« 2018年5月 | トップページ | 2018年7月 »

2018年6月30日 (土)

第二外国語(15)

 最後に取り上げる言語はベンガル語。バングラディシュの国語である。

 インドの22言語の内の1言語でもあり、西ベンガル州で使われている。話者数は2億人を超え、世界10位のメジャー言語となっている。

 ヒンディーとは類似点があり、ヒンディーのはい/いいえのハーン/ナヒーンに対し、ベンガル語ではハー/ナーである。ヒンディーのありがとう/ダンニャワードに対し、ベンガル語ではドンノバードという。しかし、こんにちはになるとヒンディーのナマステに対し、ベンガル語では少々複雑になり、イスラム教徒に対して自分から言うときは、アッサラーム・アライクム、相手に返すときは、アライクム・アッサラームといい、イスラム教徒以外には、ノモシュカールという。

 ベンガル語の半分は、サンスクリット語由来である。サンスクリット語は梵語と呼ばれ、仏教関連の用語として今でも使われている。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月29日 (金)

第二外国語(14)

 次はヒンズー語。正式には、ヒンディーという。

 ヒンディーは北インドの言葉であり、インドの公用語であるため話者が多く世界4位となっている。しかし、インド人全員がヒンディーをしゃべれる訳ではない。

 こんにちはは、ナマステという。これは聞いたことがあるかも知れない。ありがとうは、英語が導入されており、タンキューで良い。ヒンディーで言うなら、ダンニャワード、または、シュクリヤーという。シュクリヤーはアラビア語のシュクランに似ている。実は、ヒンディーはアラビア語の影響も受けているといわれているのである。はい/いいえは、ハーン/ナヒーンであり、アラビア語のはいがナームなので、ナの音が聞こえても逆の意味になることに注意しよう。

 ヒンディーから日本語に取り入れられたものも結構ある。例えば、アバター、シャンプー、バンガロー、パジャマ、ヨガはヒンディー由来である。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月28日 (木)

第二外国語(13)

 それでは、世界メジャー言語ということでアラビア語。モロッコの留学生も本学にはいるので、知っていた方が良い。

 アラビア語は、アラビア半島や北アフリカ諸国等の27カ国で公用語として使われている。国連の公用語、英語、フランス語、ロシア語、中国語、スペイン語と共に、アラビア語も公用語の一つである。

 われわれが日常に使う言葉にもアラビア語由来のものが多い、特に化学分野には多く存在する。中世ヨーロッパで、アラビア圏の科学を積極的に取り入れたためといわれている。アルカリ、アルコール、コットン、ガーゼ、カンフル、ギプスから、アベレージ、アルゴリズム、ゼロ、リスクはアラビア語なのである。他にも、コーヒー、シロップ、ソーダ、ソファー、ラケット、トタン等、身の回りにアラビア語が溢れている。

 はい/いいえは、ナーム/ラーといい、覚えなければ想像もできない。ありがとう/どういたしまして/すみませんは、シュクラン/アフワン/アルマーベラくらいは覚えておこう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月27日 (水)

第二外国語(12)

 これまでいくつかの外国語を、英語に対する第二外国語という立場で紹介してきた。主には研究室に滞在している留学生の母国語を取り上げた。

 世界には数々の言語が存在する。国際SILという少数言語を研究する組織が発行しているエスノーグなる出版物によれば、6812言語もあることになっている。

 日本が国として承認している国数が196に対し、6812はあまりにも多い。しかし、メジャーな母国語、公用語になるとぐっと減って数えられるほどになる。世界の母国語または公用語として第二言語で使っている数で順位付けると、次のようになる。

1.中国語
2.英語
3.スペイン語
4.ヒンズー語
5.アラビア語
6.マレーシア語
7.ロシア語
8.フランス語
9.ポルトガル語
10.ベンガル語

 中国語は、人口に比例して1位となる。英語は、実は母国語話者数でいくと順位を大きく下げる。しかし、第二言語で使用する割合が多く、2位になるのである。母国語話者数だでけ数えると、スペイン語が2位になる。そして、意外と知らないのが、ヒンズー語、アラビア語、ベンガル語が世界でメジャーな言語である点だ。第二外国語の締めくくりとして、これら3つの言語をこれから勉強してみよう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月26日 (火)

第二外国語(11)

 フランス語やポルトガル語の源流になっているのは、ラテン語である。どんな言語か見てみよう。

 ラテン語はローマ帝国の公用語であり、ローマ帝国崩壊後もヨーロッパに強い影響を与えた。そして、イタリア語、ルーマニア語、フランス語・スペイン語、ポルトガル語等のロマンス諸語といわれる言語に進化していった。

 ラテン語はヨーロッパの古語ではあるものの、今でもバチカンの公用語になっている。また、学術用語によく登場しているのである。例えば、くいちがいを表現するアドホックはラテン語であり、論文に登場するお馴染みの用語である。日常用語でも、アドリブやアリバイはラテン語である。また、ミサイルやファクシミリはラテン語由来の言葉である。プリウスは先駆けという意味のラテン語であり、ニベアは雪のように白いという意味で商品名に使われたりしている。

 こんにちは/こんばんは/おやすみは、ボナムディエム(bonum diem)/ボヌムヴェスペルム(bonum vesperum)/ボヌムノクテム(bonam noctem)という。フランス語やポルトガル語に似ていることがよくわかる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月25日 (月)

第二外国語(10)

 フランス語を取り上げたのは、モロッコの留学生がフランス語が得意だからである。彼らの英語はフランス語訛りが入っているように聞こえるほどだ。

 フランス語の次は、ポルトガル語。ブラジルからの留学生が当研究室にもいるからである。

 ポルトガル語もラテン語由来で、フランス語系といえなくもない。より近いのがスペイン語である。ポルトガル語が母国語だと、スペイン語を話すのは難しくても聞けばわかるそうだ。スペイン語もラテン語系である。ポルトガル語は英語とはあまり似ていないので、初めから覚えなくてはならない。おはよう/こんにちは/こんばんはは、ボンヂーア(Bom dia)/ ボアタルヂ(Boa tarde)/ボアノイチ(Boa noite)という。フランス語の雰囲気があるのがわかる。また、夜のノイチは英語のナイトに似ているところなどは、同じヨーロッパ語という感じがする。

 ちなみに、スペイン語の挨拶おはよう/こんにちは/こんばんはは、ブエノスディアス(Buenos días)/ブエナスタルデス(Buenas tardes)/ブエナスノーチェス(Buenas noches)という。確かに似ているが、日本人がポルトガル語を習ってもスペイン語はわからいだろう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月24日 (日)

第二外国語(9)

 ドイツ語の次は、フランス語。英語の次にメジャーなヨーロッパ語である。

 英語はフランス語の影響を受けているため、意外とフランス語と英語に似ているところがある。フランス語はラテン語由来、英語はゲルマン語由来なので違うところの方が多い。

 例えば、こんにちは、ボンジュール(Bonjour)では英語との共通点は感じられない。全く新しい言語として覚えるしかない。はい、いいえのはいはウィ(Oui)、いいえはノン(Non)となると、多少の共通点はありそうだ。そして、似た単語が多いのである。同じ/違うの英語はsame/differentに対し、フランス語ではmeme/different、コンセプトに至っては英語・フランス語ともconceptである。

 英語とフランス語を同時に学ぶと、相乗効果で英語の上達が早いともいわれている。英語の成り立ちに多大な影響を与えたフランス語を勉強してみてはどうだろうか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月23日 (土)

第二外国語(8)

 アジア圏から次はヨーロッパ圏の言語を勉強しよう。先ずは、ドイツ語。

 当研究室にもドイツ人学生がいるし、昔は第二外国語といえばドイツ語が多かった。英語との類似点が多く、英語より発音し易いのでとっつき易い。

 ヨーロッパ圏の言語は、ラテン語系(フランス語、イタリア語、スペイン語)とゲルマン語系(ドイツ語、オランダ語、英語)に大別できる。英語はゲルマン語系のため、ドイツ語との類似点が多いといえる。英語は、ドイツ語にフランス語を取り入れて出来上がったといわれている。ドイツ語で先ず驚くことは、名詞に男性と女性があることである。雰囲気では区別できず、ただ覚えるしかない。その上、格変化が厳格で、英文法が簡単に思える。逆に、独特な発音のウムライト等を除けば、発音が単語を読んだままで良く英語よりも容易である。

 ドイツ語を学ぶと、英語が簡単に思えてくる。厳格なドイツ語が、フランス語の影響を受けて綴りこそ複雑になったものの、文法が容易になったように思える。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月22日 (金)

第二外国語(7)

 アジア圏の言葉として、最後に中国語。日本語、韓国語、ベトナム語の源流である。

 日本語、韓国語、ベトナム語の中で、現代でも漢字を使うのは日本語だけである。日本で使う漢字は中国では繁体と呼ばれ、中国の古語になるのが面白い。

 当の中国は漢字を簡体へと進化させ、日本人には不思議な感じがする略し方をしている。中学から高校にかけて、われわれは漢文を習った。あの漢文は中国人にも難しいのである。なぜなら、中国の古文だからである。われわれが枕草子を古文の時間に教えてもらわないと意味がわからなかったように、現代中国人は漢文(漢詩)を教えてもらわないと意味がわからないのである。だから、われわれは漢字を使っているから中国語がすぐわかるだろうとは思わず、最初からきちんと学ばないと使えるようにならない。

 こんにちはニーハオ(你好)、おはようザンツァオハオ(早上好)、さよならツァイツェン(再見)、ありがとうシェイシェイ(謝謝)等、漢字が読めても発音は全く別物である。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月21日 (木)

第二外国語(6)

 次はベトナム語。毎年、2月の授業でお馴染みの言語である。

 現代では漢字を使わないベトナム・アルファベットを使うためわかりにくものの、ベトナム語も韓国語同様、漢字の読み方が基本となっている。日本も含めて、中国周辺国語の特徴といえる。

 いつでも使える挨拶のシン・チャオは、元は漢字で「謝恩」である。他にもわかり易い例として国名を挙げると、チュン・クオックは「中国」、ハン・クオックは「韓国」から来ているのである。国(コク)はクォックと読むので、クオック・ヤーは「国家」、クオック・グーは「国語」のことである。

 音だけから入ると、中国語のように声調があって日本人にはとっつきにくい。しかし、漢字読みから入るとハードルは低くなる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月20日 (水)

第二外国語(5)

 次は韓国語。お隣の国の言語である。

 韓国語といえばハングル文字で、意外と簡単に読める。母音部分と子音部分の組み合わせ文字なので、20個ほどを覚えれば後は組み合わせで読むことができる。

 韓国語は漢字から出発した言語なので、日本語に近い感じがする。例えば、こんにちはは「アンニョ・ハセヨ」と言う。このアンニョは、漢字の安寧を読んだ音に由来している。つまり、アンニョ・ハセヨは安寧ですか?という意味である。それを挨拶に使っているのである。漢字を使うのは人名、地名だけで、他はすべてハングル文字で書くようになったのでわかりにくいだけなのだ。元の漢字で書けば、ほとんど意味がわかるのではないかと思う。

 買い物で値段交渉するとき、カッカジュセヨ、とか、サゲヘジュセヨと言う。カッカは価格、ジュセヨのジュは受で、サゲは下げである。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月19日 (火)

第二外国語(4)

 次はタイ語。留学生も多いし、是非実践して欲しい。

 表記が独特のタイ文字なので、カタカナ表記で紹介する。タイ文字は全42字で、五十音に相当する。

 先ずは、男性語と女性語があることが面白い。~です、に相当するものが男女で違うのである。男性の場合はクラップ、女性の場合はカーと言う。プの音はほとんど聞こえないので、クラッ、と言って問題なさそうである。挨拶は、朝昼夜の区別はなく、いつでもサワディー・クラッ/カーと言う。更に、さようならも同じである。ありがとうは、コップクン・クラッ/カー、どういたしましては、マイペンライ・クラッ/カー、ごめんなさいは、コートー・クラッ/カーと言う。

 タイは微笑みの国と言われ、挨拶は両手を合わせて微笑みながら行う。挨拶するだけで気持ち良くなる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月18日 (月)

第二外国語(3)

 それでは、具体的な第二外国語に進もう。先ずは、マレーシア語から。

 マレーシア語はインドネシア語とほぼ同じで、シンガポールでも使われている。そのため、マレーシア語は4憶近い人口で使われているメジャーな言語である。

 ローマ字で記述し、読み方もほぼ書いた通りなのでとっつきやすい。挨拶は、平安という意味のSelamat(スラマ)に朝の pagi(パギ)で「おはよう」、昼の tengahari(トゥンガハリ)で「こんにちはちは」、夕方の petang(プタン)で夕方の「こんにちは」、夜の malam(マラム)で「こんばんは」となる。スラマ・パギ、スラマ・トゥンガハリ、スラマ・プタン、スラマ・マラムをマレーシアの留学生に使ってみよう。

 「私の名前は~です」はNama(ナマ)saya(サヤ)~.となる。namaは名前、sayaは私のである。修飾順が日本や英語と逆になる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月17日 (日)

第二外国語(2)

 英語以外のいろんな言語を勉強するなら、簡単なフレーズや挨拶から見て行けば良いだろう。それは、挨拶と依頼、感謝の言葉である。

 初めてフランスへ行くときの機内で、たまたま隣合った現地の方と英語で世間話をしていたところ、フランスへ行くならちょっとはフランス語を話せた方が良いと教えてもらった言葉が、シルヴプレとメルシーだった。お願いします、ありがとうである。

 挨拶は言うまでもない。英語なら、プリーズとサンキュウである。日本語なら、これにすみませんを加えるところなものの、欧米圏では謝罪の言葉は二の次なのだろうか。とにかく、挨拶と依頼、感謝の言葉を現地語で言うと、英語だけで通すよりスムーズに行くようになる。それ以来、訪問する国の挨拶と簡単な基本フレーズだけは覚えるようにしている。

 基本フレーズだけなら、短時間で勉強できる。少しでも勉強すれば、その国に対する興味も増してくる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月16日 (土)

第二外国語(1)

 大学では英語の他に、第二外国語を学ぶ。どうして英語以外の言語を勉強するのだろうか。

 昔は、英語論文以外にも、ドイツ語やロシア語で重要な論文があるためだった。最近では、グローバルという見地から、世界の多様性を学ぶための位置付けになっている。

 当研究室でも、現在、マレーシア、タイ、ドイツ、中国、ブラジルの学生と一緒に研究している。モロッコの学生との交流もある。過去には、韓国の学生もいた。また、毎年、春休みにはベトナムで授業している。この海外から来られた学生とは、主に英語でコミュニケーションを取っている。せっかく海外の学生と一緒に研究しているのだから、彼らの現地語をいくつか知っている方が良いだろう。

 ということで、しばらくの間、彼らの現地語を中心に、英語以外の言語の概略を勉強していこう。せめて、彼らの現地語の挨拶くらいは覚えたい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月15日 (金)

大学院へ行く理由(2)

 就職後、大学院に戻って来るのは海外ではよくあることである。日本では少数派のようなので、大学からそのまま大学院に進学する理由を見てみよう。

 進学面接やよく聞くものを挙げるとこのようなものになる。

1.研究を続けたい
2.就職に有利になる
3.研究者になりたい
4.他大学院を受験して学歴を上げたい
5.とりあえず進学

 卒業研究が面白くてそのまま研究を続けたければ、是非続けた方が良い。何をやるにしても、面白いから自発的に進めるのが一番良い。就職に有利というのは、一般的に技術系はその通りである。修士卒の方が、研究開発職に就く割合も高いだろう。中には、企業で鍛えたいので学部卒のみというところがあるものの、特殊な例だろう。研究者になりたいというのは、就職に有利というよりは、大学教員になるとか、研究所への就職ということになると思う。この理由なら、修士から更に博士に進学した方が良い。

 他大学院を受験するというのもよくあることである。学部より大学院の方が入りやすい。注意しないといけないのは、大学院から他大学へ行くと、配属された研究室で新たに人間関係を築くため外様になりがちということである。そして、とりあえず進学というのは、学部4年間で自分探しが不十分と感じ、あと2年延長したいということかも知れない。就職するとなかなかできることではないので、それも良いだろう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月14日 (木)

大学院へ行く理由

 そもそも、どうして大学院へ行った方が良いのだろうか。基本的には、大学へ進学した理由と同じである。

 高度な技術を要する職業に就くため、大学へ進学を希望したのではないだろうか。大学院も同じである。

 僕は学部で大学を卒業し、企業に就職した。そして、学力不足を痛感した。たまたま、就職先に休職して大学院に行ける制度があったため、それを利用して2年間修士の勉強と研究を行った。この2年間で、勉強したかったことを勉強し、研究したかったことを研究した。会社に復帰後、霧が晴れた様な感じで技術開発の仕事を楽しめることができた。やはり、原理がわかってやるのと、よくわからないままするのでは雲泥の差だった。そのまま、もっと深く研究がやりたくなって博士を目指すようになったわけである。

 大学で一番勉強したのは、4年生の卒業研究を行った1年間だった。技術職は1年の勉強だけでは足りないのである。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月13日 (水)

大学院への進学率

 それでは、日本の大学院の進学率はどうなっているのだろうか。詳しく見てみよう。

 文科省の調べによると、大学へは18歳人口の48.8%が進学する。修士は22歳人口の6.0%、博士は24歳人口の1.2%となる。

 国際的に比較すると、修士への進学率は、韓国が日本の2倍、フランス2.5倍、アメリカ3倍、イギリスでは何と5倍以上にもなる。日本は圧倒的に修士への進学率が低いのである。博士になると、修士ほど極端な差が出ない国があるものの、それでも韓国とアメリカは2倍、ドイツとイギリスは3倍もの差が出るのである。更に、日本では博士への進学率が減少傾向にあり、昨日のような結果になっているのが現状である。

 大学院への進学率が、そのまま国の技術力の差になるわけではない。しかし、学術的なイノベーション力に差が出ていることは否めない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月12日 (火)

イノベーション力の低下

 Spectrumの新技術紹介に戻ろうかと思っていたところ、サイトが不調でアクセスできなかった。そこで、日経の新技術関連の紹介から。

 政府発表の2018年版科学技術白書によると、日本のイノベーション力が下がっているらしい。このイノベーション力の指標は、科学技術論文の被引用件数である。

 被引用件数とは、役に立つ論文なら他からの引用が多くなるので、その引用件数を技術力の指標にするものである。10年前には米英独に次いで4位だったものが、9位に落ちたのである。中国に抜かれ、カナダやオーストラリアにも抜かれたのである。これは、若手の研究者が減っているからである。博士課程への進学率は減っており、更に若者の人口そのものも減りつつある。日本は大学院自体の進学率も先進国の中では低く、このままでは研究の地盤沈下は止みそうもない。

 被引用件数を上げるには、少なくとも論文を英語で書く必要がある。先ずは、研究の地盤沈下を抑えるため、論文を英語で書くことから始めよう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月11日 (月)

自動運転(最終回)

 自動運転が高度かしたときの課題の一つにトロッコ問題がある.トロッコ問題とは,分岐点の左には一人が横たわっており,右には5人が横たわっているとき,トロッコはどちらの分岐を選ぶべきかという究極の課題である.自動運転に当てはめれば,急に前方の道路が陥没して左右のどちらかに急旋回しないといけなくなったとき,左右どちらにも人がいて事故を起こさざるを得ない状況である.

 ほとんどの企業は,この様な状況に対応する倫理観を持った自動運転を開発すべきと考えている.しかし,自動運転に求められる倫理観の定義は難しい.単純に犠牲者が少なくなる方を選ぶという単純なもので良いわけではないからである.また,ユーザは、自分の乗る自動運転車は自分の安全を第一にして欲しいと思うかも知れない.左右どちらかしか選べないという課題は非現実的かも知れない,なぜなら,自動車はレールの上を走るのではなく,高度に制御すれば直前にスピンターンして逆走する制御も考えられるからである.自動車はレールのトロッコより,遥かに運動の自由度が多いのである.

 人間を超える人工知能ができるまで,自動運転といってもドライバは常に運転席でオーバーライドできるよう周囲を監視した方が良いかも知れない.倫理感は人間側の問題である.

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月10日 (日)

自動運転(18)

9.5.2 当面の課題
 当面はレベル2または3の自動運転が運用されることになる.その状況では,自動車のシステムとドライバとがいかに共存するかが課題となる.共存がうまくいかなければ,たとえば,自動運転から手動運転の切替時(テイクオーバー)に危険な運転になるといった問題が起こることが考えられる.

 システムがドライバに情報を提供したり、ドライバがシステムに情報を入力するといった,ドライバとシステムとのつながりをHMI(Human Machine Interface)という.適切な共存を実現するためにはいかに適切なHWIを構築するかが鍵となる.HMIの技術としては例えばつぎのような技術が挙げられる.

・車室内カメラシステムでドライバの覚醒度をつねに確認し,テイクオーバーが可能かどうか判断する技術
・予定していた自動運転が終了してテイクオーバーするタイミングを,わかり易く伝える技術
・突発的な理由により自動運転が終了してテイクオーバーしないといけないことを,わかり易く伝える技術 .

 自動車の表示方法や操作方法は,自動車免許を所有するドライバなら世界中のどの車種を利用しても無理なくわかるようになっていなければならない.そのため,上記HMIは各社,各国で開発するのではなく,国際的に規格・標準化しながら進んで行く.

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月 9日 (土)

自動運転(17)

9.5自動運転の課題
9.5.1 大きな課題
 自動運転の技術は着実に進歩している.しかし,実用化するにあたってもっとも重要なことは社会とのコンセンサスの形成と法整備である.社会とのコンセンサスとは,社会が自動運転をどのように理解し,どのように交通手段として受け入れるかを決めることである.例えば,レベル4以上の自動運転では,ドライバ不在で無人運転も可能となる.高速道なら歩行者がいないため,気にならないだろう.しかし,一般道を人前で無人自動車が走行すると,恐怖感を覚える歩行者がいるかも知れない.すなわち,自動運転の正しい理解と社会とのコンセンサスが必要になるのである.

 また,法整備とは,自動運転のための基準整備と事故が発生したときにどのように対処するのかといったことである.自動運転により,人間のドライバが不注意で起こしていた事故はなくなるため,事故件数は激減すると期待されている.しかし,自動運転になっても事故の発生はあり得る.例えば,環境認識センサの想定外の事象に自動運転は対応することは難しく,事故になってしまうこともある.そのようなことに対処するための法整備が必要といえる.

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月 8日 (金)

自動運転(16)

9.4.2.ITSの要素技術
 ITSは車両側とインフラ側の両方に新たな技術が必要である.車両側に必要な新たな技術は,現在位置を特定するためのGNSSと,他車両やインフラと通信するためのDSRC(Dedicated Short Range Communications)であり,自動運転のための現在位置の特定と情報獲得に必須の技術である.

 DSRCとは,ITSのために開発された専用狭域通信である.DSRCでは5.8G[Hz]帯の無線通信以外の産業科学医療用バンドであるISMバンドを用いて,一方向と双方向通信が行える.DSRCを使ったITSサービスとしては,ETC2.0や車車間通信などがある.

 車車間通信とは,車両同士が自分の位置情報や運転情報を他車と交換し合って安全性を高めるシステムで,現在,関係会社各社で研究中である.

 ETC2.0とは,道路沿いに設置されたサービスが準備されているITSスポットで,渋滞情報や規制情報提供から安全運転支援等を受け取ることのできるITSサービスである.首都高速では,急カーブの事前警告や,合流地点の映像,落下物や故障車両等の情報提供を行っている.

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月 7日 (木)

自動運転(15)

9.4.1 ITS概要
 ITSの研究開発は,日米欧の3極が主軸となりグローバルに同期して進められている.そのなかで日本は,アジア・パシフィック地域と連携して研究開発を進めている.ITSは自動車だけでなく,自動車に必要な道路インフラから交通全体を含むため,非常に範囲が広い.

 その中でも,日本のITSの研究開発は以下の9つの分野に注力している.

①ナビゲーションの高度化:VICS等によるナビの高度化
②自動料金収受システム:料金所等のノンストップ化等
③安全運転の支援:ASV等による危険警告・自動運転等
④交通管理の最適化:経路誘導、公共交通優先信号制御
⑤道路管理の効率化:工事情報等の提供、特殊車両管理等
⑥公共交通の支援:公共交通の運行状況の提供等
⑦商用車の効率化:効率的な配車計画の支援等
⑧歩行者等の支援:歩行者等に経路・施設案内の提供等
⑨緊急車両の運行支援:緊急時通報、緊急車両の経路誘導等

 ①VICSとは,Vehicle Information Communication System のことで,道路側で検知した渋滞を含む交通情報をナビゲーションに送って高度化するものである.②自動料金収受システムとは,ETC(Electric Toll Collection)を高速道路のゲートに普及させるものである.最新のETCでは料金収受だけではなく,交通情報も提供している.③安全運転の支援ASVとは,Advanced Safety Vehicle のことで,自動運転や運転支援システムの基礎技術となる.

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月 6日 (水)

自動運転(14)

9.4 インフラ情報提供システム
 車両が環境認識センサで車両周囲を認識し,それて適した縦・横制御を行い,ナビゲーションシステムを利用して目的地まで自律的に自動走行すれば,交通の問題がすべて解決するわけではない.たとえば,見通しの悪い交差点では環境認識センサ自体も他車両を認識できないというような問題は,自動車が相互に連携しなければ解決することは難しい.また,信号機の情報や,時々刻々と変わる道路交通状況等がわかれば,更に効率的な自動運転が可能である.

 このような視点から自動車だけではなく,道路やインフラ側も高度化させるべく,近年発展が著しいエレクトロニクスや通信技術を使って,交通システムの知能化を目指して研究開発が進められているのが,高度道路交通システム(Intelligent Transport Systems:ITS)である.ITSはインフラ情報提供システムの核であり,自動運転を交通システムという観点で考え,車両相互や道路交通インフラとの連携で課題を解決する.

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月 5日 (火)

自動運転(13)

GNSSによる現在位置取得は,トンネル内等の電波が届かないところでは使えないため,そこでは最終の衛星からの電波取得位置から自車の進行方向と進行距離を加えていく.そして,地図データ上の自動車が走行可能な道路上の位置をマップマッチングしながら表示していくことになる.

 地図データの構造は,国際標準となるKIWIフォーマットでつくられている.これはは,図XXに示すように,道路データは道路データフレームの中で,表示クラスごとにまとめてリンク列データレコード列として格納されている.道路形状は2次元の平面形状であるが、高さ方向の情報をリンク列単位で追加することもできる.高さ情報を利用する場合は,まず,道路データリストのオプション情報省略フラグ内の標高情報有無フラグを参照する.次に,標高フラグがあれば,リンク列データレコードのリンク列ヘッダの標高情報の管理ヘッダを経由して高さ情報レコードを見に行く.そして,標高情報サイズと標高情報を参照する.標高情報も反映している地図データでは,目的地まで距離が伸びても平坦路を選択ルートにするか,短距離でも標高差のある道路を通過するかを選択することも可能となる.

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月 4日 (月)

自動運転(12)

 現在位置取得手段のGNSSとは,全地球航法衛星システム(global navigation satellite system)の略語であり,GPS(アメリカ),Galileo(ヨーロッパ),GLONASS(ロシア),準天頂衛星QZSS(日本.計画中)などの各国が打ち上げた測位衛星システムすべてを使用した地上の測位システムのことである.

 GNSSによる測位原理は,複数の衛星が送る送信時刻を受信し,その到着時刻差から現在位置を特定するものである.すなわち,地上の座標をx,y,z,時刻をtとすると,4つの衛星の座標と送信時刻をxi,yi,zi,ti(i=1,2,3,4),光速をcとしたとき,地上の座標は次の連立方程式の解となり,受信機側で求めることが可能となる.

√((x-x1)2+(y-y1)2+(z-z1)2)-c(t-t1)=0                (9・1)
√((x-x2)2+(y-y2)2+(z-z2)2)-c(t-t2)=0                (9・2)
√((x-x3)2+(y-y3)2+(z-z3)2)-c(t-t3)=0                (9・3)
√((x-x4)2+(y-y4)2+(z-z4)2)-c(t-t4)=0                (9・4)

 地上で高さ情報が不要ならxとyだけで良いので連立方程式は3つでよい.つまり,地上で受信可能な衛星が3つあれば平面座標を特定できることになる.

 ところが,都会部の高層ビルが立ち並ぶ場所では,衛星からの送信波がビルに反射して受信機に到達することもある.上記の各々の式はは衛星iと受信機との距離を表し,ビルに反射すると距離精度が劣化することを意味する.したがって,衛星からの送信波が直接届くような場所は位置精度が良く,都会は精度が劣化していた.そのための対策として,現在,日本では常時ほぼ真上から補正信号を送る準天頂衛星が打ち上げられ位置精度の改善が図られている.

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月 3日 (日)

自動運転(11)

9.3 ナビゲーションシステム(Navigation System)

 ドライバが初めての目的地へ運転するときナビゲーションシステムが必要なように,自動運転システムが指定された目的地に移動するときナビゲーションシステムが必要である.自動運転システムは上述のように,環境認識センサと縦・横方向制御の車両制御で,他走行車と適度な車間距離を保ったまま道路に沿って走行可能である.

 更に,分岐路に向けて車線変更等をするためには,事前に現在位置と地図情報が必要である.これらの情報を得るため,自動運転システムもナビゲーションシステムが必要となる.

 ナビゲーションシステムは,現在位置取得手段としてGNSS,デジタル化された地図情報が主な構成要素となる.また,主な機能として,現在位置表示,目的地検索,目的地までのルート生成,目的地までの案内,マップマッチング機能等がある.マップマッチング機能とは,走行中に地図表示上で現在位置を表示するとき,その現在位置は道路上である必要があるため,地図データの道路位置に現在位置をマッチングさせるものである.この機能がないとGNSSの位置誤差のため,道路以外の場所を走行しているように表示することになる.

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月 2日 (土)

自動運転(10)

9.2.4.駐車起動計画
 道路を交通流に乗って走行する以外に,運転支援が必要になる重要な状況が駐車時である.駐車には,車庫入れ駐車と縦列駐車がある.どちらも自動的にステアリングを制御して支援するシステムが実用化されている.

 車庫入れ駐車は,環境認識センサとしてのバックカメラで得た画像を処理することによって駐車枠を認識し,バックでその駐車枠に入るようステアリングを制御する.縦列駐車は,車体バンパーに設定された超音波センサで駐車スペースがあるかどうか判断し,前後の車両に当たらないようステアリングとブレーキを制御する.

 駐車制御は低速で行われるため,前述の縦方向制御や横方向制御のように制御理論を基本とするものではなく,横滑り角は無視したアッカーマン中心で移動する幾何学的な軌道計画が基本となる.

 任意の車両の初期位置から,駐車目標位置への軌道は,車両位置の左右に配置した旋回円と,駐車目標位置の左右に配置した旋回円との間で結んだ両円の接線である.旋回円の組合せは,円が離れた場合,円が重なる場合,円が一致する場合の3通りとなる.自動駐車はこの幾何学的な軌道計画により,車両周辺センサで障害物を避けながら車両を軌道にそって移動させる.

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月 1日 (金)

自動運転(9)

9.2.3.横方向制御
 横方向制御は,道路両端の白線を環境認識センサである車載カメラが認識し,走行中に車線から逸脱しそうになると警報する車線逸脱警報を基本とし,車線からはみ出さない様にステアリングアクチュエータを制御するレーンキープで実用化した.

 道路の認識を,車載カメラによる道路白線の認識に頼っているため,白線が引かれていない道路や,白線が擦れていたり,雪等で隠されると使えなくなる.また,交差点等や複雑な白線が引かれている道路では認識し辛くなるため,自動車専用道路や高速道路での使用を前提としている.操舵制御に必要な制御入力は,車載カメラでの画像処理による認識結果と状態推定フィルタから得られる車両横変位,及びヨー角から演算される.

 横方向制御では,車載カメラで推定された車両横変位と車両ヨー角に基づき操舵制御に必要な制御量を決定する.

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2018年5月 | トップページ | 2018年7月 »