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2018年11月 4日 (日)

車両運動力学(4)

 また,タイヤ前後力に対して直角な横方向の力を横力という.横力は,タイヤと接地面との摩擦により生じる車両の進行方向に対して逆向きのコーナリング抵抗と,コーナリングフォースからできる四角形の対角線の強さになる.タイヤ前後力をFx,横力をFyとすると,コーナリング抵抗(車両の進行方向への逆向きの力)は,

 √(F_x^2+F_y^2 )      (6.1)

と表すことができる.タイヤ前後力と横力の関係は円形となり,タイヤ前後力と横力からなる四角形の対角線は最大摩擦力である.したがって,コーナリングフォースは次式で決まる。

 μFz≥√(F_x^2+F_y^2 )       (6.2)

ここで,μは路面の摩擦係数であり,タイヤの輪荷重が増える(摩擦力が増える)ほどコーナリングフォースが大きくなる.ただし,摩擦力の範囲内に限られる.

 式(6.2)から駆動力がかかっていないときは,コーナリングフォースがタイヤの摩擦力を最大に使え,加減速時はコーナリングフォースが低下することがわかる.たとえば,氷上路でブレーキをかけると,タイヤがロックしてスリップした状態になるが,これは横力が発生せず,コーナリングフォースが効いていないためである.この状態ではステアリングホイールを操舵しても,車両をコントロールできない.このため,タイヤロックを防止するブレーキ制御としてアンチロック・ブレーキング・システムABSがあるが,これは,ブレーキによるタイヤロックを防止することで横力を発生させ,ブレーキング時にもステアリングで車両をコントロールできるようにするしくみである.また,急発進すると,その場でタイヤだけ空転するホイールスピンが起こり,ステアリングで操舵ができないが,これを防ぐ機構としてトラクション・コントロール・システムTRCがある.TRCも,ホイールスピンを防止することで駆動力を発生させるしくみである.TRCはもともとぬかるみ路から発進できるようにするために開発された.

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