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2019年3月31日 (日)

イギリス滞在(6)

 渡英して最初にやることは、郵便局に行って居住カードを受け取ることである。申請費用に含まれているため、当然無料で受け取ることができる。

 次に銀行に行って、家賃半年分を振り込む。振込領収書を持って不動産屋を訪問し、最終契約をして指定時間にアパートの前で鍵を受け取り引き渡し完了となった。

 引き渡し時、火災報知器の点検で係員が家の中に入るので、まずは日本式で暮らすからと靴を脱いでもらうよう伝える。そうしないと、玄関があってカーペットが敷いていても、土足のまま上がって来るからである。日本文化は理解されているようで、以降やって来るオーナーや電気屋にも「靴」というだけで快く脱いでくれた。銀行口座開設は一日では無理なようで、翌日ようやく開設することができた。携帯電話は口座がなくてもクレジットカードか現金で買取タイプと容量限定シムを購入できた。買取タイプというと高そうなものの、100ポンド(15000円)でテザリング可能と意外に安い。

 日本の携帯電話は番号預かりサービスを利用して、シムだけを買ってイギリスの番号を取得予定だった。ところが何の手違いか、シムフリーの携帯のはずがシムロックとなってしまい、新しく携帯を購入することになってしまったのである。こうしてイギリスでの生活が始まった。

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2019年3月30日 (土)

イギリス滞在(5)

 一か月前の契約後、地方税や電機水道の事前手続きのメールが届いた。指示に従って答えていくだけの簡単なものに見えた。

 ところが、いきなりつまずいた。イギリスの携帯電話の番号入力から始まるからである。

 メールで持っていない場合を問い合わせると、架空の番号入力で進むよう返事があった。これで問題クリアかと思っていたら、電気やインターネットの契約にはイギリスでの銀行口座が必要なことがわかった。これは架空の口座番号を入れるわけに行かないので、口座番号が不要な地方税と水道の手続きだけを進めた。電気の開通を不動産屋に問い合わせると、電力会社に直接問い合わせろと仲介を拒否された。電力会社のサイトから新規契約を申し込むと、イギリスの携帯も口座もないため、最も不経済な使用料後払いが契約できた。

 イギリスの銀行口座と携帯電話は、イギリスで暮らすための必需品である。居住カードがないと口座が持てないため、事前取得はできないのである。

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2019年3月29日 (金)

イギリス滞在(4)

 一か月前に渡英し、不動産屋での契約を始めた。まず、現地見学から。

 指定された時間に現地に向かい、まだ居住している状況の部屋を見せてもらう。立地条件が良く、2LDKの間取りで広さも十分だったので即決した。

 条件の良いところは次も見てからと悠長なことをしているとすぐになくなるので、気に入ったら即決が鉄則である。事務所で手続きを進め、渡英目的の証明としてビザと大学のインビテーションレターや大学の渡英許可等を見せて担当者に納得してもらった。すると、今から手付金を指定銀行口座に振り込んで、振込領収書を持って来いということになった。振込後手続きを再開したところ、外国人は家賃が半年払いとのこと。引き渡しまでに振込むことになった。後は、渡英後に居住カードを見せて引き渡しになる。

 ここまでは比較的順調だった。実際に住むための苦労はここから始まる。

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2019年3月28日 (木)

イギリス滞在(3)

 次に重要なのが住宅である。さすがに1年間のホテル住まいは考えられないし、イギリスの大学は人気があって大学の寮は予約で一杯なためすぐには利用できない。

 新学期が10月1日からということも関係し、春は移動が少なく賃貸住宅の回転が鈍い。そのため、住い探しが最難関だった。

 当初は国内の有名賃貸会社の海外展開に依頼することを考えていた。しかし、イギリスはロンドン等の大都市だけを扱っており、ラフバラーのような地方都市の扱いは皆無だった。それに、イギリスはオーナーが賃貸住宅を抱え込んでおり、日本のように賃貸ネットワークから検索ということが難しい。昨年の夏に渡英した折に地元の不動産やに相談したところ、話を聞くのは居住の一か月前からということだった。そのため、ネットの住宅情報を見ていくつか候補をピックアップし、取り扱っている不動産屋にメールして一か月前に渡英し契約を開始という運びになった。

 家具付きの戸建て住宅は流通が少なかったのでアパートを選び、大学、マーケット、駅全てに徒歩で移動できるところを選択した。条件が良い程、賃貸料が高くなるのはどこでも同じである。

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2019年3月27日 (水)

イギリス滞在(2)

 3カ月前のWebサイト入力が終わったら、必要書類を準備する。基本的には、イギリスに滞在する理由と経済的背景の証明となる。

 相手先のインビテーションレター、こちらの出張許可と収入証明、3カ月分の給与振込がわかる銀行通帳、有効期限以内の戸籍謄本等が基本である。全て英文でないといけないので、戸籍謄本等は翻訳証明付きの翻訳会社に依頼しなければならない。

 これらの書類とパスポートを持って、新橋にあるUKビザセンターで手続きする。訪問日はWebサイトで申請時に予約する。ビザセンターは電話連絡できないので要注意。手続きには2時間程かかり、滞在カード用の写真も撮る。パスポートと必要書類を渡し、郵送代を支払えば3週間程でビザセンターから郵パックで返送してくれる。メールで連絡があるので、ビザセンターに取りに行っても良い。滞在カードは現地郵便局での受取りになるので、滞在地域を明確にしておくこと。滞在先住所はすぐには決められないので、Web申請時に滞在先の大学の寮と申請した。

 ビザ申請中パスポートは手元にないので、この期間は海外に行けないことになる。アジアの申請分はフィリピンのセンターでまとめて処理するので時間がかかるそうで、高くはなるものの1週間程で完了するエクゼクティブコースもある。

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2019年3月26日 (火)

イギリス滞在(1)

 2019年3月25日からちょうど1年間、イギリスのラフバラー大学に留学している。資格は客員研究員で、デザインスクールでの滞在となる。

 1年の滞在となるとビザが必要となり、家族と共に渡英しているため住宅も必要となる。全ての手続きはまだ完了していないものの、参考のために紹介しておこう。

 まずはビザ。申請は「UK Visas and Immigration」Webサイトから行う。各種質問事項に答えていくだけで良い。この時点では大学からの招聘状等は必要ない。注意事項は申請時期である。渡英3カ月以内から申請することになっており、それより早く申請すると、申請時点から3カ月後からの期間となってしまう。そのため、1年のビザが必要でも、1年間の申請ができなくなってしまうので要注意だ。ビザには色々な種類があるため、滞在先に確認すると良いものの、客員研究員の場合は通常ビザから「Academic Visit」を選べば良い。同行家族も「Academic Visit」を選んで、立場を随行にすれば良い。

 経費は申請時にクレジットカードで決算する。そのときの為替レートによるが、今回は一人27,528円だった。

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2019年3月25日 (月)

ドライバ行動(84)

 運転行動モデルの話題は、ベイジアンネットワークBN(Baysian Network)モデルで最後とする。これは、運転行動のモデル化に確率モデルを適用したものである。
 BNを運転行動のモデル化に適用するには、関係する要因と推論したい項目を変数選択し、データに基づいてBNの学習を行う。変数選択と構造選択が成功の鍵となる。
 BNの応用としては、行動予測、行動検出、状態推定がある。確率変数が動的に変化する場合、動的BN(DBN)を利用する。DBNの応用として、行動予測、行動推定、運転行動意図の検出がある。さらに、音声認識で使われてきた隠れマルコフモデル(HMM)も用いられる。HMMは物理モデルでは表現しきれないドライバの曖昧な行動、複雑な車両挙動をモデル化するのに適している。大量のデータで学習することにより精度を高めることができる。ただし、減少を理論的に説明することは不得意である。
 音声認識では、近年ディープラーニングを用いて飛躍的に性能向上しているため、運転行動への応用にも期待できる。また、HMMモデルには大量の運転データが必要であるため、大量のデータを共同で利用できる法整備等も期待したい。

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2019年3月24日 (日)

ドライバ行動(83)

 前後車両の存在は独立にドライバの右折行動に影響してるのではなく、相互作用があるといえる。先行車との車間距離が同じでも、後続車との車間距離が異なるとドライバの感じ方が異なるのである。
 構造方程式モデルを使うと、直接計測できないドライバの内面を潜在変数として表現することができる。この場合は、ドライバが車群に入っている感覚を表現したといえる。
 他の適用例では、予定行動理論TRB(Theory of Planned Behavior)を使うためのものがある。TRBでは、行動に直接影響を及ぼすのは、行動の意図であり、行動の意図は態度、個人規範、知覚行動制御で決定されると考える。行動に影響を及ぼす要因は直接観察できないので、アンケートでデータを収集し要因間の関係を構造方程式モデルで推定している。
 構造方程式モデルは自由度が高いため、推定されたモデルが最適とは限らないことに注意が必要である。検討しなかったモデル構造の方が、より適合する可能性が残っているからである。

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2019年3月23日 (土)

ドライバ行動(82)

 構造方程式モデルを用いた運転行動のモデル化例を紹介しよう。これは、車速と前後の走行車両との位置関係が、右折準備行動へ及ぼす影響を検討したものである。

 データとして、右折時のアクセルからブレーキペダルへ足を移動するタイミングと、ターンシグナルレバーの操作タイミングである。これを毎日同じ交差点で計測し、タイミングの変化要因を調べたのである。

 解析結果では、車速と操作タイミングに線形な関係があり、直進する先行車との車間距離と操作タイミングにも線形な関係があった。また、右折前の後続車との車間距離と操作タイミング間にも線形な関係があった。すなわち、車速が低いほど、また、前後車両との車間距離が短いほど、ブレーキに足を移動するタイミングが交差点に近くなっていたのである。しかし、ターンシグナルレバー操作のタイミングは変化しなかった。

 この結果は、観測される5変数(ブレーキに足を移動するタイミング、ターンシグナルレバー操作の開始位置、車速、前後車両との車間距離)だけでは適合度が低い。これに、先行車と後続車の車間距離の潜在変数として車群形成度合いと、ブレーキに移動するタイミングとレバー操作開始位置の潜在変数として右折準備行動への移行位置を導入することによりモデル適合度が高い結果が得られたのである。

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2019年3月22日 (金)

ドライバ行動(81)

 運転行動を構造方程式でモデル化する試みもある。構造方程式モデルとは、変数間の関係を収集データから同定する統計的手法である。

 構造方程式モデルでは、直接観測することができる従属変数と独立変数の関係を回帰分析で推定する。そして、直接観測できる変数間の共通因子を因子分析で推定する。

 特徴としては、変数間の関係と推定結果を図示することができ、変数間の関係を示すモデルの自由度が高く、構築モデルの信頼性を定量的に把握できることが挙げられる。直接観測できる車速、車間距離、ペダル踏み込み量等を観測変数と呼び、観測変数から推定される変数を潜在変数と呼ぶ。変数間の関係を方程式で表し得られた観測変数間の分散共分散行列を、実際に収集したデータから計算される分散共分散行列に近づくようパラメータを推定する。推定方法には最尤法を始め、さまざまな方法が使われる。

 推定した結果がどの程度適合しているか(適合度指標)は、さまざまな指標で定量的に明示できる。指標として、カイ二乗検定、RMSEA(Root Mean Square Error of Approximation)、GFI(Goodness of Fit Index)とAGFI(Adjusted GFI)、CFI(Comparative Fit Index)が用いられる。

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2019年3月21日 (木)

ドライバ行動(80)

 アメリカのカーネギーメロン大学教授ジョン・R・アンダーソンは、人間の記憶・言語・学習に関わる認知過程を、プログラミングで実現する理論を発表した。これが、ACT-R(Adaptive Control of Thought - Rational)理論である。

 ACT-Rは基本的な認識と知覚の操作を定義することを目指している。人間の行う行為が、これら個々の操作の連鎖で成り立っているという前提である。

 認知神経科学の進歩に触発されて開発されたものであり、脳内の認識を生み出す過程を説明することができる。ACT-Rの最も重要な前提は、人間の記憶がチャンクとして表現される宣言的記憶と、プロダクションルールとして表現される手続き的記憶という2種類のもので構成されているということである。記憶を記憶モジュールという形で独立した機能として定義し、もう一つのモジュールとして知覚運動モジュールを定義する。知覚運動モジュールは、実世界とのインタフェースを受け持つ機能であり、ACT-Rでは視覚モジュールと手のモジュールが詳細に開発されている。基本的にモジュールは、対応するバッファを通してのみアクセス可能とする。手続き的記憶モジュールだけがアクセス可能なバッファを持たず、他モジュールにアクセスするために使われる。

 このACT-Rをドライバ行動のモデル化に使うことが試みられている。対象とされた状況は、複数車線の高速道路運転時における制御、監視、意思決定過程である。

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2019年3月20日 (水)

ドライバ行動(79)

 ランドマーク・交差点拡大表示型経路誘導とは、進路変更する交差点の拡大図とその周辺のランドマークを提供するカーナビゲーションである。現在、日本で利用されている典型的なカーナビゲーションといえる。

 ターン・バイ・ターン型と比較して、交差点間が短かったり現在位置検出精度が低くても効果が期待できる。デジタルマップ表示と併用して利用され、該当交差点が近づくと交差点拡大表示が提供されたり画面が2分割されデジタルマップと交差点拡大表示が同時に提供されたりする。

 ランドマーク・交差点拡大表示型では、ドライバが利用可能な情報は、進路変更する交差点付近のランドマークや交差点名称、交差点形状等であり、ターン・バイ・ターン型よりも豊富でかつわかり易い。音声誘導が併用されていると、更にわかり易い。音声誘導があると、ドライバはランドマークや交差点名を目視で確認し容易に照合可能となる。ただし、交差点付近にランドマークや交差点名がない場合は、ターン・バイ・ターン型と同様に交差点までの距離で判断することになり、車内情報への視認回数が増えわかり難いものとなる。

 音声誘導がない場合は、目前に交差点が確認されると車内情報と照合が開始し、該当交差点として同定される。その後は、音声誘導がある場合と同様の情報処理となる。

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2019年3月19日 (火)

ドライバ行動(78)

 ターン・バイ・ターン型経路誘導とは、現在位置から進路変更すべき交差点までの距離と進行方向を矢印と数字で表示するカーナビゲーションである。交差点間の距離が長く、現在位置の検出精度が高い場合に効果的である。
 1990年代にアメリカのレンタカーで利用が始まり、日本でもナビ画面に補足表示的に使われている。ヘッドアップディスプレイに表示するものもある。
 カーロケーション機能より利用できる情報が少なく、次に進路変更すべき交差点が照合対象となる。音声誘導を併用すると、車内情報への視認回数が少なくなることが確認されている。音声誘導があれば、聴覚がトリガーとなり車外情報を確認して交差点なら車内情報が示す方向へ進路変更すれば良いからである。音声誘導がなければ、車外情報で交差点を発見してから車内情報で該当する交差点までの距離を見て判断しなければならないので、視認回数が増えるのである。
 交差点間の距離が短いと、目前に複数の交差点が見えるため判断しづらいものとなる。また、現在位置制度が低下しても、使いづらいシステムになる。

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ドライバ行動(78)

 ターン・バイ・ターン型経路誘導とは、現在位置から進路変更すべき交差点までの距離と進行方向を矢印と数字で表示するカーナビゲーションである。交差点間の距離が長く、現在位置の検出精度が高い場合に効果的である。

 1990年代にアメリカのレンタカーで利用が始まり、日本でもナビ画面に補足表示的に使われている。ヘッドアップディスプレイに表示するものもある。

 カーロケーション機能より利用できる情報が少なく、次に進路変更すべき交差点が照合対象となる。音声誘導を併用すると、車内情報への視認回数が少なくなることが確認されている。音声誘導があれば、聴覚がトリガーとなり車外情報を確認して交差点なら車内情報が示す方向へ進路変更すれば良いからである。音声誘導がなければ、車外情報で交差点を発見してから車内情報で該当する交差点までの距離を見て判断しなければならないので、視認回数が増えるのである。

 交差点間の距離が短いと、目前に複数の交差点が見えるため判断しづらいものとなる。また、現在位置制度が低下しても、使いづらいシステムになる。

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2019年3月18日 (月)

ドライバ行動(77)

 カーロケーション型経路誘導とは、画面に現在位置を表示し、進行方向や周囲情報を提供することにより経路支援するカーナビゲーションである。シンプルではあるものの、それまでの紙地図による経路選択より遥かに便利だった。

 なぜなら、紙地図より遥かに容易に現在位置と周辺情報が把握できるからである。よって、方法が同じでも機能的違いも存在するのである。

 カーロケーションと紙地図で利用する情報の割合を調査したところ、車内情報(ナビや地図からの情報)と車外情報(走行シーンをドライバが目視で得る情報)の比率が異なることがわかった。カーロケーションでは、車内情報からパス、ノード、車外情報からランドマーク、ノードの情報を利用されていた。紙地図では、車内情報からランドマーク、パス、車外情報からランドマークの情報が利用されていた。ドライバが利用する情報の違いは、両者の機能的な違いに依存しているものと考えられている。

 これら結果から、カーロケーションの情報処理モデルは、ナビで確認した現在位置を基に、車外情報とダイレクトに比較照合し経路を選択しているといえる。一方、紙地図の情報処理モデルでは、まず現在位置がどこかを地図上で確認するところから始まり、比較照合も運転しながらでは紙地図を使えないためドライバの認知地図上での実施となる。

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2019年3月17日 (日)

ドライバ行動(76)

 運転で目的地に向かうとき、ドライバはさまざまな経路に関する情報を収集する。目的に辿るための目印を照合しながら運転行動を行う。

 1990年以前、目的地に至る情報源は、主に道路地図と案内標識に依存していた。ところが1990年から普及が始まったカーナビゲーションにより、目的地に向かう運転行動の情報処理は激変した。

 カーナビゲーションの登場により、初めて訪れる地への長距離運転時の不安感、そしてそれに伴う運転負担が改善できたのである。カーナビゲーションの歴史は、自動車の運転に比べ浅く、運転行動の情報処理モデルを新たに構築する必要がある。カーナビゲーションといっても、初めから現在の経路誘導機能が備わっていたわけではない、大きくは、カーロケーション型、ターン・バイ・ターン型、ランドマーク・交差点拡大表示型と進化してきたのである。

 そのため、カーナビゲーションの進化に応じた情報処理モデルが存在する。初期のカーロケーションだけのものでも、紙地図と比べると明らかに情報処理モデルが異なるのである。

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2019年3月16日 (土)

ドライバ行動(75)

 ケスキネンの4階層モデルは、運転教育のフレームワークになっている。運転教育GDE(Goals for Driver Education)のフレームワークでは、4レベルそれぞれに次の3つの教育項目を明示している。

①Knowledge and skills:ドライバが修得すべき知識やスキル
②Risk increasing factors:ドライバが知っておくべき運転事故を高める要因
③Self-evaluation skills:ドライバが自覚すべき自身の能力

 4レベルに3項目で12項目のフレームワークがある。レベル4であれば、①のドライバが修得すべき知識として、ライフスタイル、集団規範、動機、自己コントロール、個人の価値観が運転行動にどのような影響を及ぼすか、②のドライバが知っておくべき事故を高める要因として、リスクの受容性、自己改善、上位の刺激欲求、社会的圧力への応答、アルコール、世間から見た価値観がいかにリスクにつながるか、③ドライバが自覚すべき能力として、欲求のコントロール、リスクテイキング傾向、安全動機、リスク週間が自覚すべき要因と教えるのである。

 特にレベル4のライフスタイル等の運転教育以外の支援方法については、ほとんど研究が行われていない。運転と日々の生活との関連性を明らかにすることが、今後の課題である。

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2019年3月15日 (金)

ドライバ行動(74)

 運転は時間によって必要な戦略・戦術が異なるため、さまざまなタスクを行うことになる。そのため、運転行動を階層的に捉えるミコンの運転タスクの階層構造等が提案されている。

 フィンランドのケスキネンは、4階層からなる Hierarchical levels of driving nehaviour を提案した。これは次の階層で構成されている。

Level4 : Goals for life and skills for living
Level3 : Goals and context of driving
Level2 : Mastering traffic situations
Level1 : Vehicle maneuvring

 レベル1~3は、ミコンの階層モデルに対応しており、レベル1が Control level、レベル2が Maneuvering model、レベル3が Strategic level となる。

 ケスキネンのモデルは、ミコンのモデルより上位レベルのレベル4を加えたところに特徴がある。レベル4は個人の動機は行動規範が関わる領域であり、これによってレベル3以下の行動が変わり、事故リスクも変わるのである。

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2019年3月14日 (木)

ドライバ行動(73)

 Task-Capability Model は現在でも発展している。例えば、理論として、タスクの困難さの知覚方法が研究されている。

 タスクの困難さを知覚する前に、自分の運転パフォーマンスとタスクディマンドの知覚が行われる。そして、実際のタスクディマンドの知覚と予測を比較し、タスクの困難さを知覚しているのではないかと検討されている。

 また、客観的な観測に基づく研究として、実路でタスクデマンドを下げる運転行動が検討されている。オクルージョン法を用いて、道路構造別のタスクディマンドを定量化する研究もある。車速と車間時間との関係によるタスクディマンドの変化を検討した研究もあり、低車速では車間の短さに比例してタスクディマンドが増加するものの、高車速では車間によらずタスクディマンドが高いことがわかってきた。

 脳波を使用した研究もある。それは、許容できるタスクディマンドと脳波より推定した運転パフォーマンスとの関連を調べるものである。

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2019年3月13日 (水)

ドライバ行動(72)

 Task-Capability Model では、運転パフォーマンスとタスクディマンドの差がタスクの困難さと定義した。そして、ドライバはタスクの困難さを調整するとしたのである。

 そのため、タスクが困難でなければ、タスクディマンドを高める運転行動は取らないとした。また、タスクが困難でなければ、運転パフォーマンスが下がる心身状態になることを受け入れるともした。

 つまり、ドライバにとって受け入れられるタスクの困難さが、知覚したタスクの困難さの範囲にあるかどうかが行動調性の基準になるのである。ドライバが事故の危険性を感じるのは、タスクの困難さが許容範囲を超えているからである。フュラーは実験で、運転パフォーマンスのレベルにタスクディマンドが達したとき、被験者は初めて事故リスクを感じることを示した。

 Task-Capability Model はリスク目標水準を基準に運転するというリスクホメオタシスモデルとは異なる考え方である。しかし、タスク困難さが許容範囲を超えてからは、リスクホメオタシスモデルと同じ考え方になるといえる。

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2019年3月12日 (火)

ドライバ行動(71)

 タスクディマンドは、車両構造・性能、道路環境、交通状況、運転行動によって変化する。例えば、交通量の少ない直線路走行よりも、交通量が多く速度も高い連続するカーブ路の方がタスクディマンドは高い。

 タスクディマンドが高い状況で、ドライバは運転に対する集中度を高める。そのため、高いタスクディマンドが運転パフォーマンスを高めていると考えられる。

 また、同じ道路環境でも、高い車速で車間距離を短く取って走行した方が、低い速度で車間距離を広くとって走行するよりもタスクディマンドは高くなる。高速で車間距離が短い場合、先行車の挙動に対しより迅速な対応が求められるのである。このように、ドライバ自身の行動によって、タスクディマンドを調整することができる。これは逆に、運転パフォーマンスに応じたタスクディマンドに、ドライバ自身が調整可能であるともいえる。

 加齢によりドライバの運転パフォーマンスは低下するものの、極端に事故率が上がるわけではない。これは、ドライバ自身が低下した運転パフォーマンスに見合うよう、タスクディマンドを下げているためと考えられる。

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2019年3月11日 (月)

ドライバ行動(70)

 運転パフォーマンスは、ドライバの認知・判断機能、運転スタイル、スキル、適正で決まる。そのため、高齢ドライバは認知・判断機能が低下するため、若年ドライバより運転パフォーマンスが低いといえる。

 せっかちや几帳面という運転スタイルは、運転パフォーマンスと相関はない。しかし、スタイルが異なると、発揮できるパフォーマンスが異なる。

 運転教育、運転経験によっても運転パフォーマンスは異なる。また、運転中はダイナミックに注意資源(リソース)投入量や心身状態が変わるため、運転パフォーマンスもダイナミックに変化する。特に、疲労や覚醒度の低下は、一時的に運転パフォーマンスを低下させる。

 運転パフォーマンスは、長年培ってきたドライバ自身の能力が定常的なものである。そして、これに運転中に変化するダイナミックなものが加わる形となる。

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2019年3月10日 (日)

ドライバ行動(69)

 リスクホメオタシスモデルとゼロリスクモデルの他、もう一つ運転動機付けモデルが提案されている。それは、アイルランドのレイ・フュラーが提唱した Task-Capability Model である。

 このモデルで事故が起きる危険性は、タスクディマンドと運転パフォーマンスの関係で決まるとされている。すなわち、タスクディマンドが運転パフォーマンスより高くなると、事故発生リスクが高まるということである。

 タスクディマンドとはタスクの要求度合いであり、運転パフォーマンスとはドライバの能力とがんばり度合いである。タスクディマンドD(Task Demand)と運転パフォーマンスC(Capability)の関係で、C>Dなら事故リスクはなく問題なくタスクが遂行でき、C>Dなら事故リスクが高くなりタスクも遂行を失敗するということになる。そのため、タスクディマンドと運転パフォーマンスの構成要因が重要であり、明確に特定する必要がある。

  Task-Capability Model はタスクディマンドが運転行動によって変化することを前提としている。また、タスクの困難度のホメオタシス(Task Difficulty Homeotasis)を導入していることが特徴といえる。

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2019年3月 9日 (土)

ドライバ行動(68)

ゼロリスクモデルでは、安全余裕度(Safety Margin)の概念が中心的な役割をもっている。安全余裕度とは、行動主体がハザード(危険源)から離れている空間的、時間的距離である。

 経験とともに、安全余裕度のコントロールは自動化される。つまり、ドライバの運転の大部分は習慣的な活動になるのである。

 一般的に、客観的リスク分布の分散方が主観的リスクより広い。極端な場合は、主観的リスクは分散が生じない決定論的予測がなされる。例えば、高速道路の走行の場合、主観的安全余裕度が客観的安全余裕度よりも大きい。そのため、客観的にはリスクが存在するのに、主観的にはゼロリスクとなる場合が生じる。スマラは、ゼロリスクモデルの背景となる余分な動機を前提とし、交通環境ではイベント予測性を高めたり、ドライバ行動の範囲を制限(車速制限等)することが交通安全対策として有効としている。

 一方、道路の改善や運転者教育は、ドライバの動機が影響して効果を打ち消す方向に行動変容すると効果を否定している。そのため、ゼロリスクモデルも論争を起こしたのである。

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2019年3月 8日 (金)

ドライバ行動(67)

 従来、ドライバ行動はスキル(技能)中心で理解されていた。これに対し、フィンランドヘルシンキ大学の交通心理学者ネーテネンとスマラは、ドライバの動機が決定的に重要と主張した。

 ドライバの動機というのは、時間他の短縮やスリルを求めること等で、彼らは、余分な動機(Extra Motives)と呼んだ。これは、交通心理学で用いる用語、リスク効用(Risk Utility)と同じ概念である。

 また、ドライバは客観的なリスクではなく、ドライバ自身が知覚した主観的リスクに適応するとした。客観的リスクと主観的リスクを区別し、そのずれに焦点を当てたところが彼らのモデルの特徴である。ネーテネンとスマラは、ドライバが初心者の頃に抱いていた不安は経験とともに消失し、交通システム内の小さな確率を考慮することができなくなると考えた。すなわちこれは、ドライバの意思決定で生じる結果の主観的確率分布は歪められ、小さな確率リスクを無視するようになるという考えである。

 客観的にリスクのある状況でも主観的にはゼロリスクであるため、このモデルはゼロリスクモデルと呼ばれる。当初、ネーテネンとスマラが主観的リスクモニタ説として提唱し、後にスマラが内容を修正してゼロリスク説としたものである。

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2019年3月 7日 (木)

ドライバ行動(66)

 リスクホメオタシスが提唱され、その検証研究が多く行われた。そして多くの論争が発生し、現在は終結している。

 これまでの検証を通して、リスクホメオタシスモデルの根本的な仮説のリスク目標の存在は証明されなかった。また、長期的にみれば事故率は変化しないという予測も証明されていない。

 検証を困難にした理由のひとつに、ワイルドの主張がリスクホメオタシス説は個人の行動を説明するものではなく、地域の道路利用者全体の集合的行動のモデルであるというものがある。ただ、リスクホメオタシス説の重要な点は、安全システムはドライバ行動を変化させること、技術システムとドライバ行動の間には相互作用があることが明確になったことである。

 リスク補償行動は、ドライバの行動適応(Behavioral Adaptation)の一形態とみなせる。新技術に対する行動適応はプラスとマイナスの面があり、マイナス面の行動適応を起こさないためにどうすべきかも考えなければならない。

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2019年3月 6日 (水)

ドライバ行動(65)

 ワイルドがリスクホメオタシス説を立てるに至った実験として、ドナルド・テイラーが1964年に発表したものである。これは20人の実験参加者の、走行速度と皮膚電気活動(GSR)を測定解析したものである。

 走行ルートを40の区間とし、それぞれの区間の過去2年間の事故率を算出した。すると、次の結果が得られたのである。

・車両マイル当たり事故率とGSRに+0.61の相関
・車両マイル当たり事故率と平均速度に-0.67の相関
・1マイル当たりのGSR変化率と平均速度に-0.75の相関

 つまり、事故率が高い道路区間でドライバは冷汗をかき(高いリスクを知覚)、速度を下げたのである。また、運転中の単位時間当たりのGSRはどの道路区間でも同程度だった。

 この結果から、テイラーは客観的リスクも主観的リスクも、単位時間当たりで定義すると道路条件に関わらず一様に分布すると結論したのである。

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2019年3月 5日 (火)

ドライバ行動(64)

 ドライバがゼロより大きなリスクを目標にするかは、リスクを取るほど利益が大きくなるからと考えられる。例えば、スピードを上げれば目的地に早く着くということである。

 しかし、同時に燃料代が高くなり事故リスクも高まる。よって、最適なリスクは、運転行動から得られる利益とコストの差が最大になると主観的に判断される点となる。

 リスクの目標主準は個人内でも地域文化面でも、その時の情勢によって変わる。経済が好調なら目標水準は高まり、不景気だと下がる。性別、年齢、教育、社会・経済的地位、行動規範、文化的価値観等も影響し、その日の運転の目的、気分、交通状況、天候等によっても変動する。過去の交通経験や運転技能に対する自信によっても変わる。また、ドライバは意識的にリスク目標水準を変化させる調整行動を取る。

 調整行動には短期的・中期的・長期的なものがある。短期的には走行速度、車間距離等により、中期的には選択した運転経路等により、長期的には交通手段の選択等がある。

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2019年3月 4日 (月)

ドライバ行動(63)

 道路の幅を広げて見通しを良くすると、ドライバは速度を上げる。信号のない交差点に信号機を付けると、交差点に進入する他車両や歩行者へこれまでより注意しなくなる。

 経験的に、工学的安全対策を施してリスクが低下すると、ドライバはリスクを高める方向に行動が変化することがわかっている。この行動をリスク補償という。

 1982年、カナダの心理学者ジェラルド・ワイルドはこの現象を、リスクホメオタシス説として発表した。技術的安全対策では交通事故が減らないという主張のため、論争が起きたりもした。ワイルドはこの説の中で、リスクの目標水準(Target Level of Risk)という概念を提唱した。ドライバはリスク目標水準に合わせた運転をしているため、リスクが低下すると元の水準に等しくなるまで行動を変化させるというのである。

 リスクホメオタシスモデルでは、車両操縦技能やリスク知覚技能は車両運転のフィードバックの外側にあり事故リスクには影響しない。唯一、事故リスクに影響するのはリスク目標水準のみである。

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2019年3月 3日 (日)

ドライバ行動(62)

 運転中の視線方向が、転舵行動にどのように影響するかも調べらている。実際の運転実験では危険なため、ドライビングシミュレータで行われたものである。

 直進する状況で、被験者に注視点を中央ではなく左右の特定の位置を指示したのである。すると、注視方向に転舵がバイアスした。

 これは車両の速度に依存せず、5deg程度の左右への注視から発生する。また、ステアリングホイールの回転方向と車の転舵方向を逆(左に回すと右に曲がる)にした場合でも、注視方向にバイアスしたのである。このことから、単に身体の結びつき効果ではなく、進行方向の知覚そのものが影響を受けていると考えられる。

 視線方向へ転舵がバイアスされることは、カーブ路でのタンジェントポイントへの注視でも確認されている。視線方向は、進行方向知覚と制御に重要なキーになっているのである。

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2019年3月 2日 (土)

ドライバ行動(61)

 ドライバは、近くの情報と遠くの情報を利用するという運転行動モデルもある。これはドライビングシミュレータで、道路の一部しか見えないようにしたときの転舵行動から提案されたものである。

 遠くの道路だけを見えるようにしたときの転舵行動では、転舵は穏やかで安定しているものの道路中央からのずれは大きかった。一方、近くの道路だけを見えるようにしたときは、転舵は急な忙しいものとなり道路中央のずれが小さくなったのである。

 近くと遠くの中間だけを見えるようにしたときは、中間の結果となった。これらのことから、遠くの情報はカーブ予測のオープンループの起動計画に使われ、近くの情報は左右調整のクローズドループのステアリング制御に使われているといえる。ここで、遠くの情報や近くの情報とは、道路の縁石等のエッジ情報だけでなく、環境のオプティカルフローも利用していることが判明している。

 ただし、オプティカルフローの効果は遠くと近くで異なる。遠くの情報にオプティカルフローを追加すると運転精度は向上するものの、近くの情報にオプティカルフローを追加すると運転精度は低下する。

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2019年3月 1日 (金)

ドライバ行動(60)

 一般的な進行方向知覚と、自動車の運転時とでは異なる点がある。それは、運転は道路のレーンを正確に転舵行動するための知覚が求められる点である。

 特にカーブ路では、カーブネゴシエーション(Curve Negotiation)と呼ばれる行動が求められる。このとき、ドライバの視線解析した結果、タンジェントポイントを利用していることがわかった。

 タンジェントポイントとは、カーブ内側の前方視界を遮る点である。すなわち、視線がカーブ最内側に接する点ということで、タンジェントポイントと呼ぶ。ドライバがカーブに進入する1~2秒前に、視線がタンジェントポイントにサッカード眼球運動として集まり、カーブに進入した0.5秒後には80%の時間がタンジェントポイントに向けられているのである。なぜなら、進行方向とタンジェントポイントへの視線方向の差が、カーブの曲率を視覚的に予測する情報だからである。

 ところが、ドライビングシミュレータでカーブ走行時に、ドライバに強制的にタンジェントポイントを注視するよう教示した実験では、運転精度の向上は見られなかった。ただし、注視点の方向に転舵がバイアスすることは確認されている。

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