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2018年11月 8日 (木)

車両運動力学(8)

 左右のタイヤ特性が等しく,左右輪の横力も等しいとみなすと,Yf1=Yf2=2Yf,Yr1=Yr2=2Yrとなり,式(6・4),(6・5)は次式のようにさらに簡略化できる.つまり,車両を前後2つのタイヤだけのモデルとして考えるわけである.この車両モデルは2輪モデルと呼ばれる.図6・9に示ように,左右のタイヤの横力は等しくなるため,Yf1=Yf2=2Yf,Yr1=Yr2=2Yrとなり,(6・3),(6・4)式は次式となる.

m(v ̇+ur)=2Yf+2Yr                             (6・6)
Ir ̇=2lf Yf+2lrYr                             (6・7)

これは車両を前後2輪としたものであり,の車両モデルは2輪モデルと呼ばれる.

 コーナリングフォースパワーが線形なのは,実際のスリップ角βがは4°程度までなので,コーナリングパワーは線形となる.その程度までであればスリップ角βが小さいため,車両横速度y成分uは進行方向の速度V とほぼ等しいとみなせる.ここでvを表すVsinβをVβと近似する.すると,vの時間微分は次式となる.

v ̇=Vβ ̇                                      (6・8)

すなわち,式(6・6)はスリップ角βを用いて表現することが可能となり,次式となる.

mV(β ̇+r)=2Yf+2Yr                           (6・9)

 つぎに,これらの式を解ける形にするため,横力のコーナリングパワーを用いた表現を考える.スリップ角は前後のタイヤで異なるため,前輪のスリップ角をβf,後輪をβrとする.そして,前後輪のコーナリングパワーをKf,Krとすると,前後のタイヤの横力は次式となる.

Yf=-Kfβf                                       (6・10)
Yr=-Krβr                                      (6・11)

 前輪の操舵角をδとすると,βf,βrは次式で近似することができる.ただし,重心から前輪までの距離をlf,重心から後輪までの距離をlrとする.

βf=β+lf/Vr-δ                                (6・12)
βr=β-lr/Vr                                   (6・13)

 これらの式を式(6・9),(6・7)に代入すると次式が得られる.

mV(β ̇+r)=-Kf (β+lf/V r-δ)-Kr (β-lr/V r)        (6・14)
Ir ̇=lf Kf (β+lf/V r-δ)+lr Kr (β-lr/V r)               (6・15)

これらの式は,スリップ角βと角速度rだけが未知数の線形連立常微分方程式となり,車両の運動特性が解析可能なことを表す.

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