DS(29)
ドーム内のコックピットシステムは,ドライバから見える実際の車室内を再現するため,市販車の内装だけを残した車体を用いる.室内の構成は,ドライバが操作するシフト,ステアリング,ブレーキ,アクセル,スイッチ類等の操作装置,エンジン音や他車両の音を再現する音響装置,そして,シートやステアリングに臨場感の演出として振動を与える振動装置で構成される.
ステアリング反力とブレーキ反力は,ドライバが路面や車両の状態を判断する重要な要素である.そこで,ステアリングは回転モータにより反力を与える装置,ブレーキはリニアモータにより反力を与える装置を開発し,実車と同等の反カを与えるシステムとしている.
音響は,車室内に7個のスピーカーと2個のサブウーファーで再現する.これらスピーカに,アンビソニック方式で録音した音を,車両状態や周辺環境の変化に連動してリアルタイムに再生させる.再生に関しては,音の方向や移動が実際の走行時と同様に感じられる立体音響システムを開発した.自車のエンジン音,ロードノイズ,風切り音と他車の走行音に加え,実際の運転で聞いている音がないことに対する違和感を低減するため,高速道路のつなぎ目を通過した時のハーシュネス音やトンネル内や雨などの周辺環境毎の音の違いを再現している.また,振動装置は,シートの座面と背面に音振動トランスデューサーを設置し,音響信号の低周波成分と同期してシートを振動させ,実車の振動と同様な感覚を呈示している.
一般ドライバによる評価を実施するため,普段乗っている車とハンドル位置が違うと結果に影響を与える懸念がある。そこで,右ハンドルと左ハンドルでの評価をする際,コックピットを変更することなく効率よく実施できるよう,ハンドル,アクセル,プレーキ等の操作系を左右両方に設置できる構造とした.
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