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2017年5月31日 (水)

差分吸収ライダー

 アメリカでは天然ガスのパイプラインの総延長距離が260万マイルにも及ぶため、パイプラインからのガス漏れ検出は重要な問題となっている。例えば、昨年度発生したパイプラインのガス漏れからの爆発により、9700万kgものメタンを放出してしまった。

 これまで、漏れだしたメタンを検出するのが難しく、空中から監視するのも高価なヘリコプターを低空飛行させることが必要だった。ところが、セスナ機等にメタンを検出可能な差分吸収ライダーDIAL(differential-absorption lidar)を搭載し、高度を高く保ったまま高速に検出できるようになった。

 DIALとは、わずかに異なる2つの赤外線波長のレーザーを使用して大気中のメタンを測定するライダーである。メタンは2つ波長のうちの1つ(1645.55nm)を強く吸収し、1645.4nmになると吸収しないという特性を持つ。DIALは1秒あたり1000~10000回の測定を行い、数ナノセカンド離れた2波長のビームを発射する。レーザー光は地面から跳ね返り、レシーバーに散乱して戻って来る。システムは反射光の強度差を計算することによってメタン量を測定する。このため差分吸収方式と呼ばれるのである。概して、差分強度の測定には、通常のライダーよりも500倍優れた信号対雑音比が必要といわれる。

 航空機にDIALを取り付けてメタン漏れを検出するこのシステムは、今年度のナショナルインスツルメンツ社が主催するエンジニアリングインパクト賞を受賞した。開発したのは密閉瓶の大手ボールコーポレーションの子会社のボール・エアロスペース&テクノロジーズである。

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2017年5月30日 (火)

最新の空撮用ミニドローン

 空撮用ドローンが手軽に使えるようになった。IEEE Spectrum はDJI社が最近発表したドローンのスパークを紹介していた。

 DJI社は中国本社のドローン専用メーカーで、これまでプロ用の空撮ドローンを手掛けていた。スパークは同社が初めて発表した個人で使えるミニドローンである。

 僅か300gのミニサイズながら、最高速度50km/hで飛行し稼働時間は16分間である。カメラは1200万画素のCMOSを搭載し、各種本格的画像や動画を撮影できる。操作は専用コントローラ、スマホ、ジェスチャー等各種方法を使うことができる。専用ゴーグルを装着すると、自分が飛んでいるような視線での操作も可能となる。5m程度の距離センサも備え、建物等に衝突せず自動飛行も可能である。

 DJIジャパンが日本でも販売を開始し、6月中旬から出荷される。6万5800円からという価格は、機能の割に安く感じる。

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2017年5月29日 (月)

電磁気知覚遺伝子

 鳥、蜂、ロブスター等は、磁場を感じることができる。最近、アメリカの研究者がナマズの磁場を感じる遺伝子を特定することに成功した。

 この遺伝子は、電磁気知覚遺伝子EPG(electromagnetic perceptive gene)と名付けられた。EPGを使うと、外部から無線で体内を操作することが可能になるかも知れない。

 既に研究者等は、生きているラットの脳にEPGを発現することに成功している。EPGが発現している脳神経は外部で発生させた電磁波で活性化させることができる。すなわち、この技術を人間の脳に適用し、脳の選択部分を自由に活性化させることができれば、癲癇や鬱等の状態を緩和することができるようになると期待できる。また、心臓に適用できれば、交換不要の生体ペースメーカーが実現する可能性もある。

 神経を遠隔で制御できるようになると、可能性は大きいが恐ろしいともいえる。脳内にGPSを持つことができるようになるかも知れない。

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2017年5月28日 (日)

60年前の遠隔操作ロボット

 1950年代の後半、アメリカのエネルギー省が管轄するサンディア国立研究所は、人間を危険にさらすことなく放射性物質を処理する方法を模索していた。1959年、ヒューズ・エアクラフト社はその答えとして、遠隔操作システムのモボットを発表した。

 これはロボットではなく、60mもあるケーブルでマニプレータを操作する遠隔システムだった。初期のマークⅠでは68kgの重量を持ち上げることができた。

 モボットのアームの背後にはステレオカメラと装着され、オペレータにステレオ画像を提供して物体に対する相対的な距離を知覚することができた。オペレータは35時間の訓練後、1cm以下の精度で物体を配置することができるようになった。更に改良型のマークⅡでは、より繊細な仕事ができるように小型化し、持ち上げることができる重量は11kgと減少したものの、ガラス製品まで取り扱えるようになった。グリッパーのタッチ面に空気圧を利用して傷付き易いものも持てるようにしたのである。デモンストレーションでは、女優の着替えを手伝うところが披露されたそうだ。

 モボットは火事を消火したり、水中で工事をしたり、宇宙ステーションを組み立てることを想定していたものの、そんな未来は実現しなかった。しかしながら、現在でもモボット同様の繊細な作業を行うことができる自律ロボットは実現していない。

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2017年5月27日 (土)

脳構造の基本

 ロボットや自動運転に関わる技術者には、人間の脳が行っている情報処理の仕組みは大いに参考になる。そこで、脳の基本構造をまとめてみた。

 高次の情報処理を行う場所は、大脳皮質の外側にある新皮質である。新皮質では処理のタイプによって、ある領域で局所的に情報が処理されている。

 脳の基本構造は、神経細胞ニューロンの相互接続である。脳のニューロン数は860億個あり、それぞれが数千ものニューロンと繋がっている。ニューロンの接続部の構造は、樹状突起と呼ばれる枝状になっている。この樹状突起に入ってくる信号を受け取り、ニューロンの長い軸索を通して信号を出力する。ニューロンの電圧が閾値を超えると、軸索に沿った電圧依存性イオンチャネルが開く。実際の信号の受け取り方法は、ニューロンが活性化して放出した神経伝達物質と呼ばれる化学物質が、接続されているニューロンの受容体を活性化する仕組みによる。

 脳内では、常に何百万ものニューロンが複雑なシーケンスにより発火している。神経科学者は、この発火パターンを感覚、行動、認知活動に結びつけるべく努力している。

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2017年5月26日 (金)

ブロックチェーン

 インターネットでクレジットカードを使うとき、第三者機関となるカード会社のサーバにアクセスして認証を取らなければ使えなかった。ところが、第三者機関を通さずに直接売り手と買い手が取引できる方法が提案された。

 この方法はブロックチェーンと呼ばれる。ブロックチェーンは、サトシ・ナカモトという謎の人物が提案したとされている。

 ネットに繋がった自動車で買い物をするとき、ブロックチェーンを使った方が便利である。モバイルでの使用ではトランザクションが少ない方が良いからである。そして、自動車をネットに繋げる意味合いは、車で買い物をするためだけではなく、車々間通信のようにデータをやり取りする方が重要である。車々間通信は遅れのない迅速なデータ共用が必要であり、第三者機関にデータの安全性を証明してもらう余裕はない。そのため、ブロックチェーンが注目されているのである。トヨタ・リサーチ・インスティテュートTRIはブロックチェーンの採用を検討し始めた。

 TRIの主要パートナーであるMITのメディアラボは、ブロックチェーンを使ったアプリを開発する企業を募集している。数年後、ネットの標準はブロックチェーンになっているかも知れない。

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2017年5月25日 (木)

カメの行動を制御する寄生ロボット

 以前、生きたトンボの神経を制御してロボット化するシステムを紹介した。今回は、生きたカメを制御するシステムを紹介する。

 研究しているのは韓国の先端技術研究所KAISTである。カメをターゲットにしたのは、水陸両用の移動が可能で、移動速度が遅いため緊急時に対応しやすいからである。

 カメの制御は神経を直接刺激するようなものではなく、カメの背中にカメが見るためのヘッドアップディスプレイと餌を自動的に取り出せる箱を背負わせる。カメを制御する基本原理は、ヘッドアップディスプレイに表示される方向に移動すると、背中の箱から餌が給仕されるという刺激と報酬の組み合わせである。そのため、まずカメを2週間に渡って訓練する。カメは賢いため、ヘッドアップディスプレイの5方向の内のどれかが表示され、その方向に進むと餌がもらえることを学習する。学習後、5週間にわたって5匹のカメで実験したところ、全て成功したそうだ。

 このシステムはカメに装着してカメを制御するため、KAISTのチームは寄生ロボットと呼んでいる。学習したカメはヘッドアップディスプレイに映し出される明かりだけで行動を制御される「マトリックス」に生きているのである。

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2017年5月24日 (水)

ボルボの自動ゴミ収集車

 ボルボは街のゴミ収集を自動で行うシステムを開発している。2015年には、自動でゴミ箱を回収するロボットシステムを公表した。

 実用性も考慮して、その後ボルボはロボットがゴミ箱を回収するのではなく、人間がゴミ箱を回収しやすくするシステムに改良した。現在、スウェーデンで実証実験を行っている。

 街中のゴミ収集は、子どもが遊んでいる状況でも行うことができなければならない。子どもの動きは予想が難しく、安全性を確保するためには人間の作業員がゴミ収集を行った方が良い。そこで、ボルボが改良したシステムでは、作業員一人が安全にゴミ収集できるものとした。ゴミ収集トラックに自動運転機能を持たせ、作業員がゴミ箱を回収している間、安全に幅寄せしたりゴミ箱の場所まで自動で近づくことができる。そのため、作業員は一人でゴミ収集に専念できる。またゴミ収集も、日本のようにゴミを集めるのではなく、ゴミ箱そのものを取り換える方式として作業も清潔に簡単化している。

 完全に機械だけが行う自動システムではなく、人間の作業員も入って共同で行うという視点が面白い。2人でやっていたゴミ収集が1人作業となるものの、相棒がロボットになるということである。

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2017年5月23日 (火)

ルミナーの新型ライダー

 現在22歳のオースティン・ラッセルが5年前に企業したルミナー・テクノロジーの新型ライダーが注目されている。なぜなら、この新型ライダーの量産の目途が立ったとの発表があったからである。

 その発表によると、年内に1万台のライダーを製造し自動運転用に販売するとしている。2018年度には数十万台に増やし、以降、数百万台規模を目指すとのこと。

 ルミナーのライダーは構造的にはミラーをモーターで回転させてファンビームを得る古典的なものである。最大の特徴は、レーザダイオードと受光素子にインジウム・ガリウム砒素を使用することである。この効果は、レーザの波長を1550ナノメートルと、通常のシリコンベースのレーザの905ナノメートルよりも長いことである。波長が長くなると、人間の目に対する安全性が向上し、レーザの出力パワーをこれまでの40倍以上にできることである。すなわち、霧にも強く最大測定距離を200m以上にすることができるのである。レーザの欠点がかなりなくなるのである。

 既に自動車会社へのサンプル出荷を始めており、その中にはBMWやGMが含まれている。ガリウム砒素はシリコンより高価なので、量産による低価格化に期待したい。

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2017年5月22日 (月)

フォードの健康モニタリングシステム

 2050年にはヨーロッパのドライバーの1/3以上が65歳以上となる。ドイツ・フォードはこのような状況を考慮して、100歳でも運転可能なシステムを検討している。

 その一つがフォード車に乗っていれば、ドライバーの健康状態がモニタリングできるシステムである。モニタリングの方法は車載(ビルト・イン)だけに限定せず、持ち込み(ブロート・イン)、非接触(ビーム・イン)の3Bとなる3種類の方法を想定している。

 健康モニタリングする生体情報の一つは、ドライバーの心拍信号である。ドライバーシートにドライバーの静電容量を検出センサを搭載して心拍を検出するシステムをアーヘン大学と共同開発した。また、血糖値センサーを使用しているドライバーには、その情報を取込み可能とするシステムも開発している。また、電波を使用した非接触の心拍検出システムも開発しており、シートタイプに拘っているわけではない。

 更に、赤外線カメラでドライバーの体温を推定するシステムも開発している。この赤外線カメラを用いて、顔の毛細血管の温度変化から心拍を推定することも研究している。

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2017年5月21日 (日)

色の効果

 色の効果について調べたので、いくつかの結果を紹介しておこう。色は心理的な側面だけでなく、実際に体感特性にも影響するのである。

 赤、オレンジ、黄は実際の距離より近くに見え、青は遠く見える。白は膨張色であり黒は収縮色で、白は軽く感じ黒は重く感じる。

 黒背景に黄文字が最も見やすく、道路標識にも活用されている。赤や黄は誘目性が高くて目立ちやすく、青紫や紫は誘目性が低く目立ちにくい。黄色く弱い光はくつろぎを与え、黄色は体感温度を白より1℃上げる。青色光は時間の経過を早く感じさせ、赤色光は遅く感じさせる。明るい白色光下では味覚が敏感になり、黄色い照明下では味覚が鈍感になるものの唾液の分泌量が増える。青白い光はメラトニンの分泌量を減少させ眠りにくくし、黄色い光はメラトニンの分泌量が増加する。緑色の照明は想像力を高め、記憶力が最高になるのは白色の照明である。

 古来、日本語で色を現わす言葉は、白、黒、赤、青の4色だけだった。そのため、現代でもこの4色以外の色は必ず「~色」と色を現わす漢字のあとに色を付けて使っている。

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2017年5月20日 (土)

自転車の変遷

 想像力の欠如と閉塞状況の連結によって、技術の進歩が大いに遅れることがある。カナダ、マニトバ大のスミル教授はこの例として自転車を挙げている。

 200年前の1817年6月12日、ドイツのカール・ドレイス大公が初めて自転車の原型を披露した。前後2輪をフレームで繋いで前輪ハンドルで方向を変える現代の自転車とほぼ同様の構造に、推進力は足を地面に押し付けることによるものだった。

 フレームは重い木製にも関わらず、馬車よりも早く走ることができる優れた乗り物だった。しかし、1820年には機関車が生まれた技術的背景を考慮すると、足で漕ぐ方式がいつまでも続いたことは謎である。推進用のペダルが搭乗するのは、1870年代になってからのことである。しかも、現在のようなチェーン方式ではなく、大きな前輪車軸に直接ペダルが付いたものだった。速度は出たものの、操縦は難しかった。現在のチェーン方式のペダルの原型を初めて試作したのは、1885年、イギリスの二人の発明家、ジョン・ケンプ・スターリーとウィリアム・サットンである。すると、1888年、ジョン・ダンロップが空気入りタイヤを発明し、現代的な自転車へと加速したのである。

 マウンテンバイクが初めて登場したのは1977年である。1886年に自動車が搭乗してから1977年までの変化を考えれば、自転車が超保守的な道具であることがわかる。

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2017年5月19日 (金)

ウーバー自動運転の盗用疑惑

 ウーバーの自動運転技術は、グーグルの技術が盗用されたという疑いがある。グーグルはウーバーを訴えており、米連邦地裁は盗用されたファイルの変換と担当エンジニアのプロジェクト関与を禁止する命令を出している。

 担当エンジニアはグーグルで自動運転プロジェクトに携わっていて、自動運転トラックのオットーを立ち上げるためにグーグルを退社した。その後、ウーバーがオットーを買収したので、その技術をウーバーが使うことになったのだ。

 担当エンジニアはグーグルからライダーのデータ等のファイルを無断で持ち出し、そのノウハウを利用しているとグーグルは訴えている。担当エンジニアはグーグルでは中心的な存在で、退社前からプロジェクトのノウハウを個人のハードディスクにダウンロードし始めたとか。自動運転の公道試験は、これまで収集解析したデータ量がものを言うため、ウーバーがいきなり公道試験で自動運転が可能であれば疑われても仕方ないだろう。

 担当エンジニアは自分が開発したものを使って何が悪いと思っていたのかも知れない。裁判では黙秘権を履行していたそうだ。

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2017年5月18日 (木)

工場ロボットのハッキング

 ランサムウエアでPCがウイルスに感染する脅威がニュースになっている。ウイルス感染で困るデバイスはPCだけでなく、工場のロボットも危なくなってきた。

 トレンドマイクロがミラノ工科大学と共同で作成したレポートでは、ネットワークに接続した工場ロボットがウイルスの脅威にさらされることを警告している。この背景に、2019年には工場ロボットの世界台数が260万台にも達するというものがある。

 従来、工場のロボットは単独で独立して作業していた。ところが、ロボットの台数が増加し、協調的に各種の行程を連携して行う様になるとネットワーク型のロボットが増え始めた。更に、他工場との連携や、他企業との情報を受け取るようになるとインターネットへの接続が前提となってくる。すると、外部ハッカーによる攻撃やウイルス投入の危険性が生じる危険性が考えられるのである。工場で意図しない様なものを製造する等の高度な乗っ取りは難しいにしても、動作不良になって生産性が極端に落ちたり、暴走して危険な状態になる危険性は高い。

 このため、最低限の対策として、ハードウエアによる電源オフ機構の設置が推奨されている。昔ながらの、危険時は押して止める「赤い大きな緊急停止ボタンスイッチ」のことである。

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2017年5月17日 (水)

安全システムの効果

 自動車の安全技術がどの程度有効かを見極めることは難しい。IEEE Spectrum では3つの安全プロジェクトを例に有効性をコメントしている。

 一つ目は、最先端の運転支援システムとして、歩行者と自転車を検出可能な自動ブレーキの効果である。このシステムが全ての車両に搭載されれば、欧州では7.5%の事故を減少可能と推定されている。

 しかし、その推定値はセンサが適用される状況で歩行者や自転車が現れればということであり、予想外の行動を取る歩行者や自転車に対する事故防止効果は疑問である。なぜなら、二つ目に紹介するABSの黎明期がそうだったからである。1980年代、メルセデスが初めてABSをデモしたときは大いに歓迎された。保険料の軽減も行われた。そして、ABSが普及して事故率が低減されるとの期待は裏切られた。ABSはカーブの走行速度を上げただけだった。その後、ECSへと発展し事故率低減効果は上がる可能性が出てきた。

 三つ目が渋滞の解析プロジェクトで、ドライバの反応遅れが自然渋滞を起こすことがわかっている。そのため、自動運転になれば人間のドライバのような自然渋滞は起こさなくなるのではと期待されている。

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2017年5月16日 (火)

新型火星探査ローバー

 火星探訪用のロボットを送ることを考えると、一度に送る量の制限がある。そのため、なるべく小型軽量のローバーが必要となる。

 NASAのジェット推進研究所JPLで最近、折り畳み可能な小型のローバーを開発した。そしてそのローバーは、PUFFERと名付けられている。

 PUFFERとは、Pop-Up Flat Folding Explorer Robot の略語であり、フラットに折り畳み可能で、ポップアップして元の形となる探査ロボとという意味である。フラットに折りたたむと、推進速度は落ちても洞窟のような狭いところを進むことができる。ポップアップした元の形では、火星のクレーターの急斜面を上ることもでき、大型のローバーが探索不能な地域を走り回ることを目指している。

 JPLではPUFFERを多数火星に送って、群ロボットとして機能することも考えている。ローバーが沢山いれば、協力し合ってミッションを達成できる可能性もある。

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2017年5月15日 (月)

日本が仮想通貨のリーダー

 仮想通貨とは、特定の国が保証しないインターネット上で流通している通貨である。国家の保証がないというよりは、どこでも使えるという点で世界電子マネーともいえる。

 この仮想通貨を法的に認めた世界のリーダー国はどこかかというと、実は日本なのである。保守的なイメージのある日本の金融当局が認めたのだから、IEEEが取り上げるのも当然だろう。

 4月1日に施行が開始された日本の仮想通貨法が認めている仮想通貨は、ビットコインとイーサリアムだけである。ビットコインかイーサリウムによる売買は消費税の8%を支払わなくても良いのだ。この法律によると、仮想通貨を使いたい業者は、資本金が1000万円以上で純資産額がマイナスでなければ登録するだけで良い。これで晴れて合法的に日本国内で仮想通貨を用いた売買ができるのである。アメリカの方が進んでいても良さそうなものの、アメリカで実施するとなると関連する政府機関が多く複雑になり過ぎて今のところ検討もしていない状況だそうだ。日本は金融庁だけで良いというのが幸いした形である。

 仮想通貨はマネーロンダリングの温床になるという問題がある。賢明な諸君はすぐに手を出さず、しばし静観することを勧める。

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2017年5月14日 (日)

アメリカのドローン飛行事情

 2015年にアメリカのケンタッキー州で、自宅上空を飛んでいたドローンを銃で撃ち落とした男がいた。彼はドローンの持ち主に器物損害罪で訴えられていた。

 先月、連邦裁判所はこの男を不起訴にする判決を出したそうだ。連邦航空局FAAはこのドローンの飛行を認めていたため、ドローン所有者は訴訟を起こしていたのだった。

 ケンタッキー州は自宅上空に許可なく侵入することを禁ずる法律があったため、州法を優先させた判決となった。FAAも連邦航空局が許可していることを後押しもしなかったそうだ。アメリカには連邦法と州法があり、矛盾が生じたときは問題となる。連邦法が優先すると思われるものの、ドローンはカメラで盗撮も可能なため微妙な立場のようだ。アメリカでドローンを飛ばすときは、先ずFAAに許可を取らなければならない。登録費用は5ドルで3年間有効と大げさなものではない。

 問題は、FAAの許可を取ったからといって自由に飛ばしていると落とし穴があるということである。日本同様、アメリカでも自由にドローンは飛ばせないようだ。

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2017年5月13日 (土)

ウェイモがサービス開始

 グーグルの自動運転サービス子会社ウェイモが実際の自動運転サービスを始めた。先ずは、アメリカのアリゾナ州フェニックスの住宅街がスタートとなる。

 サービスの自動運転車は、クライスラーのミニヴァン・パシフィカの改造車だ。当初の計画の6倍にあたる500台での運行となる。

 この自動運転サービスを利用するには、ウェイモに会員登録し、使用時に電話アプリで呼び出せば良い。会員は自動運転サービスが許可されているフェニックスの特区に住んでいれば、18歳以上で申し込める。パシフィカのルーフには、グーグルでお馴染みのライダーが付きだしているものの、乗り込めば運転手不在のミニヴァンである。フェニックスの特区は、サンフランシスコの2倍のエリアをカバーしている。

 ウェイモのサービスは世界初ではない。ピッツバーグのウーバー、シンガポールのヌートノミーに次ぐものであり、ウーバーもヌートノミーのウェイモの動きに刺激されているはずだ。

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2017年5月12日 (金)

アメリカの雇用状況後編

 一方、解雇している企業と職種はどうなっているだろうか。完全解雇か自宅待機かの区別なしで紹介しよう。

 オラクルは1800人のサン・コンピュータ系の技術者を解雇し始めた。ボーイングは1600人以上の人員削減を今年実施する。

 ハードディスクのウェスタン・デジタルは、180人を解雇すると発表している。ネットワークセキュリティのジュニパーネットワークスは、6%の削減を報告している。パンドラは7%の削減を発表した。ゴープロは200人削減の後に、更に270人の削減計画を発表した。IBMは雇用削減で有名なものの、今年はアメリカで7000人を新規に雇用すると発表している。ちなみにIBMの従業員数は38万人である。マイクロソフト社は、リストラを進めつつ販売用の新規雇用も行っている。

 解雇側を総じていうと、ハードウエア技術者が受難ということになる。AI技術者募集の増加割合は前年比2倍にもなるのに、ハードウエア技術者はリストラ対象なのだ。

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2017年5月11日 (木)

アメリカの雇用状況前編

 アメリカは日本のように毎年決まった時期に新卒を採用するわけではない。必要な時期に必要な人数を募集する。

 また採用と同様、解雇も必要に応じてドライに実施している。そのため、アメリカの主要企業の採用職種や人数と解雇数を見れば、現在の企業ニーズが明確になるのである。

 まずは採用状況から。ウーバーはピッツバーグでAIやロボットのソフトウエア技術者を大量に採用している。ウーバーのライバル、グラブは、今後2年間で800人もの機械学習、予測データ分析、ユーザーインターフェイス、デジタル決済用の技術者を募集している。中国系の配車サービス。ディディも自動車運転技術者を雇用している。フォードは400人のコネクティッドカーや自動運転用の技術者を雇った。バイドゥはAIエンジニアを150人増加している。アマゾンはイースト・パロ・アルトに1300人のソフトウエア技術者を雇用し、イギリスでは5000人ものソフトウエア技術者を雇用すると発表している。ボッシュはインドで3000人のソフトウエア技術者を採用するとしている。

 総じて、ソフトウエア技術者を増加させたいようだ。ただし、AIや機械学習のわかるソフトウエア技術者をである。

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2017年5月10日 (水)

自動運転ウーバーの事故

 自動運転はまだまだ完全なものではなく、たまに事故を起こす。今のところ、その事故自体がまだまだニュースになる状況だ。

 3月25日、アリゾナ州で公道実験中の自動運転ウーバーが横転事故を起こした。一般ドライバーの他車両に衝突されたので、起こしたというより起こされた事故である。

 事故の状況としては、ウーバーのボルボXC90の改造車が自動運転モードで走行中、他の一般車両が左折時にウーバーに衝突し横転したというものである。幸い、ウーバーには乗客がおらず、監視ドライバーにもケガはなかったとのこと。この事故発生により、ウーバーは公道実験を一時中断した。その後、ウーバー側に非はなかったと実験を再開したものの、他車両の接触を避けるような運転はできなかったのかという疑問は残る。人間のドライバであれば、例え優先権があっても接触しそうになれば回避する努力をしていたはずである。

 現在のところ、自動運転車の事故相手は一般車である。もし、自動運転車同士が事故を起こせば、自動運転の実現が遠ざかるかもしれない。

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2017年5月 9日 (火)

血糖値を計測するコンタクトレンズ

 糖尿病で重要なことは、血糖値のモニタリングである。そのため、さまざまなモニターが開発されている。

 韓国の蔚山(ウルサン)国立科学技術研究所(UNIST)では、血糖値がモニタリングできるコンタクトレンズを開発している。涙中の糖分は血糖値に変換可能なため、コンタクトレンズは最良の血糖値モニターといえる。

 コンタクトレンズは血糖値だけではなく、眼圧を計測することも可能で、複数の健康モニターとしても使える。コンタクトレンズ本来の機能も確保するため、透明電極を用い、ハイブリッド構造のフィルムを形成している。眼内を検出する構造としては、誘電体層を2つのハイブリッド膜の間に挟み眼圧に応答するコンデンサとしている。こうすると、眼圧に応じて誘電体層の厚さが変化しキャパシタンスが変化する。また、横方向の拡張によってアンテナコイルのインダクタンスも変化する。血糖値の指標としてグルコースを検出するため、フィルム層は涙に浸し、グルコースを選択的に結合する酵素によってフィルムの抵抗値を変化させるのである。

 苦労している点は、涙中ではグルコースを過検出してしまうため、如何に正確にグルコースを選択させるかだそうだ。そのため、酵素分子の設計だけでなく、検出回路の構造も工夫が必要となる。

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2017年5月 8日 (月)

5G通信の期待と課題

 次世代のモバイル通信は5Gと呼ばれている。まだ計画段階であり不明な点はあるものの、課題も明確になっている。

 5Gでの要求性能は、1ミリ秒未満の遅れ(現4G通信は70ミリ秒の遅れ)に、20Gbpsのダウンロード速度(現4Gは1Gbps)である。この性能を達成するため、ミリ波帯域の電波使用が検討されている。

 ミリ波帯域とは、これまでモバイル用に使ってきた6GHz帯域よりも高周波帯域の30~300GHz帯域を差す。波長がおよそ1~10ミリメートルになるため、ミリ波と呼ばれている帯域である。この帯域は自動車用のレーダーが77GHzで使用している。ミリ波帯域は、短距離レーダーに適した帯域ともいえる。なぜなら、直進性に優れ建物や障害物を回避せず反射するからである。また雨や落ち葉にも吸収される欠点もある。そのため、通信網を短距離間隔で数多く設置する必要が生じる。

 5Gが実現すると、どこでもスマホが現在の家庭用無線よりも高速に繋がる。早ければ、5年後にも実現するという。

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2017年5月 7日 (日)

乳児の脳波解析

 赤ん坊はしゃべることができないので、診断のときにどのような痛みを感じているかを知ることが難しい。そこで、赤ん坊の脳波のパターンと痛みの相関が研究されている。

 オックスフォード大学の小児神経画像准教授レベッカ・スレーターは、赤ん坊が鎮痛治療に敏感なため脳活動と痛みの相関を研究している。この方法は新生児にも適用可能なため、大いに期待されている。

 現状の計測方法は、電極が付いたネットキャップを乳児の頭部に被せる方法で、生まれたての幼児にも安全に適用できる。これまでわかったことは、幼児が痛みを感じている脳波パターンは、通常の視力、聴力、触覚への刺激で示すパターンとは異なるということである。乳児から血液採取のときに痛みを感じているかどうかは64%の精度で検出できる。しかし、痛みを感じない刺激が同時に起きていると、65%の場合は検出不可能なこともわかった。そのため更に研究を進める必要があり、今後3年間に渡って続けられる予定である。

 他の研究方法としては、機械学習とコンピュータビジョンで乳児の表情を読み取る試みが始まっている。乳児は痛み以外の理由でもしかめっ面で泣くため、それが痛みによるものかそうでないかの分類可能性がポイントとなる。

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2017年5月 6日 (土)

自動運転の普及は2030年

 サンフランシスコのシンクタンク Rethink X 社が、2020-2030交通の再考という研究結果を発表した。副題は、内燃機関と石油産業の崩壊と名付けられている。

 Rethink X は何と、13年以内に自動走行車が総自動車走行距離の95%を占めると予想している。そしてその自動走行車は電気自動車というのである。

 その根拠は、テスラが2020年代前半にレベル5の完全自動運転のEVを発売するからとしている。そして、その後の普及を考えた今から13年後の2030年が、95%も普及しているというのだ。彼らの前提は、自動運転はディープラーニングにより達成し、その技術は世界中で開発され、今後加速度的に良くなるというものである。また、自動運転とEVが95%も占めれば、あらゆる分野の経済に変化が起きると警鐘している。自動運転EVの効果は、移動の出費を90%削減し、維持費も80%減少し、70%の燃料費カットと90%の保険料の節約をもたらすとしている。内燃機関は可動部が2000カ所もあるのに対し、EVはたった20カ所しかなくEVの方が耐久性に優れているとも指摘している。事故も減り、保険の在り方も見直す必要があるとも。

 グーグルが完全自動運転の完成は30年後と公表したことに対し、あと数年のうちに完全自動車が量産可能としたところがこれまでの未来予測と違う点である。いつ実現するかは不明な点が多いものの、完全自動運転でしかもEVならこのレポートの主張はそんなに間違っていない。

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2017年5月 5日 (金)

ビッグデータ時代の単位

 計測工学の授業でSI接頭語を勉強したように、10の3乗毎に大きさや小ささを示す記号が決まっている。大きい方は、M(メガ)、G(ギガ)、T(テラ)、P(ペタ)、E(エクサ)、Z(ゼタ)、Y(ヨタ)と続く。

 ヨタは10の24乗を表し、現在のハードディスクの容量がテラ(10の12乗)単位で済んでいるので、ヨタより大きい接頭語は不要なように思う。ところが、ビッグデータの研究者はヨタでは不十分と考えている。

 現在の世界中の情報量を1ゼタバイトを超えているそうだ。これは、重複しないコピーのない量なので、データのコピー等を考慮すると次の桁のヨタは既に視野に入っているといえる。すると、ヨタの次の接頭語をどうするかとなり、既に1000ヨタバイトを1ブロント(Bronto)バイトと呼ぶことになっている。更に1000ブロントバイトは1ジオプ(Geop)バイトと呼ぶ。そして、1000ジオプバイトには1ヘラ(Hella)バイトという名前も付いている。hella とは hell of a  の略語であり、何ともすごい言葉だ。

 ヘラは10の33乗ということになり、漢字での表記では十溝(こう)となる。漢字世界では昔からビッグデータの時代を予測し、10の68乗を示す無量大数が用意されている。

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2017年5月 4日 (木)

ディープラーニングのブラックボックス対策

 ディープラーニングは驚異的な学習能力で、人間の能力を一部では超え始めている。しかし、商品化が難しい。

 その理由は、ディープラーニングがブラックボックスであり、一部を修正したいと思ってもそれが困難だからである。この問題に NVidia が回答を出そうとしている。

 NVidia は自動運転用に同社のGPUを販売したいため、GPUを使ったCNN(ディープラーニングの一手法)による走行環境認識用のディープラーニングのプラットフォームを販売している。そのプラットフォームに、CNNが認識している状況をカメラ画像にスーパーインポーズするシステムを開発した。つまり、CNNの認識結果を視覚マスクとして使い、利用者がCNNがミスを犯したときに教え込むツールとして使うのである。利用者は、走行画像中の車線、道路端、駐車車両、ルートの境界等を示す顕著な特徴をクラス1として分類し、その他の走行制御に関係のない背景画像をクラス2として分類する。CNNにクラスを教え込むことによって、ミスを具体的になくして行くアプローチである。

 このアプローチは、役には立つもののディープラーニングのブラックボックスを透明にするものではない。本当に欲しいのは、CNNがなぜ間違えたかであり、それを修正するためCNNのコードをどう変更すれば良いかというものである。

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2017年5月 3日 (水)

AIによる心臓発作の予測精度

 AIを使うと、人間の医師よりも正確に心臓発作やまひが予測できるらしい。AIが得意な統計処理が有効活用される良い例だろう。

 AIを使うと、外科手術の縫合パターンは人間の医師が考えるより適切なものが出せるとわかっている。また、幼児が自閉症かどうかの診断も人間より正確である。

 今回の研究は、イギリスのノッティングハム大学の研究者、ステファン・ウェインが発表したものだ。通常の意思による心臓発作の予測は、米国心臓病学会が作成したガイドラインを使用する。ステファンはニューラルネットワークを使った機械学習で、過去のデータを分析して心臓発作の予測率を求めると74.5~76.4%の精度となった。これに対し、ガイドラインを使った精度は72.8%なのである。彼が調べたデータベースでは、この差は355件となった。つまり、ガイドラインで予測せず、AIを使った予測を使えば355人多く助かったことになるのである。

 この研究で使われた機械学習の手法自体は目新しいものではない。したがって、AIによる診断は更に進歩する可能性があるものと思われる。

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2017年5月 2日 (火)

アップルの自動運転テスト詳細

 アップルが申請したカリフォルニア州での自動運転の公道試験の内容をカリフォルニア自動車局(DMV)が発表した。その内容から判断すると、アップルの自動運転は大したことはないらしい。

 提出書類の内容は、テスト用のレクサスRX450hの詳細、トレーニング計画、担当者の紹介だそうだ。トレーニング計画は、テストを担当するドライバがビデオゲーム用ロジテックのステアリングとペダルを使用して訓練するそうである。

 自動運転システムそのものについての記載はなく、グーグルのような意欲は見られないそうだ。レクサスに搭載されているシステムは、ステアリング操作や加速、減速のためのコマンドを送信することができるようになっているプラットフォームに関するものとか。このプラットフォームには自動運転の機能はないそうである。そのため、どうもアップルは完全な自動運転車を造る気はなく、自動運転が完成した他のメーカーのアクセサリや関連ソフトウエアが両立するプラットフォームを開発するのではないかという見方も出始めたそうだ。そして、テストを担当する6人のドライバは、車で作業するエンジニアリングスタッフのようだ。

 この公道試験の報告書は提出義務があり、2019年早々には具体的内容が明らかになるそうである。そのときは、良い意味で期待を裏切って欲しい。

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2017年5月 1日 (月)

亜鉛二次電池

 今日からまた IEEE Spectrum で取り上げられた新技術を紹介していこう。今回は、リチウムイオンバッテリーに代わる新しい二次電池として、亜鉛バッテリーが研究されているという話題。

 亜鉛バッテリーを研究開発しているのは、2009年にメリーランドで創立された電気自動車用バッテリーのベンチャー企業 EnZinc 社である。同性能のリチウムイオンバッテリーより30から50%も安価なものを目指している。

 亜鉛電池とは、正極(カソード)にニッケル、負極(アノード)に亜鉛を使う二次電池で、70年以上前から原理が知られていた。しかし、亜鉛電池を充電すると、デンドライト(樹状析出)という亜鉛の特性のためアノードの亜鉛が樹氷のように成長し、電池をカソード側とアノード側に仕切るセパレーターを貫通してカソード側まで突き出てしまっていた。このため充電するとショートして使えなくなるため、使いきりの一次電池にしか使えなかったのである。EnZinc 社はアノードをスポンジ状の構造にすると、デンドライトを抑制することを発見したのである。亜鉛電池はリチウムイオン以上のエネルギー密度を持っているため、同性能であればリチウムイオンよりも小型軽量になる可能性がある。

 亜鉛は地球上で4番目に多く採掘される物質であり、確かにリチウムイオンバッテリーより遥かに安価なものができることになる。EnZinc 社は2019年の出荷を計画している。

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