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2019年3月 4日 (月)

ドライバ行動(63)

 道路の幅を広げて見通しを良くすると、ドライバは速度を上げる。信号のない交差点に信号機を付けると、交差点に進入する他車両や歩行者へこれまでより注意しなくなる。

 経験的に、工学的安全対策を施してリスクが低下すると、ドライバはリスクを高める方向に行動が変化することがわかっている。この行動をリスク補償という。

 1982年、カナダの心理学者ジェラルド・ワイルドはこの現象を、リスクホメオタシス説として発表した。技術的安全対策では交通事故が減らないという主張のため、論争が起きたりもした。ワイルドはこの説の中で、リスクの目標水準(Target Level of Risk)という概念を提唱した。ドライバはリスク目標水準に合わせた運転をしているため、リスクが低下すると元の水準に等しくなるまで行動を変化させるというのである。

 リスクホメオタシスモデルでは、車両操縦技能やリスク知覚技能は車両運転のフィードバックの外側にあり事故リスクには影響しない。唯一、事故リスクに影響するのはリスク目標水準のみである。

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