知能は画像を見せれば、どこに人が映っているか、自動車が何台あるかを答えられるし、人間の様に、半分見えていない物でも認識できるようになった。

 人間以上の処理能力を持つ人工知能が、IoTと結び付く未来。人間を攻撃するものだけは、人工知能を排除したい。

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2017年1月 7日 (土)

電子情報通信学会が提言する未来(2)

 電子情報通信学会の特集2番目はエッジクラウドである。エッジクラウドとは、エッジコンピューティングとクラウドコンピューティングが一体になるということである。

 以前に紹介したように、端末の計算能力が上がってきてエッジコンピューティングが注目されるようになった。これらエッジデバイスは、各家庭や職場のLANと連携され、エッジクラウドを構成するようになるというのである。

 大学の授業でも、全員がスマホを持っていて学内LANに繋がっていれば、学生が教師の質問の答えをスマホに入力して全員の理解度をチェックすることが可能となる。この質問が演習問題となりスマホで計算して回答するようになると、スマホ側にアプリをインストールし高い計算能力が必要になる。こうして、エッジ側でも計算処理し、クラウド側でもその結果を処理するとなるのがエッジクラウドである。これからは、エッジクラウドの時代になるのである。

 代表的なエッジクラウドが活躍する場面としては、家庭、企業用、モバイル(自動車での使用含)、ホットスポット等になる。そして、エッジクラウドの情報を統合するクラウドも必要となる。

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2017年1月 6日 (金)

電子情報通信学会が提言する未来(1)

 今年は電子情報通信学会が創立100周年を迎える。そのため2017年1月号会誌に、今後100年に向けてという特集があった。

 その特集で取り上げられていた記事は、医療へのデータ活用、エッジクラウド、IoTと人工知能、そしてコンテンツプラットフォームと機械学習である。医療へのデータ活用から順に紹介していこう。

 1948年、世界保健機構WHOが設立されてから今日まで取り組まれたことは、感染症克服と低栄養対策だった。ところが、2011年、生活習慣病(非感染性疾患NCD:Non-Communicable Disease)への取組へとかじ取りされた。なぜなら、今や全世界の死亡原因の60%がNCDなのである。このNCD対策にデータが活きてくるのである。スマホやウエアラブルによる運動量モニタリングから生体センサ装着による健康データのチェック、更には体内に血糖センサや生体電極を埋め込むことが実現するというのだ。

 健康に関するビッグデータの解析も、人工知能が活用されるだろう。これからは、ICTが医療に欠かせない時代となるのである。

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2017年1月 5日 (木)

ブームにならないウエアラブル

数年前からウエアラブルのブームが来るといわれている。特に、昨年度はアップル・ウォッチの普及で拍車がかかるといわれていた。

 ところが、ウエアラブルはブームになっていない。アップル・ウォッチを始めとするスマート・ウォッチの普及が進まなかったのが不振の原因といわれている。

 アップル・ウォッチ以前のウエアラブルといえば、リスト型の心拍を検出する健康グッズが主流だった。アップル・ウォッチは健康管理に加えて、アラームを含む時計機能はもちろんのこと、電話、メール、ライン、撮影の遠隔機能、飛行機のチェックイン機能等を追加して便利さを格段に向上させた。発売当初は話題になったものの、その後ブームにはならず、見事にこけたといえる。

 使ってみると便利で手放せなくなった。電池容量も改善されているので、スマホなしでも使える様にばればもう少し普及するのではと思う。

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2017年1月 4日 (水)

UDRIVE

 欧州の研究開発は、各国ベースのものだけでなく欧州全体で行うものが多い。特に各国で仕様が異なるとうまく行かないITSではこの傾向が強い。

 欧州のITS関連のプロジェクトで、本学の留学先の一つとなるイギリスのラフバラー大学が中心に行っているものがある。それはUDRIVEというプロジェクトである。

 UDRIVEは、自然な運転手のドライバモデルを構築することを目的にしている。そのため、ボランティアで協力してくれる運転手の車に7台のビデオカメラを設置し、普段の運転状態の表情や手足の動きを撮影しながら、ステアリングやペダル、車速のデータを収集している。自動車は乗用車だけでなく、トラックや二輪等470台が参加し、イギリス、オランダ、フランス、ドイツ、スペイン、ポーランドの6カ国で実施中である。イギリスではラフバラー大学とリーズ大学が担当しており、30台の車両のデータ収集と解析を行っている。これらのデータから、事故原因からエコドライビングのノウハウ等を解析しているのである。

 UDRIVEの実施期間は、2017年6月までと今年が最後になる。オランダのハーグでInternational Symposium on Naturalistic Driving Researchとして6月7日に紹介される予定だ。

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2017年1月 3日 (火)

マグナ・シュタイア社

 アップルがEVを開発しているという噂がある。そして、製造はマグナ・シュタイア社が行うとも言われている。

 マグナ・シュタイア社とは、自社ブランドは持たずに他社から委託されて自動車を開発生産する自動車生産委託会社である。オーストリアのグーツに工場を持ち、年間20万台の生産能力を持つ。

 シュタイアは1948年からフィアット1100の生産を開始し、有名なフィアット500トッポリーのも同社の生産である。現在の生産車は、ベンツGクラス、ミニのカントリーマンやペースマンのSUV、プジョーRCZ等である。最近のシュタイアが開発・生産した有名な車両といえば、BMWのクロスオーバーSUV初代X3である。3シリーズのコンポーネントを多用し、小型高級SUVとして成功した。

 このように、シュタイアはSUVや少量生産の高級車を得意としている。このことから、アップルのEVも高級車路線と思われる。

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2017年1月 2日 (月)

ジャガーIペース

 これから発売予定のEVで、個人的に注目しているのがポルシェのミッションEとジャガーのI(アイ)ペースである。ミッションEの発売予定2020年に対し、Iペースは2018年発売予定なので現実味が高い。

 ミッションEもIペースも、それぞれポルシェ、ジャガーの初EVである。どちらも高級スポーツカーメーカーというのが面白い。

 ポルシェはカイエンというSUVを成功させたため、ジャガーもSUVブームに乗り遅れないよう昨年にFペースというSUVを販売した。EVではポルシェより先にトレンドを反映させたいようだ。IペースはFペースさながらのSUVルックのデザインを基調とし、前後輪それぞれにモーターを配置する4WDとしている。最高出力は400PSにも達する。90kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、フル充電時の航続距離は500kmとなる。これから登場する本格的乗用EVの航続距離は500kmが標準になるのではないかと思われる。なぜなら、カタログ値が500kmなら、夜間ヒーターを付けての走行が250kmとなる。高速道路で2時間強を走行して、休憩時に充電というパターンが実現するからである。

 ただし、90kWhともなれば家庭での充電が難しくなる。Iペースでは、一晩家庭で充電しても航続距離は50kmと発表している。

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2017年1月 1日 (日)

EVの課題

 あけましておめでとうございます。今年も、新技術、自動車、出張先の状況、学生時代に身につけておきたいこと等を掲載していくので、よろしくお願いします。

 年末からEVの話をしているのは、過去何回か訪れたEVブームが今回は本物だと思うからである。欧州がEVを本気で普及させようとしているのは、環境性能の良さからだ。

 ガソリン車の排気ガス中の有害成分は、今やほとんど触媒で除去され、問題はCO2の排出量だけが問題である。一般的なガソリン車のCO2排出量は、190g/kmとされている。ディーゼル車でも145g/kmである。ところが、EV自体のCO2排出量はゼロであるし、EVの電力を火力発電所で発生したと考えても50g/kmである。同様の試算で、燃料電池車が80g/kmである。EVがダントツで環境性能に優れていることがわかる。だから、EVのデメリットを克服すれば、地球温暖化の切り札としてEVに移行するしかないというのが欧州の結論である。

 ところが、EVのデメリットとは、航続距離が短い、急速充電スタンドが少ない、車両価格が高い、バッテリーが劣化する、爆発(火災)の危険性が大、重たいと、これまでのブームを短命に終わらせただけ強力な要素が多い。これらデメリットを克服すれば、環境性能だけでなく、ガソリン車の1/8といわれる燃料代、モータ独特の加速感、EVならではの新デザインが手に入るのである。

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