« 車両運動力学(6) | トップページ | 車両運動力学(8) »

2017年7月 7日 (金)

車両運動力学(7)

 さて、ここでコーナリングフォースを生むタイヤの特性を見てみよう。タイヤの接地面が唯一の車両と地面との接点であり、タイヤ特性は自動車の「走る,曲がる,止まる」三大性能のすべてに大きくかかわる。

 スリップ角が通常4°までは、スリップ角とコーナリングフォースは線形であり、それ以上にスリップ角が増加すると非線形領域となってコーナリングフォースの増加率は減少する。スリップ角が10°程から限界領域となり,それ以上は飽和するか減少傾向となる。

 コーナリングフォースは、タイヤの輪荷重が増えるほど高くなる。すなわち、タイヤの路面に対する摩擦力が増大するほどコーナリングフォースも増大する。しかし。それは摩擦力の範囲内に限られる。タイヤの摩擦力は制動や駆動というタイヤ前後力Fxにも使われる。そこで、タイヤのコーナリングフォースも含めた横方向の力をFy、タイヤ設置荷重をFz、路面の摩擦係数をμとすると、つぎの制約が存在する。

√(Fx^2+Fy^2) ≦ μFz                              (13)

 これは、タイヤ前後力Fxとタイヤ横力Fyは、タイヤの最大摩擦力を表す半径μFz中にしか存在できないことを表している。つまり、駆動力がかかっていないときはコーナリングフォースにタイやの摩擦力を最大に使える。逆に、加減速時はコーナリングフォースが低下することになる。例えば,氷上路でブレーキをかけタイヤがロックしてスリップした状態ではタイヤの横力が発生しないことになり、この状態でステアリングホイールを操舵しても車両をコントロールすることはできない。

 ブレーキ制御のアンチロック・ブレーキング・システムABSでタイヤロックを防止するのは、ブレーキング時にもステアリングで車両をコントロールするためである。また、同様に発進時のホイールスピンを防ぐトラクション・コントロール・システムTRCは、ぬかるみ路から発進できるようにするためだけでなく、発進時のステアリングコントロールを確保するためでもある。

|

« 車両運動力学(6) | トップページ | 車両運動力学(8) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/16253/71064774

この記事へのトラックバック一覧です: 車両運動力学(7):

« 車両運動力学(6) | トップページ | 車両運動力学(8) »