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2017年3月31日 (金)

自動運転時のテイクオーバー(6)

 次に、①~⑥の状態のTOR後の走行軌跡を、TTC7秒と5秒のそれぞれの場合を比較してみよう。走行軌跡を見ることにより、TTCや状態の違いによりTOR後の挙動に変化があったかどうかわかる。

 TTC7秒と5秒を比較すると、TTC7秒の走行軌跡の方が滑らかに見える。定量的に比較するため、滑らかさの尺度としてステアリング角度の時間微分値を採用し、TOR後のステアリング操作開始の2秒間の微分値の総和を求めた。

 すると、ほとんどの研究対象者の各状態において、TTC7秒の方がTTC5秒よりも微分値の総和が小さい。これをt検定で評価すると、比較対象となった84パターン中66パターン(78.6%)で有意差ありとなった。すなわち、TTC5秒時のTOR後に最初にステアリングを操作するとき、TTC7秒よりもステアリングを速く操作するということがわかった。また、①は前方を監視しながらステアリングを保持している状態のため、最も通常車両操作に近いものと考えられる。そこで、TTC7秒での①とTTC7秒での②~⑥との間に、t検定で有意差がないか調べてみた。その結果、比較対象70パターン中54パターン(77%)で有意差ありとなった。

 以上のことから、TOR提示のタイミングをTTC7秒から5秒に変化させると、TTC7秒時の滑らかな車両操作は難しくなるといえる。また、前方監視してステアリングを保持している状態以外では、通常よりも滑らかな車両操作が難しいともいえる。

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2017年3月30日 (木)

自動運転時のテイクオーバー(5)

 ドライビングシミュレータ実験で取得するデータは,TOR後のドライバの反応解析が目的となるため,ドライバの顔のビデオ撮影,操作量と車両走行軌跡となる.操作量は10[ms]毎のステアリング操作量,アクセルペダル操作量,ブレーキペダル操作量,車速である.

 ドライバの顔動画から,TOR後に行われる前方注視への移行時間,状況理解にかかった時間,回避操作を開始するまでの時間を解析する.これらの解析は,ドライバの顔向きと目線,及びステアリング操作やペダル操作開始時間から実施することが可能である.

 今回の実験の①②の状況では,前方中止への移行時間は0.6秒以内に行われ,③~⑥では0.6~0.9秒かかる結果となった.③以降で時間がかかったのは,TORまで下を向いてタスクを行っていたためである.下向きでタスクを実施中,TORによって前方を注視するまでの時間ということになる.次に,状況理解にかかった時間として,全ての状況で平均値で1.5秒,バラつきで1.5秒程度かかっていた.そして,状況理解後の回避操作開始は1秒以内で行われていた.

 TTC7秒と5秒では,7秒の場合の方がバラつきが大きい傾向となった.これは7秒の方が5秒よりも余裕があったためと思われる.

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2017年3月29日 (水)

自動運転時のテイクオーバー(4)

今回,研究対象者は14人である.この14人というのは,どのような統計的意味があるのだろうか.

 標本平均と真の平均との誤差を検討するときに有効な中心極限定理から考えてみよう.ここで,本研究で課題となるドライバ特性は正規分布であると仮定する.

 中心極限定理によれば,平均μ,標準偏差σの母集団Xから無作為にn個の標本を抽出するとき,nの値が十分に大きい場合,標本の平均xの分布は平均μ,標準偏差σ⁄√nの正規分布N(μ,σ^2⁄n)に近づく.このxについて標準化を行うと,(√n(x-μ))⁄σの分布は標準正規分布N(0,1)となる.したがって,標本の平均と母平均の差x-μ は次のようになる.

x-μ≈σ/√n N(0,1)

すなわち,標本の平均と母平均の差は1⁄√nに依存すると解釈することができる.

 n=14では√n≈3.73であり,1/√n≈0.27となる.十分とはいえないものの,傾向が現われると考えても良いだろう.

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2017年3月28日 (火)

自動運転時のテイクオーバー(3)

 緊急時のテイク・オーバー実験をドライビング・シミュレータで行うため、次のような走行状況を考える。時速100km/hでの2車線の高速道路の走行レーンをレベル2で自動運転中、システムが対応できない工事車両が走行レーン前方にあったため、システムはドライバにTORを示した。

 TORは簡単に2kHzの断続音とし、TTC7秒と5秒の2種類で吹鳴させる。研究対象者にはTORの意味を事前に説明し、TOR発生後は手動運転で対処(停止操作や操舵操作の暗示は一切なし)しなければならないとだけ伝えた。

 また、自動運転中の研究対象者には、次の6種類の運転状況を課した。
①ステアリングに両手を添え,前方を監視.以下、足元は自由.
②ステアリングから手を放し,視線は自由.
③ステアリングに両手を添え,ナビ画面の動画を注視
④ステアリングから手を放し,ナビ画面の動画を注視
⑤ステアリングに片手を添え,付加タスクを実行
⑥ステアリングから手を放し,付加タスクを実行
ただし、ナビ画面はセンターコンソール下部に設置し、ナビを注視しているときは前方状況が見えなくなるようにした。それと、付加タスクとは、センターコンソール下部に貼り付けた意味のない多数の4桁の数字を印字した紙を見て、ナビ画面に入力し続けるというもので、集中していないと実行できないタスクである。

 ①はフット・オフ、②はハンズ・オフ、③④はアイズ・オフに対応させた設定である。⑤⑥はブレイン・オフではなく、運転から意識を遠ざける設定である。

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2017年3月27日 (月)

自動運転時のテイクオーバー(2)

 テイクオーバーの開始は、テイク・オーバー・リクエスト(TOR)により始まる。緊急時はTORが突如発生し、ドライバは予期せず自分で操縦しなければならなくなる。

 これに対し、計画的なテイク・オーバーも考えられる。例えば、ドライバの意思で自動運転を解除し、計画的に手動運転に切り替えるような状況である。

 計画的なテイク・オーバーを扱った従来研究に、どの程度ドライバが手動運転に慣れないと通常のレーンチェンジが行えないかというものがある。これは、高速道路でのレベル3の自動運転での直進時にテイク・オーバーし、次にレーンチェンジするまで、ある程度の距離を手動で運転しないと通常のレーンチェンジができないというものである。すなわち、自動運転から手動運転にいきなり変わると、通常の運転操作ができないという前提を置いている。

 そこで、ここではわれわれが行った緊急時のテイク・オーバー実験を再度解析する。そして、緊急時のテイク・オーバーで、運転操作が通常の運転操作と異なるかどうかを検討する。

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2017年3月26日 (日)

自動運転時のテイクオーバー(1)

 自動運転は段階的に実用化するものといわれている。各国でいくつかの段階が使われていたものの、アメリカ合衆国が自動運転ガイドラインでSAEJ3016を採用してから、それによるレベル表現が定着したものと思われる。

 J3016では自動運転を0から5までの6段階に分類し、レベル0を手動運転、レベル1を現状の運転支援システムとしている。自動運転はレベル2以降となり、レベル2を部分的自動運転、レベル3を条件的自動運転、レベル4を高度自動運転、レベル5を全自動運転としている。

 これら自動化により、ドライバの運転負荷は段階的に軽減されていく。現状のレベル1ではペダル操作から解放されているので、フット・オフと称することができる。レベル2では運転操作から解放されるため、この段階の運転からの解放をハンズ・オフと称される。レベル3においては、環境監視からも解放されるため、アイズ・オフといい、レベル4では、全てをシステム任せにできるため、ブレイン・オフといえる。ところが、レベル2におい自動化されるのは操縦だけであり、環境監視が人間が行わなければならない。レベル3においても、環境監視は自動化されながらも、緊急時のバックアップは人間が行う必要がある。すなわち、レベル2では走行環境に異常事態が観測されるとき、レベル3ではシステムの故障等によるバックアップ時には、機械のシステムから人間のドライバに運転権限を委譲するテイク・オーバーが発生する。

 機械による操作と人間による操作には違いがある。また、テイク・オーバーで突然運転を交代したとき、ドライバは通常の運転ができるのであろうか。

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2017年3月25日 (土)

自動車の振動騒音(9)

 具体的な対策事例を紹介したので、順番は逆になるものの振動騒音対策の考え方を整理しておこう。基本的には、遮音、吸音、振動系の特性変更、ノーダルマウントとなる。

 遮音特性は、振動する物体の単位面積当たりの質量と周波数の積によって決まるため、遮音材を詰めて質量を増加させることが基本となる。吸音とは吸音材を振動させて音響エネルギーを熱エネルギーに変換することであり、レゾネータ等の共鳴箱の使用も同原理である。

 振動系の特性変更では、共振周波数より低い場合の対策は、振動体の剛性を上げたり質量を低減する。共振周波数より高い場合では、逆に剛性を下げたり質量を増やしたりする。共振周波数での振動の大きさを減少させるには、減衰係数を上げることになる。また、動吸振器(ダイナミックダンパー)の装着で、振動対象を制振させる。

 ノーダルマウントとは、梁の曲げ一次振動モードのノード(節)をマウント点に使う方法である。ノードに力を伝達しても振動モードは励起されず、梁の振動もマウントに伝達されない。

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2017年3月24日 (金)

自動車の振動騒音(8)

 騒音の対策方法は数々ある。具体的な事例を紹介しよう。

 冷却系騒音の低減としては、ファン形状の変更、カップリングファンのカップリング特性変更、電動ファンの採用、ファンを必要時のみ回転させての回転数減少等がある。

 吸気系騒音対策事例としては、エアクリーナの大型化、レゾネータの採用、レゾネータ他放射面の剛性アップ等がある。エンジン、駆動系騒音対策事例として、ダンパープーリの採用、クラッチのねじり角変更等がある。特に、ドライブシャフト共振によるこもり音対策としては、ダイナミックダンパー装着や中空ドライブシャフトの使用等がある。

 タイヤノイズ対策としては、ピッチバリエーションがある。ピッチバリエーションとは、タイヤピッチにいくつかのパターンが異なるものを採用し、タイヤ発生音の周波数が分散することを狙った方法である。

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2017年3月23日 (木)

自動車の振動騒音(7)

 車外騒音に対して車内騒音とは、一般に車内の静かさを示す。車内騒音の程度によって、乗員が走行時に過大な疲労感を感じずに自動車を運転できる、いわば商品性にかかわるところである。

 車内騒音は、車外騒音とほぼ同様にエンジン透過音、冷却系騒音、排気系騒音、吸気系騒音、駆動系騒音、こもり音、ロードノイズ、風切音に分類できる。エンジン透過音ではエンジン騒音に加えてエンジンの振動伝達音も含まれ、ロードノイズではタイヤと路面との起振振動が車内に伝わり発生する音であり、こもり音とは吸排気系騒音、およびエンジン振動が各伝達系を励起した振動が車内に伝わって発生する200Hzまでの比較的周波数の低い騒音である。

 車内騒音の音域は、低速こもり音(40~60Hz)、中速こもり音(60~100Hz)、高速こもり音(100~200Hz)、エンジン透過音(200Hz~)、ロードノイズ(40~300Hz)、タイヤノイズ(300~1.5kHz)、風切り音(2k~10kHz)となる。これらの音源別寄与度は、こもり音は全速度域でエンジン振動、排気系、駆動系が影響し、低速こもり音ではボデー振動が影響し、中・高速こもり音では吸気系が影響する。エンジン透過音は、エンジン騒音に加えて冷却系も影響する。

 駆動系騒音は、トランスミッション・デフギヤ騒音とも呼ばれる。また、風切り音と同程度の音域でブレーキ鳴きが問題になることもある。

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2017年3月22日 (水)

自動車の振動騒音(6)

 車外騒音には7種類の騒音源がある。車種によって、車外騒音での音源別寄与度が異なる。

 大型車では、エンジン騒音、排気系騒音、冷却系騒音、タイヤ騒音、その他騒音の順で寄与度が高。昭和48年規制では、エンジン騒音が70%以上も寄与していた。

 乗用車では、エンジン騒音、冷却系騒音、排気系騒音、吸気系騒音、その他騒音の順となり、大型車ほどタイヤ騒音が大きくないのが特徴である。また、エンジン騒音の寄与度も40%程度と、大型車とは異なる。これが二輪車になると、排気系騒音、吸気系騒音、エンジン騒音、駆動系騒音、その他騒音となり、四輪とは寄与度が異なってくる。騒音に締める割合は、吸排気系騒音で70%を占め、エンジン騒音は20%以下となる。

 騒音対策は、寄与度が大きいものから始めるのが効率的である。大型車や乗用車はエンジン騒音から対策を始め、二輪車は排気系騒音から対策を始めた。

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2017年3月21日 (火)

自動車の振動騒音(5)

 騒音の値とエネルギーの関係がわかったところで、実際の騒音が低減した推移を見てみよう。昭和46年規制の加速走行騒音規制値は大型車で92dB、乗用車で84dBだったものが、平成13年規制では大型車で81dB、乗用車で76dBに減少した。

 大型車で11dB下がったので騒音エネルギーは92%、乗用車で84%も下がっている。二輪車については更に下がっており、同規制で95%ものエネルギー減となった。

 車外騒音とは、一般に騒音公害といわれるものの内の自動車に起因するもので、車外に対し発している騒音である。具体的には、

・エンジン騒音:エンジンおよびその補機類から放射される騒音
・冷却系騒音:冷却ファンの回転、ラジエータの通風による騒音
・排気系騒音:排気管やプロテクタから放射される騒音、並びに振動伝達騒音
・吸気系騒音:エンジンの吸気により、エアクリーナ吸気口から発生する騒音
・駆動系騒音:駆動系から発するギヤのかみ合い音やそのケースから発生する騒音
・タイヤ騒音:タイヤ回転により、路面間で発生する騒音
・その他(風切音等):車体と大気間で発生する騒音

がある。

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2017年3月20日 (月)

自動車の振動騒音(4)

 音源には点音源、線音源、面音源の3種類がある。それぞれの音源の種類によって、距離による減衰率が異なる。

 点音源の場合、距離の2倍に対し6dBの減衰となる。すなわち、点音源の距離減衰量は、20log(距離の比)である。

 線音源の場合、距離の2倍に対し3dBの減衰になる。すなわち、線音源の距離減衰量は、10log(距離の比)である。このように点音源や線音源は、距離が遠ざかると音量が減衰する。ところが、面音源は原則的に減衰しない。巨大なスピーカーの音は、遠くまで届くのである。

 音源は、遮音、吸音によっても減衰する。騒音源(W1)の前に遮音壁を置くと、反射音(W2)、透過音(W3)、吸収音(W4)のエネルギーの関係は、
 W1=W2+W3+W4
となり、透過損失(TL)は
TL=10log(W1/W3)
であらわすことができ、吸音率(α)は次式となる。
α=1 -(W2/W1)

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2017年3月19日 (日)

自動車の振動騒音(3)

 騒音源の数が変われば、当然騒音レベルも変わる。ここで、dBで定義される騒音の和と差を考えてみよう。

L1とL2を2音源の騒音レベルとする。すると、騒音レベルの和Lは、
 L=10log[10^(L1/10) + 10^(L2/10)]
となる。

 すなわち、音源数が2倍になれば、騒音レベルは3dBが加わり、音源数が1/2になれば、騒音レベルは3dBを減ずれば良いことになる。また、ΔLをL1とL2の差とすると
 L=L1+10log[1+10^(-ΔL /10)]
となり、これから70dBと75dBの騒音を加えると何dBになるかといった計算が簡単に行えるようになる。この場合、差ΔL が5dBなので、10log[1+10^(-ΔL /10)]は約1.2となり、答えは76.2dBとなる。

この計算法では、騒音の絶対値よりも差分値だけがわかれば良い。よって、ΔLと10log[1+10^(-ΔL /10)]のグラフがあると簡易計算表となる。

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2017年3月18日 (土)

自動車の振動騒音(2)

 具体的な日常の騒音レベルを10dBの刻みで紹介しよう。最も静かな状態として、深夜の郊外が30dBで静かに感じる。

 図書館や深夜が40dB程度である。静かな事務所になると50dBとなり、日常生活で望ましい範囲といえる。

 これが自動車になると、高級車の静かな室内で60dBとなりうるさく感じ始める。騒々しい事務所が70dBである。電車の中になると80dBとなり、極めてうるさく感じ始める。騒々しい工場内は90dB。ガードの下になると100dBとなって、これ以上は聴覚機能に異常が発生するといわれる状態である。自動車の警笛が110dB。飛行機のプロペラエンジン音が120dBとなる。130dBでは肉体的な苦痛を感じる限界となる。

 最もうるさい例として、ジェットエンジンや工事現場のリベット打ちをしている状態がある。これらは140dBとなり、短時間しか耐えられない。

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2017年3月17日 (金)

自動車の振動騒音(1)

 自動車の振動騒音は、音の基礎的な理解を基本に、現実的にうるさくない音を造り込むにはどうすれば良いかという分野である。自動車騒音と聞いて、何を連想するだろうか。

 騒音ということから、深夜の暴走族の爆音やタイヤのスキッド音(タイヤ・スキール)を連想するかも知れない。また、音ということでは、高級車は静かだとか、マフラーを改造して快適な排気音になったとかを連想するかも知れない。

 それでは、物理的意味を考えると、音とは空気中を伝わる圧力波で、鼓膜を振動させる縦波である。そして、騒音になると心理的意味合いが主体で、望ましくない音で大きな音、妨害する音、不快な音、ないほうが良い音等ということになる。その音の大きさは音圧で表され、圧力の単位Pa(パスカル)で表される。人間の聞き取れる最小の音圧は、20μPaとされており、これを最小可聴値といいレベルを0(dB)とする。また、音の物理的な強さが音圧の2乗に比例することから、音圧の2乗の対数である音圧レベルで表す。人間の耳は同じ周波数でも異なった大きさに聞こえる。

 騒音の測定に際しては、等感度曲線に相当する聴感補正特性をもつ騒音計が使われる。この測定レベルを騒音レベル(A特性音圧レベル)という。

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2017年3月16日 (木)

SEATUC(4)

 SEATUCのクロージングは、各分野のベスト・ペーパー賞の発表と次年度のSEATUC開催予定を伝える。来年の開催は、インドネシアのガジャ・マダ大学で2018年3月12・13日に開催となった。

 ガジャ・マダ大学は、ジョグジャカルタにある国立総合大学である。ランキング的には、インドネシアのトップ校である。

 ガジャ・マダというのは、14世紀のジャワ島マジャパヒト朝の宰相を務めた人物名である。南海諸王朝の歴史の中で最大の版図を築いた名宰相であった。また、ジョグジャカルタはジャワ島の中部に位置し、ジャワ島の東部の首都ジャカルタから飛行機で45分の距離にある。日本から直行便が出ていないため、まず国際便でジャカルタまで飛んで、国内便で移動することになる。

 羽田から成田からジャカルタ経由が一般的な旅程となる。シンガポール経由でジョグジャカルタに入る手もあり、そのときはシンガポール航空を使うことになる。

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2017年3月15日 (水)

SEATUC(3)

 SEATUCシンポジウムは、原則として協定8校の教員と学生の発表である。原則というのは、他校からも投稿や発表が可能だからである。

 今回のシンポジウムでも、本校以外の日本の教員が発表していた。研究は発表して初めて完結するのである。

 発表はオーラルとポスターがあり、昨日紹介した発表形式がオーラルである。ポスターは、90分の間、自分のポスターの前で立ち止まった参加者に説明を行い質疑を受ける方式である。オーラルになるかポスターになるかは、投稿者の希望を査読者が判定する形となる。ポスター発表よりもオーラル発表が優れているとう傾向はあるものの、ポスターにも優れたものがある。また、ポスター発表を志願する投稿者もいる。

 オーラルはスライドを使ってしっかり説明でき、ポスターは参加者とわかり合えるまで話せるという特徴がある。諸君はどちらもできないといけない。

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2017年3月14日 (火)

SEATUC(2)

 ホーチミンは人名に由来した地名だ。そもそもベトナムとはどういう意味だろうか。

 ベトナムはViet Numと表記し、元々中国語でVietは越、Numは南という意味である。すなわち、広東省を超えた南の地という意味である。

 ベトナムの漢字表記を越国とするのは、そのためである。ホーチミン工科大学は正式名称は、ベトナム国家大学ホーチミン市校工科大学となる。英語表記でもHo Chi Minh City University of Technology(HCMUT)とCityが入っている。そのHCMUTで開催されたSEATUCシンポジウムは、10会場で10の分野を同時開催するパラレルセッションである。1会場には1教室を当てて、一件20分(発表15分、質疑5分)で、5、6件で1セッションを構成する。

 当研究室の分野は、Vehicle Engineering and Alternative Energiesで、研究室の6名が同一セッションだった。予想以上に聴衆がいて質疑も盛り上がったので、発表学生に良い経験になったはずである。

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2017年3月13日 (月)

SEATUC(1)

 本校は、東南アジアの大学7校と、より活発な交流を目指してコンソーシアムを組んでいる。その名を、SEATUC(South East Asian Technocal University Consortium )としている。

 SEATUCでは、本校を入れた8校で、毎年持ち回りの学術シンポジウムを開催している。今日から、ベトナムのホーチミン工科大学で第11回目のSEATUCシンポジウムが開催される。

 ちなみに、SEATUCの協定校は、あと、ベトナムのハノイ工科大学、タイのキングモンクット工科大学トンブリ校、スラナリー工科大学、インドネシアのバンドン工科大学、ガジャマダ大学、マレーシアのマレーシア工科大学である。シンポジウムは主に各校の大学院生が発表し、今回の本学からの参加学生は35名である。グローバルを掲げる僕の研究室では、大学院年の恒例行事としているので、大学院1年生全員が参加している。

 開催地のホーチミンは、1975年までサイゴンと呼ばれていた。ホーチミンは、ベトナム革命を指導した建国の父である。

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2017年3月12日 (日)

HCCIエンジン(8)

 マツダがHCCIを新型アクセラに投入すると言われるのは2018年末である。このときにこれまで述べたHCCI化の具体的な技術が明らかになる。

 HCCIに関して最も興味深いことは、点火プラグがあるのかないのかである。HCCIそのものには、点火プラグは不要である。

 ところが、エンジン負荷が増えてくると、HCCIだけでは難しくなるのが現状である。単純に考えれば、中低負荷のときはHCCI燃焼とし、高負荷時は点火プラグを使う従来型のICエンジンとするハイブリッド方式である。また、低温酸化反応とHCCI反応は分離しているのかどうかも気にかかる。更に、ロータリーエンジンのHCCI化という考え方もある。マツダはロータリーエンジンをまた復活させたいと考えているのは、2015年の東京モーターショーでわかった。

 今年は東京モーターショーの年である。HCCIやロータリーについての表明があることを期待しよう。

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2017年3月11日 (土)

HCCIエンジン(7)

 マツダはスカイアクティブを開発するに先立ち、エンジンの問題点を体系的に整理している。その上でどんな技術を開発すれば良いかを決定した。

 エンジンの4大燃焼損失は、排気損失、冷却損失、機械抵抗損失、ポンプ損失である。これらを解決するには、7つの対応策がある。

 排気損失の対策に、圧縮比を上げる、燃焼期間を短くする、燃焼タイミングを適正化するという3つ。冷却損失には、燃料を希薄にして空気量を多くなる空燃比対策。ポンプ損失には、空気の吸い込み排出をスムーズにするポンピング損失対策。そして、機械抵抗損失には、荷重や摩擦を小さくして機械抵抗を下げる対策と、合計7つの対応策になるのである。これら対応策のうち、当時のマツダでできていなかったものが、圧縮比と空燃比、そしてポンピング損失の3つだった。ポンピング損失は可変動弁系を開発して対策し、圧縮比対策として超圧縮比エンジンの開発に取り組んだのである。

 こうして超圧縮のスカイアクティブエンジンが完成した。残る課題は空燃比だけなので、超希薄混合気を扱うHCCIがターゲットになったのである。

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2017年3月10日 (金)

HCCIエンジン(6)

 マツダがスカイアクティブでガソリンエンジンに特化した理由の一つにEVとの比較がある。EVがエコと言われる実態を検討すると、ガソリンエンジンでもEV並のエコになれると確信したからである。

 電費と呼ばれるEVの燃費性能のカタログ電費では、EVは遥かにガソリンエンジンよりエコである。つまり、CO2の排出量が少ないと思われる。

 ところが、実態を詳細に分析すると状況がかなり異なるのである。まず、EVのカタログ電費を実走行に落とすと、かなり数値が劣化する。経験的にはカタログ値の50%と見て良いだろう。そして、電力を発生させる手段が、火力発電で石炭を使用する割合を考慮すると、平均的なEVが100kmを走行するのに必要な電力21.1kWhは、128g/kmのCO2を排出するのである。これに対し、マツダのスカイアクティブエンジンは、100km走行するのにガソリンを5.2ℓ消費し、これは142g/kmのCO2排出となる。すなわち、ガソリンエンジンの燃費を10%改善すれば、ガソリンエンジンとEVのCO2排出量は同じになるのである。

 マツダはスカイアクティブのHCCI化によって、燃費を30%向上させると発表した。これが本当なら、ガソリンエンジンがEVのエコを上回ることになる。

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2017年3月 9日 (木)

HCCIエンジン(5)

 マツダがHCCIエンジンの開発に目途付けできたことは、スカイアクティブエンジンの成功が影響していると思われる。スカイアクティブの成功とは、ガソリンエンジンの高圧縮化である。

 ガソリンエンジンは圧縮比を上げるほど、排気損失が低減できる。しかし、異常燃焼が発生しノッキングによってトルクが低下してしまう。

 そのため、圧縮比は12程度が限界とされていた。マツダはまず、圧縮比15の超高圧縮エンジンを試作し、トルクの落ち込みを測定した。すると、予想した程トルクの落ち込みがなかったのである。圧縮比を12から徐々に高めて行くと、それに応じてトルクは落ち込み、15まで上げればその分トルクが落ち込むはずであった。ところが、13を超える当たりからトルクの落ち込みは緩やかになる。なぜ落ちないのか調べたところ、点火前の段階で低温酸化反応が起き、その発熱がトルクの落ち込みを補っていたことがわかったのである。これがわかり、高圧縮化の目途付けが出来た。

 高圧縮エンジンの低温酸化反応は、期せずして発生していた。点火プラグを使わなくても燃焼する低温酸化反応を意図的に制御できないと、HCCI燃焼は制御できないと思われる。

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2017年3月 8日 (水)

HCCIエンジン(4)

 HCCIエンジンはいかに適用領域を広げるかが重要課題である。どのような研究をするのか、日産が公開している研究を紹介しよう。

 HCCIの基本は燃焼室内の温度をコントロールである。このため日産は、燃焼室内のガス温度測定技術、3次元HCCIシミュレーション技術、バルブ作動角・リフト量連続可変システムの研究を行っている。

 燃焼室内のガス温度を正確に計測する必要があるため、水分子の赤外線吸収量を計測可能な点火プラグ一体型のセンサーを開発し、スタンフォード大学と共同でその水分子データからの測定法を研究している。また、HCCIでは、着火時期と燃焼期間を制御するため、燃焼状況の3次元シミュレーションを開発した。このシミュレーション方法を使用すると、従来2カ月かかった計算が3日で済む速さを実現している。そして、燃焼室に残る排気ガスの量を運転条件に応じて変化させるため、バルブ作動角・リフト量を自在に変えられるシステムを開発している。

 バルブ作動角とリフト量可変システムを吸気・排気バルブに用いると、燃焼室内の温度を制御することが可能となる。これにより、自己着火タイミングをコントロールしてHCCIの適用領域を拡大するのである。

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2017年3月 7日 (火)

HCCIエンジン(3)

 実は、ディーゼルエンジンもHCCI化が可能である。ディーゼルエンジンは圧縮着火なので、既にHCCIと同じと思うかも知れない。

 しかし、ディーゼルエンジンが燃焼室内で着火するのは燃料噴射部からである。HCCIは燃焼室全体で均一に燃焼するのである。

 ディーゼルエンジンは、燃焼室の温度が高くなるとNOxが増えるものの、PMは減少する。逆に、燃焼室の温度が低くなるとNOxが減り、PMが増える。すなわち、NOxとPMはトレードオフの関係なのである。この状態に対応するため、現在はPM用の触媒DPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター、ディーゼル粒子状物質除去装置)とNOx用の触媒(NOx吸蔵還元型触媒か尿素選択還元装置)を装着している。しかし、DPFに溜まるPMを燃焼してDPFを再生するため、燃焼とは関係なく燃料を噴射する必要がある。これに対し、HCCIはNOxとPMの両方同時に低減するのである。

 なぜなら、ディーゼルは燃料噴射部から燃焼が広がり燃焼温度が上がってNOxが増えることに対し、HCCIは全域で同時に燃焼するため燃焼温度が上がらずNOxが増えないのである。また、超希薄な混合気のため、PMも少なくできるのである。

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2017年3月 6日 (月)

HCCIエンジン(2)

 HCCIエンジンの利点は燃費とNOxだけではない。CO2も少なくなるのである。

 超希薄な混合気のため、CO2が少なくなるのは当然である。問題は、この超希薄な混合気を如何に燃やすかである。

 正確には、如何に燃やすかというより、如何にHCCI領域を広げるかということである。超希薄なガソリン混合気でも、ある条件では圧縮着火が可能である。ところが、その条件は非常に狭く厳しい。そのため、エンジン回転を変化させてもHCCIが続かないのである。HCCI可能なエンジン回転から下げる低回転では、燃焼室の温度が上がらず失火してしまう。エンジン回転を上げると、混合気に着火するのが間に合わずやはり失火してしまうのである。また、エンジン負荷が増えると、HCCIの燃え方ではなく、爆発的な燃焼となり効率が悪くなる。

 マツダは、低中負荷に限っては、エンジン回転全域でHCCIが可能な技術を開発したと公表している。すると、高負荷領域では通常の燃焼に切り替えるのだろうか。 

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2017年3月 5日 (日)

HCCIエンジン(1)

 これまでいくつかの新方式のエンジンを紹介した。まだいくつか重要な新方式があるのでまとめておこう。

 その一つがHCCI(Homogeneous-Charge Compression Ignition)予混合圧縮着火エンジンである。日産とマツダが研究中と好評している。

 HCCIエンジンとは、ガソリンをディーゼルエンジンのように自己着火させる方式である。しかも、空燃比は50~70という超希薄な混合気を燃やすのである。少ない燃料を高い圧縮比で燃焼させるため、熱効率を高くできる。もちろん、燃料噴射量に対する空気量が多いので、ポンピングロスも減らせる。従来、希薄燃焼では、空気が過剰な状態で燃焼するため、三元触媒が使えなかった。しかし、HCCIでは超希薄な混合気を燃焼させ燃焼温度が下がるため、NOxの排出量を大幅に減らすことが可能となる。燃焼温度が下がるため、冷却損失や排気損失の低減にもつながる。

 この超希薄な混合気を燃焼させるには、従来の火花点火では不可能なためディーゼルエンジンのような圧縮着火方式を用いる。これが実現できれば、熱効率が48%にも達するのである。

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2017年3月 4日 (土)

gPBL(まとめ)

 九日間を通して実践したgPBLは、修了後に演習科目なので1単位が取得できる。大学の1単位は45時間の学習なので、ちょうど合っているといえる。

 1単位の意味は、週45時間労働に由来する。月曜から金曜で8時間×5+土曜の半ドン5時間を足した時間である。

 まさしく45時間は現地でgPBLを行った、価値ある1単位といえる。授業としての狙いは、工学知識を基にした問題解決能力の実践は当然として、学生が自ら異文化と合流したチーム力の重要性を理解するようになることを狙いとしている。本学ではグループ学習を重要視しており、学生がチームで実践する重要性を理解しているはずである。更に、黙っていては何も通じない状況で、如何にコミュニケーションを取りながらチーム力を発揮できるかを学んでもらいたいと思って、海外でのgPBLを行っているのである。

 現地の先生に短い設計の講義をお願いしたところ、快く引き受けていただいた。講義内容は日本で学ぶ内容と変わらず、高い教育レベルを感じた。

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2017年3月 3日 (金)

gPBL(9)

 九日目の最終日は、表彰と帰国である。昨日の競技の優勝チームとベスト技術チームが優勝される。

 また、参加者全員に修了証が送られる。参加記念として、本校のアプローチ品も渡される。

 優勝チームは、課題の5mちょうどで停止したチームだ。ベスト技術チームは、現地の先生が褒めていたフレーム構造のチームとなった。動力機構はバネの伸びだけなものの、シャシフレームが他チームよりも洗練しており外観が良かった。面白い動力機構は、結果が芳しくなかったので選ばれなかったようだ。ある程度の性能が出ていれば、面白い機構も目立ったはずである。現地の大学には大学特有のグッズがなく、本校のグッズを大変ありがたがっていただいた。来年度には何らかのものができていることを期待しよう。

 表彰式の後はフェアウェルパーティということで、お茶と果物やケーキをいただいた。ハノイから羽田への帰国は4時間ちょっとで、新幹線の博多-東京間よりも早かった。

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2017年3月 2日 (木)

gPBL(8)

 八日目はいよいよ課題の発表会である。最初に出来上がった課題のプレゼンを行い、それからデモンストレーションを行う。

 10チーム中1チームだけが製作が間に合わなかったので、デモをリタイアした。残り9チームがデモで成績を競い合った。

 デモは、スタートして指定した距離(5m)でちょうど止まるかどうかである。動力は、バネを使ったもの、ゴムを使ったもの、乗員の体重を使ったものの3種類に分かれた。止まり方は、5mで止まるようにチューニングしたものと、5mで自動的に止まるような仕掛けを仕組んだものに分かれた。結果、チューニングしたチームの一つが5mちょうどで停止した。仕組みは一番シンプルだったので、チューニングし易かったのかと思われる。

 最も早く製作が完了したチームは、準備中も順調に見えた。しかし、結果は芳しくなく、一発勝負の競技は難しい。

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2017年3月 1日 (水)

gPBL(7)

 七日目は終日課題の製作である。明日の午後が競技になるため、今日中にある程度完成しなければならない。

 ほとんどのチームが角パイプをシャシフレームとしている。キャスターを付けないチームは、ベアリングにシャフトを通す。

 キャスターを車輪とするチームは問題なさそうだ。ベアリングを使用したチームは、シャフト径が合わず苦労していた。シャフトが通らないといけないので細目のシャフトを選定し、シャフトを回転させても車輪が回らないという基本的な問題を出しているチームもいた。そんな中、1チームだけ何とか設計通りに動くことが可能な乗り物ができていた。

 DRで危なかしいアイデアの機構は、やはりうまく行っていなかった。後はどれだけ修正するか、チーム力が問われる。

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