« 2017年6月 | トップページ | 2017年8月 »

2017年7月31日 (月)

マルチバース理論

 宇宙は英語でユニバース(universe)という。ユニバースのバースの意味はとにかく、ユニは一つという意味である。

 最新の物理学では、宇宙は一つではなく無数にあるという理論が注目されている。一つではなく無数にある宇宙なので、マルチバース理論という。

 宇宙の真空エネルギー問題から、マルチバース理論は生まれた。宇宙観測から得られた値で真空エネルギーを計算すると、予測値より120桁以上も小さいのである。真空とはエネルギーや質量が存在しないのではなく、物質と反物質が生まれてはぶつかって消えることを繰り返しエネルギーが変化している。これを真空の相転移といい、インフレーション理論を支えている。また、ビッグバン理論もこれで説明可能であった。ところが、真空エネルギーの観測値がビッグバンを起こすには120桁以上も少な過ぎるのである。この矛盾を解決するために、この宇宙以外に真空エネルギーが異なる宇宙があるのではないかということになった。

 古代、地球が世界の全てと思っていたら、太陽の周りを回る惑星とわかった。そして、ユニバースと思っていた宇宙は唯一無二ではなく、マルチバースと考えないとこの宇宙が説明の付かない時代になったのである。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月30日 (日)

オーストラリアの運転支援システムの課題

 運転支援システムが自律的に検出しなければならないものは、車線と車両(二輪車含)と歩行者である。ところが、地域によっては更に検出しなければならないものがある。

 サンフランシスコであれば自転車であり、スウェーデンではムースであり、日本では犬や猫の飛び出しだろう。そして、オーストラリアで必ず検出しなければならないものがカンガルーである。

 ボルボは、オーストラリアでのカンガルー検出システムを開発している。検出手段は単眼カメラである。カンガルーが他の動物検出と異なるところは、2足で歩くことではない。カンガルーが飛び跳ねることが問題となる。なぜなら、単眼カメラで物体を検出しその物体までの距離を推定する手法は、その物体の下端位置が基準になるからである。カンガルーが跳ねて下端位置が上がってしまうと、これまでの手法だと遠い距離と誤認識してしまう。そのため、カンガルーに特化した認識アルゴリズムが必要になるのである。また、カンガルーの移動速度がとてつもなく速い場合もあり、処理速度も要求される。

 オーストラリアでは車線のない道路や、鉄道と交差する道路も多く、カンガルー以外にも解決しなければならない課題が多い。いずれにせよ、自動運転時代には人間が運転できていた走行環境は、全て対処できる認識システムが必要となる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月29日 (土)

自動運転車と歩行者の関係

 新技術は意図しない結果を招くことがある。自動車技術でいえば、ヘンリー・フォードは自動車の大量生産に成功したものの、渋滞が発生することは予見できなかった。

 これから懸念されるのが自動運転技術である。自動車同士の関係は完全なものが期待できるものの、歩行者との関係は大丈夫だろうか。

 人間が運転しているとき、街中の歩行者とはアイコンタクトや動作から歩行者のやりたいことを推定し、問題なく走行している。タクシーの運転手は、大げさに手を挙げなくても利用者を容易く見つけることが可能である。ところが、運転手のいないレベル5の自動運転車が、横断歩道の端で立っている二人組を見つけて歩行者優先で停止したとき、二人が立ち話を始めて横断しそうになかったらどうするだろうか。また、雪が積もったため、自動車道を歩き始めた歩行者がいれば、自動運転車は歩行者の後に付いて走るのだろうか。

 シンクタンクの未来研究所IFTFの所長だったロイ・アラマが発したアラマの法則によれば、テクノロジーの影響は短期的には過大評価され長期的には過小評価される。自動運転に対しても同様ではないだろうか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月28日 (金)

スーパーセル・アーキテクチャ

 リチウムイオン電池の性能改善が、EVの大きな課題である。スウェーデンの Cadenza Innovation 社の取組が注目されている。

 Cadenza Innovation は女性でリチウムイオン電池に取組むクリスチーナ博士が設立したベンチャー企業である。同社の特徴は、スーパーセル・アーキテクチャ戦略である。

 Cadenza Innovation はバッテリーを製造するのではなく、同社がバッテリーの構成を設計するのである。提携先は不明なものの、かなりの資金を集めているようだ。ジェリーロールという正極と負極を巻き付けた円筒形のリチウムイオンのセルを、卵をパックするような耐熱フレームで一体化した構造がスーパーセル・アーキテクチャの特徴である。

 提携先の要望により、セルのパック数を変えることができる。クリスチーナ博士は、20年間のベストプラクティスをパッケージ化したようなものと説明している。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月27日 (木)

アメリカのSTEM技術者

 STEMと大文字で書くと、特別な意味を持つ。Science,Technology,Engineering and Mathematicsの頭文字を取った、科学・技術・工学・数学の教育分野という意味になる。

 アメリカのSTEM技術者は、1990年以来、アメリカ以外の出身者の割合が劇的に増加していることがわかった。特にカリフォルニア州とニュージャージー州が顕著である。

 まず、アメリカの全従業員中のSTEM技術者のシェアは、1990年の3.4%から2015年に5%に増加している。その中で、アメリカ以外の出身者の占める割合は、1990年の11.9%から2015年の24.3%と増加している。コンピュータと数学分野では、外国人労働者比率は1990年の11.9%から2015年には26.1%と上昇している。更に、ソフトウエアエンジニアリング分野では、外国人労働者の割合は39.2%と高い。また、電気工学者は28.4%となる。カリフォルニア州とニュージャージー州では、STEM技術者の割合はそれぞれ42.4%と43.8%にも及ぶ。

 ハイテク企業の創業者を見てみると、1995年から2005年の間で25%もの企業に移民創業者を抱えている。もはや、アメリカで移民排除は考えられない状況といえる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月26日 (水)

測距リニアイメージセンサ

 浜松ホトニクスといえば、光関連の電子部品を製造販売する会社である。IEEE Spectrumのスポンサーなので、同社のデバイスの宣伝を載せている。

 浜ホトの一押しは、測距リニアイメージセンサ S12973-01CT である。測距イメージセンサとは、TOF(Time-of-Flight)方式による対象物体までの距離を画像化するセンサである。

 S12973-01CT はリニアセンサということで、64画素の受光素子が1列に並んでいる。画素間ピッチは22μmで、変調した投光器やレーザーと合わせて、対象物体の距離を1列に画像化する。画像列の垂直方向に回転させながらデータを取得すれば、回転角に応じた面の画像ができることになる。また、最初から160×120画素と面画像になったエリアセンサもあり、それを用いれば一回の測距で距離画像が得られる。

 受光素子側がTOF方式に対応したものを準備できるようになったので、後は投光側とのシステム化さえできれば良い。100ドルライダーの受光素子として期待できる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月25日 (火)

ジェスチャー認識システム

 ロボットと人間の意思疎通は、コンピュータービジョンの進化により、人間の発話に加えて表情を読むところまで来ている。カーネギーメロン大学では、更に人間の意思を読み取るシステムを研究している。

 それは、人間のボデーランゲージを読むコンピュータービジョンである。これには OpenPose という名称が付けられている。

 OpenPose の特徴は、人間の頭部、胴体、四肢だけでなく、両手の指も追跡することである。指まで認識するシステムを開発するため、ドーム状のスタジオに500台ものカメラを設定し、様々な角度から様々な姿勢を撮影してデータセットを作成した。また、OpenPose は複数の人間を同時に認識しトラッキングすることもできる。認識対象は特徴部分(キーポイント)が抽出され、キーポイントは三角測量で距離情報も計算される。これを利用して、全ての指が見えない状況でも、手がどのようになっているかを推定することができる。500台のカメラはデータセット収集のためだけであって、実際の使用時のカメラは1台である。

 OpenPose という名前が示すように、プログラミング・コードは公開されている。家電の操作をジェスチャーで行える日は近い。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月24日 (月)

ボルボのEV化宣言

 ボルボは2019年に新型EVの販売を開始するとアナウンスした。2025年には、100万台のEVを販売したいとも言っている。

 ボルボが今後EV一辺倒になるかというと、そういうことはないと思われる。少なくとも、今後10年は収益の高いSUVのガソリン車を販売し続けるはずである。

 カリフォルニア州のゼロエミッションビークル(ZEV)規制から始まったEV化は、トヨタのハイブリッド車プリウスの一人勝ちで終わっている。プリウスに対抗すべく、GMはプラグイン・ハイブリッドを販売し対抗しているものの、収益率ではとても勝ち目はない。プラグイン・ハイブリッドには高価なバッテリーが必要なのである。EVで成功しているのテスラにしても、超高級車として利益を上げているのであり、モデル3で収益が上がるかは不明である。ボルボはテスラに対抗するつもりなのだろうか。

 ボルボの狙いは中国の大気汚染対策である。ボルボの親会社は、中国のジーリーホールディンググループである。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月23日 (日)

世界初レベル3自動運転のアウディA8

 バルセロナで2018年モデルのAudi A8が発表された。このA8は、世界初の自動運転レベル3の量産車である。

 A8のレベル3の仕様は、自動車専用道路で60km/h以下の走行に限ってのものである。アウディはこの仕様を「AI Traffic Jam Pilot」と呼んでいる。

 ライバルの自動運転はレベル2で、メルセデスベンツではステアリングホイールからドライバが手を離すと警報が鳴る。テスラでは、車線変更したいときはドライバが周囲を監視しながらターンシグナルを操作する必要がある。最新のキャデラックCT6では、赤外線カメラがドライバの目の動きを監視し、前方に注意を向けているかどうかを監視している。A8もドライバを監視し、ドライバが眠ってしまえば車両を自動停止させるようだ。しかし、運転を交代しろと要求しなければ、ライバルのレベル2とは全く異なるものである。目玉の環境センサーは、ヴァレオが提供するIBEO社が提供する前方監視用のライダーである。その他にも、モービルアイのカメラ(通常のカメラは全部で5台)、12個の超音波センサー、5台のレーダー、1台の夜間視界用赤外線カメラを搭載している。

 プラグイン・ハイブリッドと合わせて、今秋ヨーロッパで約9万ユーロで発売する予定である。その後、米国市場にも約10万ドルでリリースされることになっている。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月22日 (土)

2017トッププログラミング言語(3)

 プログラミング言語が各分野でどれくらい使われているはわかった。ところが、プログラマーの求人口数で調査すると様子が変わってくる。

 例えば、今年1位になった人気言語 Python を求人面でみてみよう。就職口数でみると C と Python の比率は3.5:1となり、C の求人が圧倒的に多いのである。

 このように就職に強い言語をみてみると、24位の SQL は就職口数15400口と7位の JavaScript 9300口を引き離している。また、HTML は7000口、ASP.NET 2700口、PHP 2400口とWeb言語の引き合いは多い。R は昨年度から求人が減ったものの、データ科学用として固い需要がある。GPUコーディングに必要な CUDA や Rust はニッチな市場なもものの急速に成長している。

 一方、ニーズがなくなりつつある言語としては、R が Python と GO に取って代わられつつある。Clojure、Haskell、Visual Basic 等も衰えており、中でも ActionScript は来年の調査ではランキング外に落ちる可能性もある。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月21日 (金)

2017トッププログラミング言語(2)

 11位以降のランキングも紹介しておこう。48位の Forth とは、1970年代に搭乗した Fortran ベースの組み込み言語で、レイティングはほとんどないものの存在しているのには驚く。

11.Arduino(72.4)
12.Ruby(72.1)
13.Assembly(71.8)
14.Matlab(68.6)
15.Scala(68.1)
16.HTML(67.2)
17.Shell(65.8)
18.Perl(57.0)
19.Visual Basic(54.4)
20.Cuda(53.0)
21.Rust(52.1)
22.Lua(52.1)
23.Processing(49.9)
24.SQL(49.6)
25.Haskell(47.7)
26.Objective-C(45.2)
27.Delphi(40.9)
28.Fortran(40.4)
29.D(37.9)
30.Julia(35.4)
31.VHDL(35.1)
32.Prolog(32.7)
33.LabView(32.2)
34.Lisp(30.4)
35.Verilog(29.9)
36.Erlang(27.4)
37.Ada(25.5)
38.ABAP(25.5)
39.SAS(25.4)
40.Clojure(24.1)
41.Cobol(23.8)
42.Scheme(18.7)
43.TCL(9.9)
44.J(9.3)
45.Ocaml(8.4)
46.Actionscript(1.5)
47.Ladder Logic(0.5)
48.Forth(0.0)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月20日 (木)

2017トッププログラミング言語(1)

 今年も IEEE Spectrum が独自のレイティングでトップ・プログラミング言語を選んだ。10位(得点)まではこのようになっている。

1.Pyhon(100)
2.C(99.7)
3.Java(99.5)
4.C++(97.1)
5.C#(87.7)
6.R(87.7)
7.JacaScript(85.6)
8.PHP(81.2)
9.Go(75.1)
10.Swift(73.7)

 今年の特徴は、遂に Python が1位になったことである。とは言え、上位4つのPython、C、Java、および C++ は僅差である。

 C# は昨年Rに失われた場所を取り戻し、トップ5に再入した。 Ruby は12位にまで落ち、Apple の Swift がトップテンに入った。その代わり Objective-C は26位に落ちている。

 古い言語の代表格 Fortran は今でも28位に居座り、Lisp が35位、COBOL は41位で健在である。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月19日 (水)

ライダー(8)

 自動運転にライダーは欠かせない。ところが、ライダーだけでは不十分でカメラも必要である。

 なぜなら、ライダーは単一波長の反射波だけなので、見えないパターンを生じるからである。よって、カラー画像が取得できるカメラとライダーがあれば良いということになる。

 カラー情報とライダーによる距離情報を持った画像を、RGBD画像という。RGBが、赤(R)緑(G)青(B)のカラー情報で、Dが距離情報である。RGBD画像を処理できるシステムば、ほぼ人間と同様の認識が可能な情報のお膳立てができていると考えて良い。それでも、ライダーとカラーカメラをフュージョンしたシステムに種々の課題に何がある。例えば、ライダーとカメラを自動車のどこにいくつ搭載すれば良いかという課題がある。グーグルの自動運転では、360°センシングできるライダーをルーフ上に取り付けていた。こうすれば車両情報から全周囲を見渡すことができる。実際に量産される自動車で、自動運転になるからといってルーフ上にサイレンのように取り付けることは難しい。目立たなないくらいに小型できれば良いものの、当面はある程度の大きさは必要である。したがって、車両の前後のバンパーやグリルに複数個のライダーを埋め込むことになるだろう。

 コスト100ドルのライダーが実用化すれば、複数使用が可能になるだろう。それまでは、1個のライダーを各種センサが補間するような形で取り付くものと思われる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月18日 (火)

ライダー(7)

 PCLによる3D物体認識の標準的な流れを見てみよう。それは、フィルター、特徴抽出、キーポイント抽出、位置合わせ、物体照合である。

 フィルターでは、ノイズ除去と平滑化を行う。ライダーによるセンシングでもノイズがあることもあり、また認識処理上、除去した方がすっきりするデータもある。

 特徴抽出とキーポイント抽出は、位置合わせや物体照合のために行う処理である。ポイントクラウドといえども、3D形状を再構成して、その3Dデータで位置合わせや物体照合をするわけではない。画像処理と同様に、特徴を計算してキーポイントに変換するのである。位置合わせは物体照合は、キーポイントで行う。そのため、特徴抽出を行うため、先ずはポイントの法線を計算する。そして、その法線をベクトルとして扱い、ポイントは座標とベクトルを持つものとしている。

 ベクトル化すると、同じ向きかどうかが計算できるので便利である。画像の微分値や微分の方向に相当する。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月17日 (月)

ライダー(6)

 PCLが始まったのは2010年である。ROSもPCLもBSDライセンスによるフリーソフトウエアなので、誰でもフリーで利用可能である。

 BSDライセンスとは、無保証であることの明記と、著作権およびライセンス条文の表示を再頒布の条件とするライセンスである。この条件さえ満たせば、ソースコードを複製・改変して作成したオブジェクトコードを、ソースコード未公開で頒布しても良い。

 PCLの基本機能は、フィルター、特徴抽出、キーポイント検出、位置合わせ、kdツリー、オクトツリー、分割、物体照合、面の再構成、距離画像生成、可視化等である。ロボット走行やロボット操作に必要な外観認識処理が全て含まれており、I/Oとしてサポートしているライダーを使えば、誰もが容易に外観認識を扱えることができるようになっている。そのため、ライダーベースによる自動運転に使えることは間違いない。

 PCLがサポートしているライダーのうち、自動走行に使えるものはベロダイン社製のものである。自動運転グーグルで使用していたライダーが、ベロダインのものである。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月16日 (日)

ライダー(5)

 ライダーが注目され始めたのは、アーバンチャレンジやロボットOS(ROS)の動向も大いに影響している。アーバンチャレンジやROSでライダーが多用されていたからである。

 アーバンチャレンジは、2004年に始まったアメリカ国防高等研究計画局(DARPA)のグランドチャレンジが2005年にも開催され、次の大会が2007年に開催されてアーバンチャレンジとなった。ROSが始まったのも2007年である。

 ROSはスタンフォード大学が始め、スタンフォード大学はグランドチャレンジやアーバンチャレンジに出場していた。彼らが使うメインの環境センサはライダーであり、ライダーによる実空間の認識が主流になったのである。完全自動運転を前提にしたロボット走行では、走行環境を走行する地面も含めて、すべて3Dセンシングする必要がある。それが可能なセンサーは、ライダーが最も適している。

 ROSではライダーで得たポイントクラウドから走行環境を認識する機能がサポートされている。そして、ROSからポイントクラウドの処理を特化したポイントクラウドライブラリーPCLが生まれた。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月15日 (土)

ライダー(4)

 ライダーが求められる理由は、各種認識対象が検出されるだけではない。空間解像度が電波レーダより、はるかに良いからである。

 電波レーダも環境中の物体を識別するため、複数のアンテナが設けられている。しかし、せいぜい10個程のアンテナしか設けられない。

 この複数のアンテナでフェーズド・アレイとし、それぞれのアンテナの受信強度から反射対象の方位角を計算している。そのため、くっきりとした対象物体の位置がわかってはいないのである。ところが、ライダーは非常に細く絞ったビームで空間を捜査するため、そのビームからの反射を各方向に散らばった距離情報を持つ点群データとして得ることができる。点群のことをポイント・クラウドと呼び、3次元空間の各種物体はポイント・クラウドで表現することができるのである。

 ポイント・クラウドは、画像並みの解像度を持つレベルが可能である。ポイント・クラウドで表現できる物体は、ほぼ人間が認識している物体形状と同じものである。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月14日 (金)

ライダー(3)

 自動運転になって、なぜライダーが必要になったのだろうか。運転支援システム時代のセンサーから考えてみよう。

 運転支援システムは、ドライバーの不注意をサポートすることが基本である。不注意が原因で、事故の件数も最も多いものが追突事故である。

 追突事故の検出対象は、前方走行車である。つまり、前方走行車との車間距離が計測できることが、運転支援システム時代には最重要項目だったといえる。前方走行車が認識でき、車間距離が計測でき、追跡できるようになると、追従走行も可能となる。すると、車間距離制御型クルーズコントロール(ACC)が可能となる。前方走行車の認識に限れば、レーザレーダよりも電波レーダの方が性能が良かった。電波レーダの方がレーザレーダより測距離が長く、FMCW方式では1回の計測で相対速度も検出できるため、ACC制御には都合が良い。そして、カメラで走行車線が認識できれば、ステアリング制御が可能となりレーンキーピングアシストが可能となった。すると、自動運転のレベル2が見えて来る。

 これをレベル3まで進化させようとすると、電波レーダでは難しくなる。なぜなら、レベル3はシステム側が環境認識しなくてはならなくなり、自動車だけでなく、歩行者、自転車、バイクからガードレール、電柱等も検出対象となり、主に金属に反応する電波レーダでは対応が難しくなった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月13日 (木)

ライダー(2)

 自動運転が注目されるまで、運転支援システムの主要センサーは電波レーダとカメラだった。自動運転が視野に入ると、これにライダーが追加されることになった。

 つまり、今や自動運転の三種の神器は、電波レーダ、カメラ、ライダーといえる。これまで電波レーダとカメラしか量産していなかった大手電装メーカーも、続々とライダー量産の名乗りを上げ始めた。

 大手電装メーカーとは、ドイツのボッシュ、コンチネンタル、フランスのトムソン、日本のデンソーである。ボッシュが最王手で、ライダーを量産する方針を固めている。2017年2月、3Dライダー技術を手掛けるアメリカのベンチャー、テトラビュー社に1000万ドルを出資している。ボッシュはテトラビューの技術を取り入れ、同社独自のライダーを開発すると見られている。ボッシュが目指すライダーを使った自動運転用センサーは、ライダーのみではなく環境認識もセットになると思われる。同じドイツのコンチネンタルは、2020年の量産を発表している。

 先行しているのはトムソンで、既にイベオ社のライダー、スカラの量産を始めている。デンソーもライダーの量産を検討していることは間違いない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月12日 (水)

ライダー(1)

 今日から、自動車用ライダーの最新状況をまとめる。現在のライダーに使用されているレーザ光の波長は、シリコンダイオードレーザを使用するため近赤外の905ナノメートルが主流である。ところが、目に対する安全性から送信パワーを制限する必要があり、200mの検出距離は難しい。

 これに対し、以前紹介したアメリカのベンチャー企業ルミナーテクノロジーズ社は、1550ナノメートルのレーザ光を使って、200mの検出距離を達成している。1550ナノのレーザは905ナノタイプに対し、40倍ものパワーで送信可能なのである。

 905ナノの光は人間の目には見えないものの、網膜で吸収されてしまう。そのため、レーザ光の送信出力が規制されている。角膜を通過し、網膜で吸収される光の最大波長は1400ナノである。したがって、1550ナノは目に対し安全ということになる。そのため、1550ナノのレーザ出力を上げて、距離を稼ぐことが可能なのである。また、波長が長くなれば、霧に対しても強くなり、一石二鳥といえる。欠点はコストである。1550ナノではシリコンに吸収されず、ガリウムヒ素を使わなくれはならない。ガリウムヒ素はシリコンより高価なのである。

 ルミナーテクノロジーズはコストを安くするため、モーターで駆動するミラーでファンビームを形成する方式を採用している。また、当面はコストよりも性能が重要だと考えているようだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月11日 (火)

車両運動力学(11)

 ステア特性とスタビリティファクタの関係を見るため、R/R0を考える。R/R0は1+AV^2となるため、横軸にV^2、縦軸にR/R0を取ったグラフにおいて、A>0のときV^2=0で1から単調増加する直線、A =0のときR/R0=1の直線、A <0のときR/R0=1から単調減少する直線となる。

 A>0はアンダーステア、A =0はニュートラルステア、A <0はオーバーステアを表し、オーバーステア時は速度Vcで旋回半径が0となる。この速度Vcを臨界速度と呼び、次式で表される。

Vc=√(-1/A)                         (21)

 ヨーレートと車速、スリップ角と車速の関係は、(14)式、(15)式を計算するとわかる。実際に計算してみると,オーバーステア特性では、ある速度でヨーレート、スリップ横とも発散する。すなわち、オーバーステア特性では定常円旋回ができないことを表し、このときの速度が(21)式の臨界速度である。ニュートラルステア特性では、車速の増加とともに線形的にヨーレートが増加し,スリップ角は減少する。アンダーステア特性では、ある車速でヨーレートは最大値をとり、それ以上の速度で徐々に減少する。スリップ角は車速の増加で減少する.(14)式でVを∞とすると、δlfKf/(lfkf – lrkr)に収束する。アンダーステア特性では、lfkf – lrkr<0なので、これはスリップ角が負の一定値に収束することを意味する。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月10日 (月)

車両運動力学(10)

 一般的な自動車では、4輪同じタイヤを履くため、前後輪のコーナリングパワーは同じである。すると、スタビリティファクタAの符号は、重心位置だけで決まるといえる。

 前エンジン前輪駆動のFFでは重心位置が車両前方に偏り、lf < lr となってAの符号は正となる。よって、FFはアンダーステアとなり、後エンジン後輪駆動のRRではオーバーステアになる。

 速度が非常に遅いときは、V^2=0とみなせるので、このときのスリップ角β0、ヨーレートr0、旋回半径R0は(14)式、(15)式、(16)式を変形して次のようになる。

β=β0 =δlr/l                      (18)
r= r0 =δV/l                       (19)
R= R0 = l/δ                       (20)

 この状態は、極低速時の旋回と呼ばれ、スリップ角が0なので横力を発生せず、アッカーマンセンターを中心に旋回していることを表す。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月 9日 (日)

車両運動力学(9)

 ここで、定常円旋回時の回転半径をRとする。すると、R=V/lであるから,(12)式に代入すると、

R=(1+AV^2)l/δ                                                 (17)

となる。

 この式からわかることは、A>0であれば、速度Vが増加すると回転半径Rが増大するということである。逆に、A<0であれば、速度の増加と共に回転半径Rが減少することがわかる。

 すなわち,舵角一定の定常円旋回で、車両を加速させたときの旋回半径の変化はAの値だけで決まる。そのため、Aをスタビリティファクタ(stability factor)と呼ぶ。そして、Aの値が正の車両をアンダーステア、Aの値がゼロの車両をニュートラルステア、Aの値が負の車両をオーバーステアとすることができる。スタビリティファクタAの符号は(16)式から、lfKf - lrKrで決まることがわかる。すなわち、前述の通り、前輪のコーナリングパワーと後輪のコーナリングパワーの強さ、そして重心位置がステア特性に大きく関与するといえる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月 8日 (土)

車両運動力学(8)

 (11)式、(12)式の未知数はβとrだけだった。2つの方程式で未知数が2つなので、lほホイールベース長として、βとrは次のように解くことができる。

β=δ(lr/l)(1-V^2(m/2l)(lf/lrKr)/(1+AV^2)         (14)
r=δ(V/l)(1/(1+AV^2)                             (15)

ただし、Aを次式とする。

A=-(m/(2l^2)(lfKf-lrKr)/KfKr                      (16)

 スリップ角βとヨーレートrを表す(14)式、(15)式は,前輪の操舵角δが全体に掛かる形となり、直進状態のδ=0ではβ=r=0となる。そして、前輪をある角度δで操舵すれば、その角度δに応じてスリップ角β、ヨーレートrが決まる。両式中に速度V項があるので、一定速度の一定舵角ではβとrが一意に決まり、これは車両の運動状態としては、一定速度、一定舵角での円旋回を表す。この円旋回は定常円旋回である。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月 7日 (金)

車両運動力学(7)

 さて、ここでコーナリングフォースを生むタイヤの特性を見てみよう。タイヤの接地面が唯一の車両と地面との接点であり、タイヤ特性は自動車の「走る,曲がる,止まる」三大性能のすべてに大きくかかわる。

 スリップ角が通常4°までは、スリップ角とコーナリングフォースは線形であり、それ以上にスリップ角が増加すると非線形領域となってコーナリングフォースの増加率は減少する。スリップ角が10°程から限界領域となり,それ以上は飽和するか減少傾向となる。

 コーナリングフォースは、タイヤの輪荷重が増えるほど高くなる。すなわち、タイヤの路面に対する摩擦力が増大するほどコーナリングフォースも増大する。しかし。それは摩擦力の範囲内に限られる。タイヤの摩擦力は制動や駆動というタイヤ前後力Fxにも使われる。そこで、タイヤのコーナリングフォースも含めた横方向の力をFy、タイヤ設置荷重をFz、路面の摩擦係数をμとすると、つぎの制約が存在する。

√(Fx^2+Fy^2) ≦ μFz                              (13)

 これは、タイヤ前後力Fxとタイヤ横力Fyは、タイヤの最大摩擦力を表す半径μFz中にしか存在できないことを表している。つまり、駆動力がかかっていないときはコーナリングフォースにタイやの摩擦力を最大に使える。逆に、加減速時はコーナリングフォースが低下することになる。例えば,氷上路でブレーキをかけタイヤがロックしてスリップした状態ではタイヤの横力が発生しないことになり、この状態でステアリングホイールを操舵しても車両をコントロールすることはできない。

 ブレーキ制御のアンチロック・ブレーキング・システムABSでタイヤロックを防止するのは、ブレーキング時にもステアリングで車両をコントロールするためである。また、同様に発進時のホイールスピンを防ぐトラクション・コントロール・システムTRCは、ぬかるみ路から発進できるようにするためだけでなく、発進時のステアリングコントロールを確保するためでもある。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月 6日 (木)

車両運動力学(6)

 次に、(6)式を解ける形にするため、横力のコーナリングパワーを用いた表現を考える。スリップ角は前後のタイヤで異なるため,前輪のスリップ角をβf,後輪をβrとする。

 そして、前後輪のコーナリングパワーをKf,Krとすると,前後のタイヤの横力は次式となる。

Yf=-Kfβf                                          (7)
Yr=-Krβr                                         (8)

 前輪の操舵角をδとすると、βf、βrは次式で近似することができる。ただし、重心から前輪までの距離をlf、重心から後輪までの距離をlrとする。

βf=β+(lf/V)r-δ                               (9)
βr=β-(lr/V)r                                   (10)

 これらの式を(6・14)式,(6・12)式に代入すると次式が得られる。

mV(β(d/dt)+r)=-Kf(β+(lf/V)r-δ)-Kr(β-(lr/V)r)  (11)
Ir(d/dt)=lfKf(β+(lf/V)r-δ)+lrKr(β-(lr/V)r)           (12)

 これらの式は、スリップ角βと角速度rだけが未知数の線形連立常微分方程式となり、車両の運動特性が解析可能なことを表す。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月 5日 (水)

車両運動力学(5)

 これらの式は、車両運動を横方向の並進運動と旋回方向の回転運動の2自由度だけに簡略化したものである。すなわち、(1)式が並進運動、(2)式が回転運動の方程式である。

 ここで、左右のタイヤ特性が等しく、左右輪の横力が等しいとみなす。すると、さらにこれらの式が簡略化できる。

 つまり、車両モデルが前後2つのタイヤだけのモデルとなる。そのため、この車両モデルは2輪モデルと呼ばれる。左右のタイヤの横力は等しくなるため、Yf1=Yf2=Yf/2、Yr1=Yr2=Yr/2とおいて、(1)、(2)式は次式となる。

m(v(d/dt)+ur)=Yf+Yr                   (3)
Ir(d/dt)=lfYf+lrYr                           (4)

 実際のスリップ角βは4°程度までなので、コーナリングパワーは線形となる。βが小さいため、uはVとほぼ等しいとみなし、vを表すVsinβをVβと近似する。すると、vの時間微分は次式となる。

v(d/dt) =Vβ(d/dt)                                     (5)

すなわち、(3)式はスリップ角βを用いて表現することが可能となり、次式となる。

mV(β(d/dt)̇+r)=Yf+Yr                                 (6)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月 4日 (火)

車両運動力学(4)

 以上で、アンダーステアやオーバーステアがなぜ起きるかがわかった。これからは、これらコーナリング特性をモデリングすることを考える。

 モデリングするため、コーナリング中の車両運動方程式を検討しよう。簡単にするため、車両を一つの剛体とみなし、コーナリング中のロールを無視する。

 すると、定常円旋回中には、次の2つの運動方程式が成り立つ。

・車両質量×横向き加速度=横向き外力
・慣性モーメントI×角加速度=外力

 ここで,車両質量をm,進行方向の速度Vの車両縦速度となるx成分をv,車両横速度y成分をu,rを車両重心回りの回転角速度(ヨーレート)とし,車両重心から前輪までの距離をlf,後輪までの距離をlr,前輪左右輪の横力をYf1,Yf2,後輪左右輪の横力をYr1,Yr2,とすると,これら運動方程式は次のように表される。

m(v(d/dt)̇+ur)=Yf1+Yf2+Yr1+Yr2       (1)
Ir(d/dt)̇=lf(Yf1+Yf2) +lr(Yr1+Yr2)            (2)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月 3日 (月)

車両運動力学(3)

 定常円旋回中に操舵角を保ったまま加速し、旋回半径が大きくなる特性をアンダーステアという。旋回半径が変わらなければニュートラルステア、旋回半径が小さくなるものがオーバーステアである。

 なぜ、このような旋回特性の違いが生じるかを考えよう。これには、前後輪のコーナリングフォースが関係している。

 コーナリングフォースはスリップ角にほぼ比例する。この比例定数をコーナリングパワーという。4輪のコーナリングパワーが釣り合う点を、ニュートラル・ステア・ポイントNSPという。例えば、4輪共同じタイヤを装着しておれば、4輪のコーナリングパワーは同じなので、NSPは車両中心のホイールベースのちょうど真中の位置になる。一方、旋回による遠心力は、車両の重心に発生する。FF車では車両前方の方が重いため、重心位置はNSPよりも前方に位置する。車両が加速すると、重心とNSPまでの距離と遠心力とが、旋回する向きとは逆向きのモーメントとして働き、その結果旋回半径が大きくなりアンダーステアになる。重心位置とNSPの位置が同じだと、旋回半径は変わらずニュートラルステアとなる。重心位置がNSPよりも後方になると、旋回半径は小さくなりオーバーステアになる。

 アンダーステアの場合は、前輪の操舵角を増してスリップ角を増やし、前輪のコーナリングフォースを増大させる必要がある。オーバーステアの場合は、逆に操舵角を減少させ、前輪のコーナリングフォースを減少させる必要がある。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月 2日 (日)

車両運動力学(2)

 前輪タイヤにスリップ角が生じ、コーナリングフォースと横力が発生することがわかった。スリップ角とコーナリングフォースは前輪だけでなく、後輪にも発生する。

 後輪タイヤは向きを変えることはなく、常に車両の前後方向に回転している。したがって、車両が旋回すれば必ず後輪タイヤにはスリップ角が生じる。

 一定の速度を保った状態で前後輪に発生したコーナリングフォースと、4輪に働く遠心力がそれぞれバランスして釣り合うと、車両が一定の半径で弧を描いて曲がる。これを定常円旋回という。定常円旋回とは、前輪、後輪の4輪のコーナリングフォースの総和が、遠心力と釣り合っている状態である。すなわち、前輪に発生したコーナリングフォースは、車両の重心点に対して内側に回転するZ軸まわりに自転させる力(ヨーモーメント)として作用する。よって、重心点を挟んだ後輪は外側に回転することになり、その結果、後輪にもスリップ角が付きコーナリングフォースが発生するともいえる。そして、前後輪のコーナリングフォースは逆向きの力となるため、これらがバランスして釣り合った時点でヨーモーメントは消滅する。そのため、一定の半径を持つ円周にそって公転する定常円旋回になるのである。

 次に、定常円旋回の状態で操舵角を保ったまま、加速するとどのような旋回特性を示すかが重要になる。この特性には、加速しても旋回半径が大きくなる特性、旋回半径が変わらない特性、そして、旋回半径が小さくなる特性の3特性がある。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月 1日 (土)

車両運動力学(1)

 しばらくの間、以前にも掲載した車両運動力学を解説する。車両運動力学は、物理、一般力学、機械力学、振動工学、制御工学を前提とするため、自動車に関わる機械系の学生の専門課程にちょうど良い内容となる。

 車両運動力学を理解して、車両運動を数式でモデリングできるようになると,実際の開発以前に運動性能を確認できるようになる。すなわち、シミュレーションによって車両運動に必要な各種パラメータが調整できるようになり、狙い通りの設計が可能になる。

 車両運動力学で最も重要なものは、車両旋回時のコーナリング運動である。車両を旋回させるとき、ステアリングで前輪を操作し、前輪タイヤの向きを進行方向から曲がりたい方向に変える。遠心力を無視できる低速では、前輪が回転する方向がほぼ車両の旋回方向となる。ところが、車速があがり旋回時に遠心力が発生する状況になると、前輪タイヤは回転方向に転がるだけでなく、車両の進行方向に押し出されるためタイヤの接地面が路面との摩擦で捻じられて接地面にたわみを生じる。タイヤは弾力があるため、捻じれを元に戻すがまた捻じられることになり、連続してこれを繰り返すことになる。その結果、タイヤの進行方向は、タイヤの回転方向に対して外側にずれて行く。このときのずれ角を、スリップ角と呼ぶ。

 タイヤが接地面で捻じられたことにより生み出された弾性力を、タイヤの進行方向に対して直角な方向をコーナリングフォースと呼び、タイヤの回転方向に対し直角な方向を横力と呼ぶ。コーナリングフォースと横力は、スリップ角分だけ方向が異ることになる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2017年6月 | トップページ | 2017年8月 »