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2020年7月31日 (金)

歩行者検出をCNNで(8)

 ここまで紹介した歩行者検出手法のAdaBoostとGoogleNetは、画像中の歩行者領域に適用してその領域が歩行者かどうかを判定する手法といえる。そのため、画像全体をラスタースキャンしながら歩行者を検出するか、他の簡易な手法で歩行者がいる可能性がある領域を特定する必要である。

 画像全体をラスタースキャンするのは計算効率が悪くリアルタイム性が損なわれるため、Selective Search と呼ばれる他手法との組み合わせが一般的である。例えば、横断歩行者の検出であればオプティカルフローを検出し、横方向に流れるオプティカルフロー領域にAdaBoostやGoogleNetする2段階構造となる。

 AdaBoostよりGoogleNetの方が検出率は高いものの、計算コストは高い。そのため、2段階構造を取らずに画像全体をラスタースキャンすると、スケールが異なる複数の検出フレームを少しずつずらしながら計算するため膨大な処理が必要となる。つまり、1枚のフレームに数万単位の処理を行うことになりリアルタイム処理は難しい。また、画像全体をラスタースキャンするため、学習データとして非歩行者画像となる背景画像に走行中出現する背景を数多く準備しなければならず、検出精度を上げにくい。そのため、2段階検出により計算コストを削減し、検出精度を上げるのである。

 ところが、2015年、Faster R-CNN、2016年、YOLOやSSDが発表された。これらCNNの手法は、検出対象とその位置も同時に検出し、かつそれまで1種類の対象物体が検出対象だったことに対し、多くの種類の対象物体を同時に検出する能力を備えるようになったのである。

 

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2020年7月30日 (木)

歩行者検出をCNNで(7)

 HOG特徴量を用いたAdaboostとCNNの検出精度を比較してみよう。使用したCNNは、GoogLeNetの22層版である。

 このGoogLeNetは、2014年のILSVRCにおいて、検出と分類に関し最高の結果を出したものである。その後登場する、後述のSSDやYOLOのように画像中の位置も高速に検出するタイプではないため、CNNの構造とAdaBoostとの性能比較に適しているといえる。

 検出対象の歩行者は、前後左右の4方向に向いた4カテゴリーの歩行者とした。学習用データは、前後左右4方向に向いた歩行者画像をそれぞれ2000枚、非歩行者画像12000枚である。比較結果を下図に示す。図の横軸は繰り返し回数、縦軸が検出精度である。AdaBoostの検出率が75%程度で収束することに対し、CNN(DNN)では90%程度まで向上した。また、歩行者の顔向きの検出精度を比較するため、学習用データとして前後左右4方向の顔画像それぞれ1000枚と非顔画像5000枚とした結果でも同様の結果となった。

Fig3 

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2020年7月29日 (水)

歩行者検出をCNNで(6)

 深層学習には、損失関数、活性化関数、層、ネットワークパラメータ、最適化アルゴリズムを使用する。各項目を簡単に説明する。

i)損失関数
 損失関数はネットワークの訓練を行ってノードの重みを変えるとき、間違った分類に対するペナルティを決定するため使用する。そして、この関数によって最適解に導く。損失関数の中にはMeans Squared Error,Cross Entropy,Squared Lossなどがある.

ii)活性化関数
 活性化関数はネットワークの前の層の出力を次の層の入力として非線形に変換する。この非線形変換によりネットワークはより複雑なデータを学習することができ、より賢いネットワークになることができる。

iii)層
 層はノードの集合から構成され,各ノード(入力層のノードを除く)は基本的に活性化関数であるため、入力を非線形的に出力することができる。すなわち、各層自体が関数といえる。これら関数は所有するパラメータを調整することによって誤差を最小化する。このパラメータ調整の過程はそのネットワークが実際に学習しているものと考える。

iv)ネットワークパラメータ
ネットワークパラメータは、あるデータ集合に応じて変更および調整が必要な変数集合である。これはネットワーク内の各ノードに関連付けられる重みである。その目的はネットワークに供給された訓練データによって、最もよく表す最適な重み集合を見つけることである。

v)最適化アルゴリズム
 最適化アルゴリズムはネットワークの最適な変数集合を求めるため、勾配を使用する凸最適化の検索アルゴリズムを使用する。凸最適化はパラメータ集合に関して偏微分を取り、誤差を減少させるためパラメータ調整量を決定する。これによって,供給された損失関数に対する最適な変数集合を見つけることが可能となる。

 

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2020年7月28日 (火)

歩行者検出をCNNで(5)

 深層学習はニューラルネットワークの中間層を多層化したものである。ニューラルネットワークは、ネットワークの重み学習にバックプロパゲーションを使うことにより成功したものの、多層化すると適切な重みがネットワークにちらばって収束できない問題を長年かかえていた。

 2006年に提案されたディープビリーフネットワークは、多層化されたネットワークでもバックプロパゲーションが成功することを示した。これは、従来、4層以上の学習を一度にやって成功しなかったことに着目し、1層が終わってから2層目と順に学習し、全ての学習が終わってから全層を結合することによりバックプロパゲーションを成功させたのである。以来、深層学習が爆発的に提案されていった。

 そして、前述のように、2012年からCNNが注目され始めた。CNNの基本原理は、ヒューベルとウィーセルが猫の脳から発見した視覚野に関するヒューベル・ウィーセル仮説をヒントに、特徴抽出層(畳み込み層)と位置ずれ吸収層(プーリング)を繰り返す中間層を持つことである。畳み込みの層は、入力マップと重みフィルタの内積をとることで行われる。ラスタスキャンにより入力マップに繰り返し畳み込みを行うことで畳み込みマップを得る。畳み込みで使用される重みフィルタの各重みはランダムな値で初期化され、学習を通して調整される。例えば、重みの初期化の範囲を入力ユニットの数によって決定する。入力の幅、高さ、チャンネル数をそれぞれw,h,cとすると,初期化範囲 [-range, range] は次式にて求める。

n=w×h×c                        (5)
range=√(2/n)                    (6)

プーリング層では、入力マップをウィンドウでラスタスキャンし、それぞれウィンドウ内の値から次元の削減と位置と回転に不変性を付与することができる。プーリングには、ウィンド内の最大値を出力するマックスプーリングと、ウィンド内の平均値を出力するアベレージプーリング等がある。

 

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2020年7月27日 (月)

歩行者検出をCNNで(4)

 深層学習がメジャーになる前は、歩行者検出はHOG特徴量ベースが主流だった。HOGは画像の局所領域の輝度勾配(明るさ変化の大きさとその角度)を画像内の領域で集計してヒストグラム化した特徴量である。

 HOG特徴量をSVMで分類した結果は、Boostingの一種の機械学習手法AdaBoostでまとめられる。すなわち、複数揃えられたSVMを弱識別器として扱い、多数決によって分類を行うのである。

 AdaBoostのアルゴリズムを以下に示す。

①各サンプルの重みを初期化
 データ数をNとすると,各サンプルの重み D_1(i)は以下のように初期化する。
 D_1(i)=1/N (1)

②各弱識別器のエラー率を算出
 弱識別器としてHOG特徴量を用い、それぞれの特徴のエラー率を算出する。エラー率は分類を間違ったサンプルの重みを足して求める。

③最もエラー率の小さい弱識別器を選定
 各ラウンドでの弱識別器 h_t は、次式で示すように最もエラー率の低い特徴を選定する。
 h_t=arg⁡min e_(t,m) (2)
 ここで e_(t,m) はラウンド t で算出した m 番目の弱識別器のエラー率を表す。

④選択された弱識別器の直前の学習において,不正解データの重みを増加
 現在のラウンドで選ばれた弱識別器が正確に識別したサンプルは重みを減らし、識別を間違えたサンプルは 重みを増やす。これにより、現ラウンドで選ばれた弱識別器を次の弱識別器で補う。選ばれた弱識別器自身の 重み α_t はエラー率 e_t より次式で計算する。
 α_t = (1/2)ln⁡((1-e_t)/e_t ) (3)
 ラベル y はサンプルが歩行者なら1,非歩行者なら -1となり,識別器 h_t (x_i) は識別結果が歩行者なら1を非歩行者なら -1を出力する。これらより各サンプルの更新次式で表する。
 D_(t+1)=D_t(i)exp⁡(-α_t y_t h_t (x_i)) (4)

 ②から④までのステップを繰り返すことによって弱識別器の出力結果を収集する。最終的にはサンプルを完全に識別できるまで行う。最終的に、弱識別器の重みと識別結果の積を足し合わせていき、閾値よりも高ければ歩行者として判別する。

 

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2020年7月26日 (日)

歩行者検出をCNNで(3)

 深層学習を使用するようになるまで、歩行者認識は横断歩行者の脚部運動に着目する等、歩行者によらない特徴量を抽出する手法が研究されていた。その後、統計的な手法が主流となり、HOG(Histogtam of Oriented Gradient)特徴量を用いる手法が提案された。

 HOG特徴量とは、画像の局所領域の勾配方向にヒストグラムを特徴量として扱うものであり、歩行者領域の画像のHOG特徴量と、歩行者でない領域のHOG特徴量をSVM(Support Vector Machine)による機械学習でパターン分類することにより歩行者を検出した。この手法は歩行者検出性能を大幅に向上させ、以降の主流となった。

 HOGベースの手法は改良が加えられ、歩行者を各パーツに分解して検出するDPM(Deformable Part Model)が出現した。これにより、姿勢の変化や一部が隠されるオクルージョンにもロバストになり、歩行者検出の要件をかなり満足するようになった。さらに、HOG特徴量だけでなく色情報等を特徴に加えたICF(Integral Channel Features)が提案されロバストさが向上した。こうして、歩行者認識手法はHOG特徴量ベースのものが主流となりブラッシュアップされて実用化されるものと思われていた。

 ところが、2012年、画像中から一般物体を認識する国際競技ILSVRC(ImageNet Large Scale Visual Recognition Challenge)で深層学習の一手法CNN(Convolution Neural Network)を用いた手法が、それまでとは桁違いの好成績で優勝した。これにより、歩行者検出手法も一気にCNNベースの手法に変わっていったのである。

 

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2020年7月25日 (土)

歩行者検出をCNNで(2)

 歩行者事故の近年の具体的な傾向を紹介しておこう。下左図のように、交通事故による死亡事件の発生件数は減少している.特に、自動車乗車中に事故に遭い死亡する人の数は大きく減少している。その結果,現在最も死亡者数が多いのは歩行中に事故に遭うケースとなっている。

 こうした歩行者死亡事故の特徴は,下右図に示すように、道路を横断している際に事故に遭うのが約70%であり,横断する歩行者との事故を防止する必要があるといえる。さらに、道路を横断中でも、横断歩道上を渡っていたときの事故割合は少ないため、走行箇所を問わない歩行者検出が必要といえる。

 また、歩行者死亡事故の約70%が夜間に発生しているため、歩行者検出用カメラに求められる条件は,夜間に使用できるロバストさも必要である。街灯のない夜間では、ロービームで走行していると歩行者の足元だけが自車のヘッドランプで照らされ、上半身が撮像されないこともある。したがって、歩行者の足元だけがカメラに映るような検出手法が望ましい。

 昼間の検出でも、歩行者がどこを見ているかが重要である。例えば、身体が歩行している横向であっても顔が接近している車両に向いていれば、その歩行者は車両接近を認識しているため危険な状態にはならないためである。つまり、歩行者認識では身体をある程度パーツに分解することができ、顔向きまで検出できる方がよい。

Fig12 

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2020年7月24日 (金)

歩行者検出をCNNで(1)

 今日から数回にわたり、「歩行者検出をCNNで」というテーマで歩行者検出向けCNNを解説する。

 交通事故はここ数年減少傾向にあるものの、対歩行者事故は下げ止まり感があり、車載センサによる歩行者検出は運転支援システムにおける重要な課題といえる。歩行者検出のセンサとしては、電波レーダ、LiDAR、カメラ等が候補となり、電磁波の反射率が低いことから、カメラを使うことが適切と思われる。

 カメラで物体を検出するということは、カメラで得た画像中から対象となる物体を検出する画像認識問題である。車載カメラでの検出対象は、通常、車両、車線、信号機、交通標識、歩行者であり、歩行者以外は画像パターンとして安定しているため実用化されている。

 歩行者検出で難しい点は、パターンとしての歩行者の種類が膨大だからである。同じ形状の人間はいないし、同じ人間でも服装を着替えると変わってくる。また、向きや姿勢、観測方向が変われば形状が変わり、動くとフレーム毎に形状が変わる。歩行者以外の対象物体が基本的に剛体として取り扱うことができ、見えの変化を想定できることとは大違いである。したがって、歩行者検出は、見えの変化にロバストな特徴量を検出する必要がある。

 ただし、事故統計データから、どういう状況で歩行者が自動車事故に遭遇しているかというと、多くの場合が横断中である。よって、歩行者のあらゆる姿勢と向きはある程度制限することができ、横断中の横向き姿勢が主となる。

 

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2020年7月23日 (木)

日本のITS(23)

 中国ITS研究会は、広島地区での運転支援ITSとして、マツダが中心となって行ったモバイルWiMAXによる情報提供サービスを支援していた。これは、広域無線通信を利用したサーバ型のサービスで、自動車からインターネット接続を介して集まった情報をサーバから各自動車に配信してカーナビゲーションの画面に呈示するものである。

 この実証実験後は、講演会活動等で地域への啓蒙に努めている。現在の話題は、主にMaaSの社会実装に向けた課題である。

 日本のITSは、政府がトップダウン的に提言した数々のプロジェクトを、地域がそれぞれのニーズの観点から選択的に取り込み、各地域に適した地域ITSとして展開している。今後は、自動運転やMaaSとして、この動きは活発なものになっていくだろう。日本のITSが目指すものは、ITSにより移動が関連するもの(バリューチェーン)に新たな価値を生み出していくことである。ITSにより諸課題を解決し、移動のバリューチェーンが社会変革を生み出すことを期待しているのである。

 日本のITSは今回で終了する。明日からはまた別の話題。

 

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2020年7月22日 (水)

日本のITS(22)

 豊田市まちづくり推進協議会は、豊田市が掲げる「豊田市交通まちづくりビジョン2040」に基づいて「行動計画(2016-2020)」を策定して取り組んでいる。この中のプロジェクトに「乗換検索アプリと連携した超小型電気自動車の観光地利用」を推進している。

 このプロジェクトは、超小型電気自動車(一人乗りP・COM/二人乗りT・COM)を使った観光プランを予約する際、乗換検索アプリ(乗換案内)から行えるようにしたものである。現地受付からも行える。

 実施場所は、豊田市の中山間地域にある小原地区で、超小型電気自動車で観光を行うことができる。利用者は電話予約した後、乗換案内上で決済することができる。乗換案内を使用したときは、地域の商店で利用できるクーポン券がもらえる。2週間の実証実験の結果、64台の利用があり、クーポンは7割以上の利用者が使用した。この実績を踏まえ、今後展開地域を広げる検討を行っている。また、公共交通期間との連携も検討している。

 

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2020年7月21日 (火)

日本のITS(21)

 愛知県ITS推進協議会は、ITSの啓蒙活動や調査研究に力を入れている。特定地域での地域ITSは行っていないものの、県レベルでは全国で最高のITSの普及活動や調査研究を行っている。

 したがって、多くのイベントを開催している。昨年度は、4日間にわたる展示会「あいちITSワールド2019」の開催や、講演会「自動車の自動運転への取り組み」、学生の研究発表「あいち発!ITS学生研究ライブ2019」等を開催した。

 今年度からの新たな取り組みとしては、MaaS推進会議を設置し産官学によるMaaSの普及を推進するものがある。MaaS活動は実証実験を予定しており、県内全般の広域MaaSと地域MaaSの両面を検討予定である。また、ITSを支える人材の育成を目的として、第一線で活躍する技術者・研究者を県内の大学や高等専門学校に派遣して講義を行う「あいちITS大学セミナー」を開催している。

 

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2020年7月20日 (月)

日本のITS(20)

 ふじのくに静岡ITS推進協議会では、運転手の確保が困難になりつつある乗合バスの充実に取り組んでいる。免許返納者数が年々増えているため、地域の公共交通は欠かせない課題である。

 そのため、公共交通への自動運転を導入する「しずおか自動運転ShowCASEプロジェクト」を発足させた。これは、地域公共交通の充実によるまちづくりの実現に向けて、産官学が一体となって検証するものである。

 静岡県内の袋井市(実験施設)、沼津市(都市)、松崎町(過疎地域)、下田市(郊外)の4地区で実証実験を行った。これらの地区は、()に示すように特性が異なる。これら4地区で、自動運転レベル3~4の自動運転車両を15km/h~30km/hで走行させ、自動運転車両が交差点に近づくと信号機を青に変更するインフラ制御も行う。車両は、群馬大学、名古屋大学やコンチネンタル等が開発し、信号制御機は小糸製作所等が開発したものである。実証実験では、信号機制御の効果と影響を重視しており、今のところ効果が大きく他交通への影響は軽微としている。

 

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2020年7月19日 (日)

日本のITS(19)

 横浜市は「SDGs未来都市・横浜」の実現に取り組んでいる。そのための移動に伴う課題の解決として地域ITSを取り入れている。

 横浜市が着目したのは、パーソナルモビリティの活用である。これに利用するパーソナルモビリティは、WHILL株式会社が開発した自動運転電動車椅子WHILLを利用している。

 WHILLは先進的でスマートなデザインの電動車椅子で、それにステレオカメラによる外界認識機能を与えて自動運転化している。このWHILLをシェアリングする実証実験を、みなとみらい地区で昨年度末に第一回目を実施し、今年初めには第二回目も実施した。第一回目は借用した地点に戻って返却するラウンドトリップ型だったが、第二回目では第一回目の意見を取り入れ、どこでも返却可能なワンウェイ型で実施している。自動運転車椅子は、自動運転のラストワンマイル問題を解決する切札として期待されている。

 

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2020年7月18日 (土)

日本のITS(18)

 青森ITSクラブは豪雪地域の課題を解決するため、活発に活動しており、課題としては、雪国特有の問題解決と観光の活性化である。

 観光の活性化はクラブ立ち上げ当初から即対応し、iPadを活用した観光コンシェルジェ事業を開始した。これは、東北新幹線の全区間開通を機に、青森県内の円滑な誘導と観光情報提供を目的として、新規雇用者が観光コンシェルジェとして早期に活躍できることをiPadでタイムリーに情報提供して支援するものである。

 また、豪雪問題への解決では、AI技術を活用した除排雪支援に取り組んでいる。除排雪作業は、これまで職員が経験に基づき判断し出動指令を出していた。この職員による監視と判断を、パトロール車両のドライブレコーダ画像をAIが解析して除排雪作業が必要かどうかを提案し、それに基づいて出動指令に替える取り組みを始めたのである。これにより、パトロールの人手不足や、ベテラン職員の後継者不足を解消しようとしている。さらに、学習データを蓄積して除排雪作業判断の平準化を図り、除排雪作業費用を削減することも期待されている。

 

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2020年7月17日 (金)

日本のITS(17)

 北海道ITS推進フォーラムが目指すものは、厳しい冬や災害という北海道特有の地域課題を解消し、観光産業を支援するものである。そのため、走りやすい冬道、災害に備えた道路、沿道環境の改善、地域産業の支援、安全快適な生活という5つの方針を掲げている。

 走りやすい冬道を実現するため、路面が凍結していて危ない個所やドカ雪で通れない個所、走行位置、停止車両の位置の情報提供を目指している。災害に備えた道路に向けては、落石や土砂崩れなどの発生場所、災害発生時の迂回路、駐停車帯での連絡、前方状況等のサポートや情報提供を目指している。沿道環境の改善では、混雑路、バスや電車の到着時間、駐車場の場所や混み具合と料金の情報提供と、スムーズな高速道路料金所の通行を目指す。地域産業の支援では、観光客への目的地までのナビ、冬期での安心なレンタカー利用を目指し、冬場観光の支援を行う。また、安全快適な生活では、高齢者や身体障がい者が安心しやすい道順や外出中の緊急機関への容易な連絡を目指す。

 これら実施予定事項は、いずれも政府が準備を進めているITS施策で対応できる可能性が高いと思われる。フォーラムでは講演会を定期的に実施し、地域民への啓蒙を進めている。

 

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2020年7月16日 (木)

日本のITS(16)

 日本のITSの最大の特徴は、政府や各省庁が主導する各種システムではなく、地域ITSであるといえる。地域ITSとは、地方自治体が主体となってITSを活用し、活力ある地域づくりに取り組むものである。

 全国町村会が政府に要望した内容のうち、ITSが関連する項目には、高速交通網整備、町村道農林道等の生活産業道路網の整備、地方バス路線の維持、離島航路離島空路線の維持、災害豪雪対策の推進、観光の振興等がある。そこで、各地方自治体はITS推進団体を設立し、これら課題に取り組んでいる。

 地域ITSの体制を確立した自治体と団体名は、北海道の北海道ITS推進フォーラム、青森県の青森ITSクラブ、横浜市、静岡県のふじのくに静岡ITS推進協議会、愛知県の愛知県ITS推進協議会、豊田市の豊田市交通まちづくり推進協議会、中国地方の中国ITS研究会等がある。この他、推進団体を設立したものの現在休止中のものもあり、ここに挙げた団体は継続的に活動を続けているところである。

 それでは、これら7団体の最近の活動を順に紹介していこう。

 

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2020年7月15日 (水)

日本のITS(15)

 自動車局はASVの開発、実用化、普及促進を継続して進めている。特に、今年度の重点施策は、ドライバモニタリングシステムと限定地域での無人自動運転移動サービスの技術要件を検討することとしている。

 ドライバモニタリングシステムは、車載カメラでドライバをモニタリングし、ドライバの異常(居眠りや体調異変)を検知するシステムである。路肩退避型等発展型ドライバー異常時対応システムに必要であり、レベル2・3の自動運転にも不可欠である。

 ASVの普及促進政策として、自動ブレーキ等への補助制度も行っている。今年度も引き続き、乗用車に対しての自動ブレーキ、車線逸脱警報、VSC等への補助を継続する。トラック・バスでは、自動ブレーキとVSCの装着車両への取得税の割引を行っている。なお、今年始まったサポカー補助金制度は、経済産業省の施策で自動車局によるものではない。また、無人自動運転移動サービスが限定地域で行われるのは、過疎地域でのドライバ不足に対する施策の一環であり、レベル5の自動運転のニーズに合ったものである。

 バスICカードシステムとバスロケーションシステムの導入にも補助が行われる。これらシステムは外国人旅行者のためだけではなく、実施されればわれわれの役に立つものである。

 

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2020年7月14日 (火)

日本のITS(14)

 道路局が今年度力を入れている施策は大きく2つである。それらは、中山間地域での自動運転サービスとETC2.0データの民間活用だ。

 中山間地域では、道の駅をスタート地点とした誘導ケーブル方式の自動運転サービスを開始している。全長4km程度のルートを設定し、地元のボランティアが自動運転車に同乗して監視する方式で運用している。

 ETC2.0データの民間活用では、新たな民間サービスの創出を期待したものである。2018年に公募を行い、昨年度選定して選ばれた19のサービスの実用化を今年度実施する。ETC2.0により規制速度が車両側でデータとしてわかるため、例えば市街地の生活道路では安全速度を厳格に守るサービスや、渋滞情報を活用したサービス等が検討されている。ETC2.0と民間のデータが相互補完する形で、より肌理の細かいサービスを狙うものである。

 ETC2.0は主に高速道路でのデータのため、一般道のデータと組み合わされると相互補完になる。有力な候補は、ETC2.0×バスデータやETC2.0×タクシーデータである。

 

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2020年7月13日 (月)

日本のITS(13)

 経済産業省は、2020年の無人自動運転を目指すための実装技術開発支援を行う。これは、車両の遠隔監視操作や無人後続車の先行車追従技術である。

 また、2025年には無人自動運転バス・タクシーの実現を目指している。これらの位置付けは、MaaSとしての新移動サービスを狙ったものであり、そのための地域実証を行う。

 更に、国際標準化支援では、日本が提案している自動車専用道レベル3自動運転システムや自動バレー駐車システムのISO化に力を入れる。このISO化は、ITSのISOとして準備されたTC204で行う。自動車向けに設置されたTC22では、HMI分野を支援する。その他、広くITSや自動運転に関連するサイバーセキュリティ、ソフトウエア更新、性能限界などの機能安全SOTIF(Safety of the Intended Functionality)のISO活動を支援する。

 無人後続車の追従では、新東名高速でトラックの隊列走行の実証実験を行っている。このトラック隊列走行システムについては、標準化活動も予定している。

 

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2020年7月12日 (日)

日本のITS(12)

 総務省の今年度の課題は、V2X用通信帯域の検討である。V2Xの通信帯域として700MHz帯域を確保しているものの、国際的には5.8GHz帯域が主流だからである。

 5.8GHzは日本では従来DSRCとして、ETC2.0で実績を上げた通信帯域である。V2Xにも5.8GHzを使用すると、ETC2.0との共存可能性が問題となる。

 ETCもV2Xも必要時に利用できなければならないため、タイミングを制御することは難しい。また、使用場所の隔離もできないため、ETCとV2Xは両立できないことになる。そこで、既存のETCの帯域はそのままで、V2Xの使用帯域を5.9GHzに変えてETCとの両立を検討することになった。5.9GHzに上げても、5GHz帯域のWiFiや放送事業用無線局FPU(Field Pickup Unit)との干渉を検討しなくてはならない。

 自動運転だけに限らず、移動体通信の需要は今後ますます上昇する。需給逼迫が起きないような技術検討が期待されている。

 

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2020年7月11日 (土)

日本のITS(11)

 ITS関連5省庁(国土交通省を道路局と自動車局を2省庁と数えて)の施策を紹介したので、今年度の重点施策も紹介しよう。警察庁から。

 今年度は、UTMSの推進として、歩行者等支援情報通信装置PICSの整備に重点を置いている。PICSとしてスマートフォンを利用するものを高度化PICSと称し、今年は全国でこれが普及するよう働きかけるとしている。

 高度化PICSとは、普及を目指しているため特別な装置を歩行者に持たすのではなく、歩行者が利用しているスマートフォンに歩行者用信号情報を送信するものである。送信方法はBluetoothを利用し、スマートフォン側から青信号延長のリクエスト信号も送ることができるようにして歩行者用信号機の青信号を延長できるようにしている。また、スマートフォン用のナビゲーションアプリと連携させ、地図上のどこの交差点の信号機かを表示させることも検討している。地図と連携しない場合は、音声メッセージで交差点名とどの方向の信号が青か赤かを伝える。

 このシステムは、信号機にBluetooth通信装置を追加設定することにより実現できる。既存の信号機に付加して使えることを目指しているため、普及が望まれる。

 

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2020年7月10日 (金)

日本のITS(10)

 国土交通省自動車局の最大の施策は、1991年度から始めている先進安全自動車ASV(Advanced Safety Vehicle)である。ASVでは、5年を一区切りとして進めて来ており、2020年度は第6期の最終年にあたる。

 ASVは自動車を高度なエレクトロニクスで格段に安全にすることが目的で、世界をリードする形で展開されて来た。ぶつからない車等の運転支援システムが日本で盛んなのは、ASVがあるからである。

 ASVでは技術開発だけではなく、基準や法整備、そして普及策も検討している。自動運転も十分視野に入っており、インフラを含めた広いITSにおいて、自動車の受け皿がASVという位置付けを担う。第6期で研究開発した新システムの一つに、運転中ドライバの体調が急変し運転続行不可能になったとき、路肩に自動で安全に停止する「路肩退避型等発展型ドライバー異常時対応システム」というものがある。更に、速度制限区間で強制的に自動車の最高速度を制限する「自動速度制御装置」も検討している。このように、自動車メーカーと一体となって研究開発から実用化のための基準を開発し、安全性の高まった自動車を普及させる努力を続けているのである。

 公共交通機関に対しては、外国人旅行者が快適に移動できる交通サービスを検討している。それは、円滑に移動できることを目的としたバスICカードシステムと、バスの位置がわかるバスロケーションである。

 

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2020年7月 9日 (木)

日本のITS(9)

 国土交通省道路局は高速道路でのITS施策に重点を置いている。一般道が警察庁、高速道路が道路局という分担があるからである。

 従来から路車協調サービスとして、都市間高速道路では10~15km、都市内高速道路では4km毎にDSRCを使ったITSスポットサービスを展開していた。DSRCとは、5.8GHz帯域の電波を使ってスポット的に情報を送るための通信である。

 ITSスポットサービスで提供する情報は、ダイナミックルートガイダンス、安全運転支援、ETCの3種類である。ITSスポットサービスの情報は、対応しているカーナビゲーションの画面に表示されることを基本とし、これら3種類の情報とリンクする。ダイナミックルートガイダンスでは、高速道路のリアルタイム渋滞情報を取り込むことにより、経路案内のルートを変更するものである。安全運転支援は、ナビゲーション画面に前方の落下物や故障車、渋滞情報等を表示する。そして、ETCとは、ナビゲーション自体がETCとして作動するということである。2018年4月時点で、全国の高速道路の1700箇所に設定されている。

 2014年からは、ITSスポットサービスという名称から、ETC2.0サービスに名称変更した。これは、従来対応したカーナビゲーションが受信機だったものが、ETC2.0に対応したETCでサービスが受けられるようになったからである。

 

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2020年7月 8日 (水)

日本のITS(8)

 経済産業省の役目は他の省庁が実際のシステムを導入することとは異なり、ITSを通じて経済を活性化させることである。そのため、自動走行ビジネス検討会という産官学が共同で課題を検討できる場造りと、ITSの国際標準化が主務となる。

 国際標準化では、経済産業省はISO活動をサポートしており、ITSの標準化となるISO/TC204や自動車の標準化ISO/TC22がITS関連となる。なおTCとはTechnical Committeeの略で、この下に多くのWG(Working Group)が活動している。

 自動走行ビジネス検討会では、これまで自動走行の将来像を明確化し、各メーカーが協調すべき領域を特定して、国際的ルールづくりの体制整備や産学連携の取組方針をつくってきた。そして、これら自動走行の実現に向けた取組方針をアップデートしながら、安全性の評価方法を検討する安全性評価環境づくり検討WG、2020年以降の制度やインフラを検討する将来課題検討WG、ソフトウエア人材の育成に取り組む人材戦略WGを設置してきた。最近の取組は、2025年までに普及させたいサービスの10領域について、実現したい姿と取組方針を明確化したロードマップを策定している。

 10領域とは、地図、通信インフラ、認識判断技術、人間工学、セーフティ、サイバーセキュリティ、ソフトウエア人材、社会受容性、安全性評価である。

 

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2020年7月 7日 (火)

日本のITS(7)

 次は総務省。総務省は電波を管轄しており、ITSで特に重要な通信システムでの周波通割当や技術基準の策定という重要な役割を担っている。

 これまで、VICS(Vehicle Information Communication Systems)やETC(Electric Toll Collection)における電波割当を行った。最近ではV2Xに用いる通信システムITS Connectでの700MHz帯域の電波割当に力を入れている。

 700MHz帯域は、従来アナログテレビの電波帯域に使われていた。これがテレビの地デジ化に伴って、空周波数帯となったため、携帯電話とITS Connectへの利用が始まったのである。携帯電話は需要がひっ迫しており、ITSがアピールしないと割当分がなくなることもあって、積極的にITS利用をアピールし、トヨタのITS Connectを利用した路車通信を利用した安全パッケージ実用化に繋げた。ITS Connectにより、車々間通信・路車間通信による交差点での出会い頭衝突事故防止、右左折衝突事故防止、追突事故防止、緊急車両情報提供が商品化されたのである。

 今後は、5Gへの取組に重点を置いている。車間距離10mで隊列走行する自動運転トラック群の実証実験を、5G通信による車々間通信を利用して新東名で行っている。

 

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2020年7月 6日 (月)

日本のITS(6)

 関係各省庁の活動状況を紹介しよう。まずは警察庁から。

 警察庁の役割は道路交通法の所管という立場から、自動運転時代の法制度の検討を行っている。また、道路交通の管理者として、信号機を中心とするインフラ面の新システムを検討している。

 法制度の検討では、2019年9月、自動運転の公道実証実験に係る道路使用許可基準を公表している。これにより、公道での実証実験が明確になり、関係者は大いに助かっている。新インフラとしては新交通管理システムUTMS(Universal Traffic Management Systems)の研究開発を推進している。UTMSは6つのシステム(交通情報提供システムAMIS(Advanced Mobile Information Systtems)、現場急行支援システムFAST(FAST emergency preemption systems)、公共車両優先システムPTPS(Public Transportation Priority Systems)、信号情報活用運転支援システムTSPS(Traffic Signal Prediction Systems)、歩行者等支援情報通信システムPICS(Pedestrian Information and Comminication Systems)、安全運転支援システムDSSS(Driving Safety Support Systems))が各都道府県で運用中である。

 更に、自動運転のためのインフラ設備として、信号機情報を無線化して情報提供の検討を進めている。この情報提供は、クラウドを使ったシステムも検討されている。

 

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2020年7月 5日 (日)

日本のITS(5)

 内閣官房と内閣府の施策を受け、関係省庁の警察庁、総務省、経済産業省、国土交通省道路局、国土交通省自動車局が自省庁管轄の施策を展開している。道路局と自動車局は同じ国土交通省だが、歴史的な経緯と管轄する領域が道路インフラか自動車かということで、ほぼ別省庁と分類した方がわかり易い。

 これら関係省庁の管轄は、警察庁が安全取り締まりと信号、総務省が通信、経済産業省がビジネスと標準化、道路局がインフラ、自動車局が自動車となる。

 内閣官房と内閣府以下、各省庁が縦割りとなっているため、管轄領域の施策は独立色が強くなってしまう。これら各省庁の動きを横断的に結びつけるものがITSともいえる。ユーザは警察庁の取り締まりと信号下で、総務省の通信を使って、経済産業省の標準化によって製造されたシステムを利用し、道路局のインフラの中で、自動車局の自動車を運転しているのである。

 旧建設省が道路局となって、旧運輸省の道路局と一体となった国土交通省になったので、密接に関連する両領域は一体化することが期待された。しかし、今もなお両領域の独立色は強い。

 

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2020年7月 4日 (土)

日本のITS(4)

 内閣府が内閣官房が立案した技術施策を補助する最大のものが、総合科学技術・イノベーション会議である。特に自動運転に関係するものは、科学技術会議が推進する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)である。

 SIPは日本再興戦略として、いくつかの分野の重要プログラムを推進している。その中の一つが自動運転なのである。

 2014年から自動走行システムの早期実用化と普及を目指して研究開発が開始され、5年間を一区切りとするため、現在では第2期が始まっている。第1期の成果としては、自動運転のための自動車専用道路約3万キロに及ぶ高精度3次元地図の整備があげられる。2019年から始まった第2期では、自動運転の対象を高速道路から一般道に拡張し、自動運転技術を活用した物流・移動サービスの早期事業化を謳っている。高速道路から一般道への拡張としては東京臨海部実証実験が行われ、物流・移動サービスの拡張として過疎地や地方における実証実験を推進している。

 また、安全性の研究のため、各種環境天候条件下でのセンサ性能評価やセキュリティに取り組んでいる。更に、国際連携や社会への情報発信として、毎年国際会議となるSIP-adus Workshopを開催している。

 

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2020年7月 3日 (金)

日本のITS(3)

 日本の政策は内閣官房が立案し、内閣府がそれを補佐する。よって、ITS政策も内閣官房がIT基本法を立案し、内閣府が科学技術会議で補佐しているのである。

 IT基本法となる高度情報通信ネットワーク社会形成基本法に基づき、近年では官民ITS構想・ロードマップが策定されている。これの中心になるテーマは、安全運転支援・自動運転システムと交通データ利活用である。

 ロードマップの策定は、IT総合戦略本部で行われる。自動運転関連としては、2018年に「自動運転に係る制度整備大綱」がまとめられ、自動運転車の安全要件のガイドライン、道路交通法規の改正検討、事故時の責任明確化と走行記録の義務化等が織り込まれた。そして、この大綱に基づき、高速道路での自動運転と限定地域での無人自動運転サービスを実現するための課題がロードマップに織り込まれた。また、自動運転時代のMaaS(Mobility as a Service)についての検討も始まっている。

 今後は、2030年で実現するモビリティ社会に向けた課題を検討し、政府と官民の役割を検討する予定になっている。これら情報は全て内閣官房のホームページで公開されている。

 

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2020年7月 2日 (木)

日本のITS(2)

 わが国のITS戦略は、2000年に制定された「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」が基になっている。この法律が制定され、IT戦略本部が設置され、わが国の本格的なIT政策が開始され、ITSもその枠組みの中で戦略が考えられていると思ってよい。

 基本法を基に開始されたIT戦略としては、まずe-Japan戦略から始まり、IT新改革戦略、i-Japan戦略2015、新たな情報通信技術戦略と名を変え展開されていった。ITSについては、これら戦略の中で、交通事故と渋滞の減少という2つのテーマが各戦略間で共通(不変)である。

 この2つの不変テーマに、時代によって、高齢者支援、快適性向上が加わり、総合科学技術会議が設置されてからは、自動運転が加わって現在の日本のITS戦略を形成している。目指すは、世界一安全で円滑な道路交通社会である。基本法に関しては内閣官房、科学技術会議に関しては内閣府が担当し、関係省庁の警察庁、総務省、経済産業省、国土交通省が具体的な施策を展開する形となる。

 また、国会議員もITSを普及促進するという立場で、党派を超えたITS推進議員連盟というものがある。議員連盟では、関連省庁、民間企業へのヒヤリング、勉強会、体験会を通じて、政策提言を推進している。

 

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2020年7月 1日 (水)

日本のITS(1)

 今日から新しい話題「ITS」を始める。今年は、毎年秋に開催されるITS世界大会が中止になって、ITS関連の話題を提供するタイミングがなくなったため、当面の間ITSについて説明する。

 ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)とは、道路交通の各参加者間を情報通信技術で繋ぐことにより、道路交通が抱える問題(事故、渋滞、環境)を解決していこうというものである。最先端の技術を活用して新しい交通社会を目指すため、新しい産業や市場を作り出す可能性もある。

 ITSは世界中で注目されており、各地域に応じたITSが研究開発されている。日本では、特定非営利活動法人のITS Japanが民間の代表となって、関係省庁と情報共有や意見交換を行っている。ITSは交通インフラが重要になるため、政府や各省庁との連携が重要になる。この関連省庁とは、内閣官房、内閣府、警察庁、総務省、経済産業省、国土交通省と多岐にわたる。

 まずは、日本政府のITSの取り組みから紹介していこう。

 

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