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2017年2月28日 (火)

gPBL(6)

 六日目は現地企業の工場見学である。本来なら、真ん中の五日目に実施するところを、今年は企業の都合により一日ずらした。

 ハノイ市内にあり、大学からも近い機械メーカーだった。ハノイ工科大学の卒業生が仕切っている。

 この会社は創業が2000年、従業員が120名の若い中堅企業である。機械部品を扱い、クライアントの要求に基づいて、設計、製造を行う。製造は、機械プレス、機械加工に加え熱間鍛造も行う。工場の設備を見ると、創業年にしては古いものが多かった。日本製のものもあり、前の持ち主のラベルが貼ってあった。つまり、中古の工作機械を購入して輸入したようだ。計測ジグはフランス製やイタリア製のものを使っていた。同様のものを製造する日本の工場とアジアの工場を見比べるのは、とても良い経験になる。

 工場見学を午前中に終え、午後からはバッチャン焼を見学に行った。ハノイといえば、バッチャン焼とハロン湾が有名で、ハロン湾は半日では見学できないのでバッチャン焼となった。

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2017年2月27日 (月)

gPBL(5)

 五日目からいよいよ製作に取り掛かる。まずは、大学周辺でのパーツ買出しから。

 パーツ屋の集まっている場所があるので、そこで必要なものを購入する。予算は1万円(100ドル、200万ドン)である。

 チームに共通しているものはタイヤ、シャシフレーム、スプリング等なので同じものを買って来るのかと思うと、チームによって違うものを買っていた。例えば、タイヤ要素は、キャスターだったり、三輪車のタイヤだったり、小型自転車用と思われるタイヤだったりという具合だ。製作には工作室を使用する。ドリル、カッター、旋盤等があり、シャシフレームの加工や穴明けが可能である。またアーク溶接もできるので、金属同士の接合も問題なくできる。

 工作機械の使用は、安全のためこれらの機械に慣れた現地ベトナム人学生が行う。初めて、実際にアーク溶接を使う所を見る日本人学生もいる。

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2017年2月26日 (日)

gPBL(4)

 四日目はDR(デザイン・レビュー)である。三日間かけて設計した各チームのアイデアを教員が設計審査するのである。

 ハノイ工科大学も本校も機械系の学生で、設計については学んでいるため、要求仕様はきっちりと最初に認識している。また、本校の学生から提案があったと思うところで、システム工学的な評価手法が織り込まれている。

 機械エネルギーを貯める方法として、ゼンマイ仕掛けはなかったものの、ゴム、スプリング、圧縮空気を使ったものが多かった。変わったところでは、10チーム中の2チームが乗員の体重をポテンシャルエネルギーと見立て、それを推進力に変換する機構を提案していた。車輪の数は3輪車と4輪車に分かれていた。面白いと思ったのは、隣で作業していたチームの方式が似ていることである。真似した訳ではないものの、無意識に会話を聞いて共鳴したのだろうか。

 推進力を計算するため、バネ乗数を簡単な実験をして求めているチームもあった。明日からは、部品を調達して製作に取り掛かる。

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2017年2月25日 (土)

gPBL(3)

 三日目は課題の設計である。設計はCADで行う。

 ただし、日程の関係で全てを新規設計はできない。工夫しない所は、部品を探して買って来ればよしとしている。

 購入部品を組み立てて、機械エネルギーを蓄積する機構を設計するため、どんな部品を購入するかが重要となる。そこで、この日は実際に入手可能な部品の調査も課題とした。ハノイ工科大学周辺の店で利用可能な部品を調査するのである。例えば、車輪は家具類用のキャスターを使えば良い。問題は、エネルギーを発生させるスプリングやゴム等の伸縮できるものが見つかるかどうかである。

 部品調査時間として2時間を与えた。2時間で終わったチームと、いつまでも終わらないチームに分かれたようだ。

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2017年2月24日 (金)

gPBL(2)

 二日目は、いよいよ課題のスタートとなる。今回の課題は、一人乗りの乗り物を開発することである。

 条件は機械エネルギーを貯めて推進することで、例えば大型のゼンマイ仕掛けのクルマを想定している。最終的に競技をして、指定した距離で正確に止まるかどうかを競う。

 一人乗りでも乗員は一切操作せず、スタートの合図で何らかの操作をすると発進し、指定した距離で自動的に止まるというものである。これを0から設計し、近隣のマーケットで部品を買って工作し、実際に造ったもので性能を競うという課題である。今日のところは、4人でアイデアを出し合って基本構造をどうするか相談するのである。

 チームによっては、CADでイメージを具体化したところもある。ところが、どうやって製作するのかわからない絵を描いているので、明日からの展開を期待しよう。

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2017年2月23日 (木)

gPBL(1)

 2月22日から3月2日までは、ハノイ工科大学でgPBL(グローバル・プロジェクト・ベースト・ラーニング)を引率している。去年に続いて2回目になるものの、今回は去年とテーマを変えたので日々の状況を報告しておこう。

 初日は、羽田からハノイへの移動と、ハノイ工科大学でのアイスブレーキングである。飛行時間は5時間ちょっとでハノイは日本から-2時間なので、9時前に出発し13時過ぎに到着となる。

 13時過ぎの到着でも、空港での換金等の手続きのためハノイ工科大学への到着は15時30分頃となった。早速開始するとしても、まずはハノイ工科大学と本校との混成チームを作ってアイスブレーキングである。去年のベトナム学生10名、日本学生10名で20名参加に対し、今年はそれぞれ20名で総勢40名参加となるため、ベトナム2名、日本2名の混成チームを作るにも時間がかかる。17時から歓迎セレモニー等を加えて開始し、終了は19時だった。

 それから夕食に移動となり、その頃にはすっかり和気あいあいと溶け合ったチームになっていた。明日からのプロジェクト開始が楽しみである。

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2017年2月22日 (水)

2016年の自動運転テスト結果

 昨年度、アメリカのカリフォルニア州で行われた各社の自動運転の公道テストにおいて、3時間に一回の割合で自動運転が失敗していることがわかった。すなわち、各社の自動運転の総走行距離で、自動運転続行が不可能になった場合が2578回発生したのである。

 これら各社とは、グーグル、クルーズ、日産、デルファイ、ボッシュ、メルセデス、BMW、フォード、テスラの9社である。ここに列挙した順に自動運転のテスト距離が長い。

 各社での自動運転の失敗回数が最も多いのがボッシュで、983マイルの走行で1442回も発生している。これは自動運転で、ほぼ1kmしか走行できないことになり、まだ自動運転の初期段階と推測される。最も少なかったのはBMWで、638マイル走って1回だけだった。こちらは、ハイウェイだけでテストしたのかも知れない。走行距離が一番多いグーグルは635868マイル走行し、124回の失敗が発生した。これは、1000マイル当たりの失敗回数が0.2回と失敗の割合は各社中で最も低く、完成度の高さを現わしている。

 盛んに自動運転を宣伝しているテスラのデータでは、550マイル走行して182回失敗している。自動運転の持続距離が5km弱ということであり、テスラの自動運転はドライバも周囲の交通を監視しなければならないレベル2でテストしていると思われる。

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2017年2月21日 (火)

エアブロック

 2009年に立ち上がったアメリカのクラウドファンディングのキックスターターは、毎日面白いプロジェクトを提案している。今月立上げを目標としている面白いプロジェクトを紹介しよう。

 それは、ドローンのファン1つをモジュール化して、自由に組み立てるエアブロックである。各パーツを磁石で接続させ、多様なドローンを組み立てることが可能なのだ。

 ブロックは全て六角形で、コントローラとなるメインの六角形を中心にファンブロックを組み合わせる。制御はスマートフォンで行う。ファンを6個組み付けるドローンを基本とし、ファン3個のドローンや、ホバークラフト、ファン2個を推進力だけに使うスパイダー等、ブロックの組合せ方で多様なドローンやホバービークルを作ることができる。ダウンロードしたアプリで飛行形態をプログラムすることも可能である。出荷前のブロック1個の投資は89ドルからとなっている。発送先は世界中どこでも。

 このエアブロックが成功するかどうかは、十分に出資者が集まるかどうかに依存する。キックスターターでのプロジェクト成功率は約45%なので、期待半分というところだろうか。

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2017年2月20日 (月)

ドローンタクシーがドバイで実用化

 パイロットレスのドローンタクシーが実用化するのは、まだ数年はかかるだろうと思っていた。ところが、早ければ今年の7月にもドローンタクシーがドバイで始まるかも知れない。

 今月開催された世界政府サミットで、ドバイ高度交通庁が1人乗りドローンの飛行に成功していると講演したそうだ。使用したドローンは中国製のドローン「EHang 184」で、最高速度160km/hで航続距離は50kmである。

 乗員の他に、積載重量は100kgと実用的である。飛行高度は、ドバイの超高層ホテル「ブルジュ・アル・アラブ」の上空でもOKとか。EHanh184の操縦方法は、コックピットのナビスクリーンで目的地をタッチするだけで良い。後は自動で飛行し目的地で着陸する。ファンは4ロータータイプである。すると、気になるのが安全性である。ドローンの飛行は4ローターで安定する。一つでもローターが故障すると不安定になる。そこで安全を重視する場合、ローター数を4よりも増やすのが一般的である。

 また、他の飛行物に対するレーダーがあるのかも心配になる。7月は定期運航と言われているので、ルートが固定されているのかも知れない。

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2017年2月19日 (日)

自閉症をディープラーニングで予測

 22年前、自閉症の患者は脳の容積が大きくなり過ぎていることがわかった。そして、この脳の異常発育は、幼少時から起きることもわかってきた。

 ノースカロライナ大学の研究チームは、生後6カ月の幼児の脳をスキャンして自閉症になるリスクの高い子供を予測する手法を開発している。それは、スキャンデータをディープラーニングを用いて解析する手法である。

 そのアルゴリズムは現在のところ、2歳で自閉症になる子供を81%の精度で予測している。従来からある1歳の幼児の行動パターンから予測する手法では、ちょうど50%の精度だったことと比べると驚異的な精度である。今回の予測手法の結果から、脳の異常発育は6カ月から1年で現れることもわかった。

 自閉症は100人に1人の割合で発生する珍しくない症例なものの、これまで科学的に有効な治療法がなかった。原因の一つがわかれば、今後の展望も期待できる。

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2017年2月18日 (土)

ディーゼルエンジン(6)

 ディーゼルエンジンの噴射ポンプは、エンジン本体以外で最も重要な部品である。そして、噴射ポンプはディーゼルエンジンが生まれてから、常に同時に発達し続けている。

 ディーゼルエンジンは圧縮行程でガソリンエンジンの2倍以上の高圧になるため、そこに霧状の燃料を注入することが必要になる。そのため、圧縮行程の圧力以上に高圧にするポンプが必要なのである。

 当初は、クランクシャフトの駆動力を利用して機械的に動作させるポンプが主流だった。例えば、4ストロークサイクルの場合、噴射ポンプはクランク回転数の半分の速度で駆動することになる。燃料噴射は、圧縮行程での上死点手前で行われるため、噴射圧力は200MPaを超える高圧になる。排気ガス規制が強化されるに伴って、ディーゼルエンジンにも複雑な燃料制御が必要となり、電子制御式の噴射ポンプへと変貌した。ディーゼルの電子制御式燃料噴射ポンプは、コモンレールと呼ばれる方式が一般的である。コモンレールは、サプライポンプが燃料を加圧し、噴射制御はインジェクタが行う分業方式の燃料噴射方式である。レールとはパイプのことで、全気筒共通に高圧燃料を蓄える部分を差す。

 1910年頃、ボッシュがコモンレール方式を提案した。現代のコモンレール方式を実用化したのはデンソーであり、1995年、日野レンジャーに初めて採用された。

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2017年2月17日 (金)

ディーゼルエンジン(5)

 1897年2月17日、ちょうど120年前の今日、ミュンヘン工科大学でディーゼルエンジンの公認試験が行われた。その試験でディーゼルエンジンは熱効率35%、機械効率75%が正式に認定され、それは当時のガソリンエンジンの2倍の性能を誇るものだった。

 ディーゼルは愛妻マルタに、「誰もできなかったエンジンを完成した。初めて自分の専門で自慢できることができた。」と手紙を送っている。ディーゼルが39歳になる年の早春、もっとも幸せな瞬間だったのではないだろうか。

 ディーゼルエンジンの燃料には、ガソリンより約12%エネルギー密度が高いものが使用できる利点がある。そして、ガソリンエンジンの2倍の圧縮比で燃料を燃やし、より完全な燃焼とより低温の排気ガスを生成する。機械的にも長いストロークと低い回転速度は摩擦損失を低減し、機械効率も上げるのである。現在、アメリカの乗用車でディーゼルエンジンの搭載率は3%に過ぎない。しかし、内燃機関型の動力を使用する産業機械は、ほとんどがディーゼルエンジンと言っても過言ではない。現在の産業機械用のディーゼルエンジンでは、総合的な効率が50%を超えており、これはガスタービンの40%を超えているのである。

 最初のディーゼルエンジンを採用した乗用車は、1936年のメルセデス・ベンツ260Dである。欧州ではアメリカとは違い、現在、全乗用車の40%がディーゼルエンジンなのだ。

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2017年2月16日 (木)

ディーゼルエンジン(4)

 1913年9月29日、ディーゼルはロンドンに行くためアントワープ港から船に乗った。イギリス海軍がディーゼルエンジンについて詳しく聞きたいと言われたからである。

 ところが、その夜ディーゼルは船中から突然姿を消したのである。そして、10日後、オランダのトロール船に遺体がひっかかり死亡が確認された。

 失踪日の状況は、船上で夕食を取った後、翌朝の起床時間を依頼して自室に入った。翌朝、ディーゼルの部屋は無人で、ベッドを使った形跡もなかったのである。10日後に海上で発見された遺体の後頭部には、鈍器で殴られた傷跡があり、明らかに他殺だったという。犯人は同行した二人に間違いないはずなのに、彼らは何の罪にも問われなかったのである。ディーゼルの妻が、渡航前に翌週まで開けるなと言われた鞄を確認すると、20万マルクの現金と預金残高0を示す書類が入っていたため、自殺の可能性が高いと結論付けれれた。これは、当時ドイツとイギリスが敵対関係にあったため、ドイツの秘密警察が利敵行為と捉えて同行者に犯行を指示したのではないかといわれている。

 翌年、第一次世界大戦が勃発した。イギリス海軍の戦艦を撃沈されたドイツのUボートの動力は、ディーゼルエンジンだったのである。

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2017年2月15日 (水)

ディーゼルエンジン(3)

 ディーゼルが考案したエンジンに最初に興味を示したのは、ドイツ、マン社の重役ハインリヒ・フォン・ブズだった。ブズはマン社でのエンジン製造販売を検討していたのである。

 ディーゼルはマン社でエンジンを開発することになり、アメリカでも特許を取得した。試作に成功し、ディーゼルのエンジンが動き始めたのは、1897年のことである。

 開発当初はオイルエンジンと呼ばれていた。しかし、後にはディーゼルの名を配したディーゼルエンジンと呼ばれるようになる。高価な揮発性のあるガソリンを使わず、安価な石油や重油を燃料としかつ効率の良いディーゼルエンジンの開発に着手し、ドイツやスイスにディーゼルエンジン製造業者が現れた。もちろん、マンでもディーゼルエンジンを製造し、1903年には、ロシアで世界初のディーゼルエンジン搭載石油タンカーが進水した。翌年には、フランスで世界初のディーゼル潜水艦が造られた。

 こうしてディーゼルエンジンは世界中に広がって行き、1913年、アメリカ海軍の潜水艦もディーゼルエンジンを採用した。この年、ディーゼルはロンドンで講演に呼ばれ、イギリス海峡を渡っているとき事件は起きた。

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2017年2月14日 (火)

ディーゼルエンジン(2)

 ディーゼルは1858年、ドイツ人の両親が住んでいたパリで生まれた。ミュンヘン工科大学に進学し、企業家として成功するカール・フォン・リンデから学んだ。

 卒業後、企業したリンデの会社で働き、自ら設計した冷凍・製氷工場の工場長となった。32歳で研究開発部門の責任者に就任し、蒸気について研究し始めた。

 カルノーサイクルの勉強を始め、当初は石炭の微粉末、粉炭を用いてエンジンを作動させようとした。しかし、これはうまく行かなかったとき、リンデからマレーシアで使われている発火ピストンを見せられた。これは、木製の筒にもぐさを入れ、押し棒を使って発熱させるものだった。ディーゼルは、これを熱機関に利用できると思い付いたのである。熱の無駄を無くすために、燃料を少しずつ注いで最高温度を調節し、そして、排気の温度を低くしようとして一定量の燃料が圧縮空気にふれると自然に着火する構造にたどり着いたのである。

 ディーゼルは成果を「既知の蒸気機関と内燃機関を置換する合理的熱機関の理論と構築」というタイトルの論文として発表した。その後、1893年2月23日、特許を取得したのである。

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2017年2月13日 (月)

ディーゼルエンジン(1)

 1824年、フランスの物理学者ニコラ・レオナール・サディ・カルノーが理想的熱機関の熱サイクルを発表した。これがカルノーサイクルである。

 カルノーサイクルは、温度の異なる2つの熱源間で動作する可逆熱サイクルである。外燃機関のスターリングエンジンでは近いものができるものの、内燃機関では実現不可能である。

 カルノーサイクルは、発表当時注目されなかった。それから20年以上経ち、イギリスの物理学者ウィリアム・トムソンがカルノーサイクルを知り再研究を始めた。そして、カルノーサイクルは有名になり、1800年代後半はヨーロッパの技術者がカルノーサイクルを実現する熱機関の開発を始めた。その中の一人に、ドイツ人のルドルフ・クリスチアン・カール・ディーゼルがいた。ディーゼルは蒸気機関が燃料から得られるエネルギーの90%を捨てていることを知り、はるかに熱効率の高いエンジンを研究することを思い立ったのである。

 ディーゼルが考えた燃機関は、圧縮着火式内燃機関である。アウクスブルクのマン社の重役ハインリヒ・フォン・ブズがその考えに注目し、ディーゼルは実際に試作する機会を得たのである。

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2017年2月12日 (日)

排気ガス(9)

ディーゼル排気ガスのNOX対策で、尿素を用いない方法もある。それが、NOx吸蔵還元触媒(adsober)である。

 NOx吸蔵還元触媒とは、リーン状態で酸素過剰下でのNOXを一時的に吸蔵剤に吸蔵し、リッチ状態のとき吸蔵されたNOXを放出して還元する。吸蔵剤としてはアルカリ土類金属やアルカリ金属が用いられ、酸化還元反応には白金やロジウムが用いられる。

 NOXは硝酸塩の状態で吸蔵されは、ごく短時間に空燃比をリッチにして生成した多量のCOとHCに反応してN2、CO2、H2Oに還元される。実際の走行では、様々な運転パターンがあってリーン条件が長時間続くこともある。そのため、運転条件からNOX吸蔵量と触媒が吸蔵できる最大容量を推定し、両者を比較してNOx吸蔵量が最大容量に近づいたとき、ごく短時間のリッチ状態に制御してNOXを還元する。そして、その後またリーン状態に戻すという制御を行う。

 リッチ状態を作るため燃費への影響が懸念されるものの、燃費損失は1%以下である。また、リーンとリッチのトルク段差が生じるため、ドライバーがショックを感じない様に空燃比と点火時期を制御する必要がある。

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2017年2月11日 (土)

排気ガス(8)

 ディーゼル排気ガスのNOX対策で基本的なものは、尿素を使う方法である。尿素SCR(Selective Catalytic Reduction)と呼ばれている。

 反応メカニズムは、まず尿素水を加水分解してアンモニアを発生させる。そして、アンモニアとNOXを窒素と水に還元反応させ。

加水分解によるNH3生成
NH2CONH2 + H2O → 2NH3 + CO2

NOX還元反応
4NH3 + 4NO  + O2 → 4N2 + 6H2O
8NH3 + 6NO2      → 7N2 + 12H2O

 尿素SCRは触媒に貴金属を使う必要がなく、燃費にも影響しない優れた特性を持つ反面、大量の尿素水を車載する必要があり重量増となる。尿素水はアドブルー(AdBlue)という商標登録があり、メルセデスは尿素水を使った排気ガス対策をブルーテック(BlueTech)と呼んでいる。

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2017年2月10日 (金)

排気ガス(7)

 ディーゼルエンジンの排出ガスは、燃焼特性の違いからガソリンエンジンとは異なる。すなわち、ディーゼルエンジンは空気過剰率が大きい状態で燃焼するため、COとHCの排出が少ない。

 ところがNOXは多くなり、ディーゼル特有の粒子状物質PM(Particulate Matter)も多く排出される。よって、ディーゼルエンジンでは、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)とNOX浄化触媒が必要となる。

 PMの組成は、大部分が固形炭素の微粒子(すす)と可溶性有機成分SOF(Soluble Organic Fraction)のため、燃焼除去が可能である。しかし、PMの着火温度は約600℃と高く通常運転でのエンジンによる自然着火ができないため、排気行程での燃料噴射(ポスト噴射)を行う必要がある。一般的には、DPFを排気側に装着し、PMを補集する。PMは空気が少ない状態で発生し易く、空気を多く取り入れると発生が少なくなるもののNOXが多く発生するようになる。

 DPFに溜まったPMは定期的に除去する必要があるため、PMの発生を少なくしNOXを強力に浄化することも行われる。COとHCが少なくNOXが多いディーゼル排気ガスでは三元触媒が使えないので、NOX専用の対策が取られる。

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2017年2月 9日 (木)

排気ガス(6)

 EGRはエンジンのポンピングロスを低減する効果もある。ポンピングロスとは、排気側の圧力が吸気側の圧力よりも高くなって流体抵抗が発生することである。

 EGRは排気側の圧力を下げ、吸気側の圧力を上げるため、ポンピングロスは低減することになる。ポンピングロスの低減は、燃費向上にも貢献する。

 ポンピングロス低減に効果のある方法は、リーンバーンである。リーンバーンとは、理論空燃比よりもガソリンが薄いリーン状態で燃焼させようというもので、20:1ものリーン状態を狙ったものもあった。リーン状態では出力が弱くなるため、スロットルをより開けて空気をより多く吸う必要がある。そのため、吸気側圧力が高まり、ポンピングロスが低減することになる。問題は、空気が増えるためNOXの排出も増えてしまうことである。そのため、現在では20:1のようなリーンバーン・エンジンはなくなってしまった。

 リーンバーンと銘打つエンジンはなくなったものの、一般的には燃費を良くするため16:1から17:1のリーン状態にしている。更に、リーンな混合気を筒内で良く燃やすため、吸気のスワールやタンブル流化、点火プラグの強力化や筒内噴射が開発された。

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2017年2月 8日 (水)

排気ガス(5)

 空燃比制御と三元触媒は、ほとんどのガソリン車で実施されている。もう一つ実施されていることがあり、それはEGRである。

 EGRとは、Exhaust Gas Recirculationの略であり、排気ガスの一部を再び吸気系に戻すことである。NOX低減に効果があり、燃料消費率の改善としての効果も大きい。

 エンジン筒内の燃焼でNoxが発生する理由は、空気中の窒素が燃焼時に高温熱剥離を起こすためである。そのため、NOXの発生を低減するためには燃焼温度を低下させる必要がある。排気ガスを吸気に循環させると、浄化された排気ガス成分のH2O、N2、CO2が混合気中に増加することになる。これら成分は不活性ガスのため、燃焼温度が低くなり、NOXの発生を抑えられることになる。更に、燃焼温度の低減はノッキングを抑制するため点火時期を進角でき、燃料消費率を向上させることができるのである。

 EGRの構造は、三元触媒を通過した排気ガスの一部をバイパスして吸気チャンバに戻すものとなる。戻す排気ガス量を制御するため、バイパス途中にはEGRバルブを設けモータで弁を駆動することが一般的である。

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2017年2月 7日 (火)

排気ガス(4)

 三元触媒で行われる、酸化反応、還元反応、水性ガスシフト反応を三元触媒反応と呼ぶ。この反応を起こす触媒は、担体、ウォッシュコート、触媒成分で構成されている。

 担体とは、触媒の構造体そのもので、モノリスと呼ばれるハニカム状の円筒形をしており、耐熱性が要求されるため多孔性セラミックスのコージェライトを使うことが多い。また、ウオッシュコートは、ハニカム上にコートされる触媒成分を保持するものである。

 触媒成分は、三元触媒反応を活性化させる活性種と、助触媒や安定化剤の添加成分からなる。活性種には、白金Pt、パラジウムPd、ロジウムRhの貴金属を用いる。PtとPdは酸化反応を促進し、PtとRhは還元反応を促進する。助触媒は酸素貯蔵成分OSC(Oxygen Strage Component)が用いられる。OSCにはセリウムの酸化物CeO2が使用される。CeO2は酸素がリッチになるとCeO3となり、CeO3は酸素がリーンになるとCeO2になるように、酸素の吸収と放出を繰り返す。これにより空燃比の変動を吸収し、触媒反応を効率化させる。また、CeO2は水性ガスシフト反応を促進する作用もある。

 現在の乗用車はOBD(On-Board Diagnosis)という故障診断システムが義務付けられており、触媒の劣化を検知しなければならない。OSCの性能はO2センサでわかるため、OBDの観点からもCeO2は重要な助触媒といえる。

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2017年2月 6日 (月)

排気ガス(3)

 ガソリンエンジンでは空燃比制御によって、三元触媒の使用が可能となる。三元触媒で行われる、基本化学反応をまとめておく。

酸化反応
2CO + O2  → 2CO2
HC + O2  → CO2 + H2O

還元反応
2NO + 2CO → 2CO2 + N2
NO + HC  → CO2 + H2O + N2
2NO + 2H2 → N2 + 2H2O

水性ガスシフト反応
CO + H2O  → CO2 + H2
HC + H2O  → CO2 + H2

 このように、酸化還元が同時に行われるため、酸化物質(O2、NOX)と還元物質(CO、HC、H2)とのバランスが重要となる。そのため、空燃比フィードバックによる排出ガス成分の制御が必須になるのである。

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2017年2月 5日 (日)

排気ガス(2)

 ガソリンエンジンの排気ガスは燃焼状態によって大きく変わるため、まず空燃比制御を行う。そして、空燃比制御を行っても発生するHC、CO、NOXを触媒を使って浄化する。

 この触媒は、HCとCOの酸化、及びNOXの還元を同時に浄化するため、三元触媒と呼ばれる。HCとCOの酸化に使う酸素は、還元したNOXの酸素を使うため、空燃比制御が必須となる。

 空燃比制御は、理論空燃比を厳密に保持することが目的となる。そのため、排気ガス中の残留酸素濃度をO2センサを使って測定してリッチかリーンかを判定して、混合気濃度を制御する。また、所望の空燃比になったかどうかは空燃比センサで測定する。O2センサにはジルコニア(ZrO2)素子を使用する。これは、高温状態でジルコニアに両極で接しているガスのO2濃度に差があると起電力が発する性質を利用するものである。空燃比センサにも両側に白金電極を設けたジルコニアを使用する。片側電極に排気ガスを触れさせ、O2濃度に応じて流れるO2イオンの移動(電流)を計測して空燃比を計測する。

 空燃比は、空気質量を燃料質量で割ることからA/FやAFRとも称する。そして、理論空燃比のことをストイキオメトリー(ストイキ)と呼び、ストイキ制御と言ったりもする。

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2017年2月 4日 (土)

排気ガス(1)

 以前、ディーゼルの排気ガス対策方法を紹介したと思う。しかし、ガソリンの排気ガスについては触れたことがなかったので、ディーゼルも含めてまとめておく。

 ガソリンやディーゼルを燃焼させると、どうしてもこれら燃料由来の物質が発生する。代表的には、一酸化炭素CO、炭化水素HC、窒素化合物NOX、粒子状物質PM、二酸化炭素CO2、硫黄酸化物SOXである。

 ガソリンの場合、完全燃焼すれば排気ガスからは、二酸化炭素と水、および空気中の窒素が排出される。実際には、完全燃焼を維持することは難しいため、一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物等が排出される。完全燃焼するときのガソリンと空気量の比率は理論空燃比と呼ばれ、約14.7となる。14.7よりも小さい場合をリッチ、大きい場合をリーンという。混合気がリッチ状態では、一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物が増え、リーン状態でも窒素酸化物は増える。

 二酸化炭素はエンジンの燃焼効率を表すシンボルであり、燃料効率が良くなるほど排出量が増える。地球温暖化のシンボルでもあり、植物の発育に欠かせない成分ともいえる。

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2017年2月 3日 (金)

ロータリーエンジン

 自動車工学で各種レシプロエンジンを解説した。ぜひ知っておいて欲しいその他のエンジンとして、ロータリーエンジンをまとめておく。

 ロータリーエンジンとは、正三角形の各辺を膨らませたルーローの三角形状のローターが回る回転動機構によって容積変化を起こすエンジンである。ドイツの発明家フェリクス・ヴァンケルが、1957年、試作開発に成功した。

 ローターが回るハウジング内面は、2ノードのペリトロコイド曲線というまゆ型をしており、ここでローターとエキセントリックシャフトの偏心部が回転する。ローターが1回自転する間に、吸気・圧縮・膨張・排気のオットーサイクルが3組同時進行する特性を持つ。レシプロエンジンに比べて、軽量コンパクト、高出力、低振動、低騒音等の優れた長所を持つ。レシプロエンジンの様にピストンの往復運動を回転運動に変換するのではなく、ロータリーエンジンは元々が回転運動のため滑らかにふけ上がる優れたエンジンといえる。マツダがロータリーエンジン開発の最大の課題だったローターハウジング内壁の異常摩耗を解決し、1967年、実用化してコスモスポーツに搭載し発売した。

 2012年のRX-8販売終了に伴い、ロータリーエンジンの市販車は存在しない。しかし、マツダは水素ロータリーの開発を続けており、再び市販化されることを熱望する人は多い。

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2017年2月 2日 (木)

20代でやる3つのこと

 講演会の主催で有名なアメリカのTEDでは素晴らしいプレゼンテーションが多い。その中で、臨床心理学者メグ・ジェイの20代の若者に向けたメッセージを紹介しよう。

 彼女は、今の30歳は昔の20歳だという風潮に対し、それは大きな誤解と警鐘している。昔も今も、人生を決めるのは20代の過ごし方なのである。

 メグ・ジェイが贈るアドバイスとは、20代で次の3つのことをやるべきということである。一つ目は、アイデンティティ・キャピタルを築くことである。つまりは、自分の得意技を身に付けよということである。二つ目は、付き合いの幅を広げることである。友達や気に入った仲間内でつるんでいる間は、世間は見えてこないのである。そして三つ目は、結婚相手を探すことである。20代で遊びだけで付き合っていると、いざ結婚したいときに意外と相手が見つからないのである。

 僕が大学を卒業するとき、研究室の助教授の先生がこれを読めと渡された本が、鈴木健二著「男は20代に何をなすべきか」だった。メグ・ジェイのメッセージと同じく、この本も20代前半で仕事を決め後半で結婚して家族を持って人生の基礎を築けというものだった。

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2017年2月 1日 (水)

電力の発電コスト

 電力を得るにはコストがかかる。発電方法別によるコストの差を見てみよう。

 日本での具体的コストとしては、経産省の資源エネルギー庁が長期エネルギー需給見通し小委員会を立ち上げ、2014年モデルプランがある。これによると、原子力が10.1円/kWhと最も安い。

 次に安いのが一般水力発電で11.0円/kWh、石炭火力が12.3円/kWh、LNG火力が13.7円/kWhとなる。石油を燃やす火力発電を見てみると、30.6円/kWhと最も高い。これは、風力発電の21.6円、住宅用太陽光発電の29.4円を抜いて、ダントツで高価な発電方法なのである。一方、2015年度の使用割合の上位3位を見てみると、LNG火力が39.9%、石炭火力が32.0%、石油火力が7.8%である。水力発電は7.1%に過ぎない。

 2011年まで日本が原子力発電を進めて来た背景の一つは、圧倒的な低コストだったのだろう。これからは、自然エネルギーや再生エネルギーの発電コストが、原子力の2倍以上かかることを覚悟しなければならない。

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